決定打
そして、アホ父の借金発覚から約1年後、梅雨の時期。
ルーベンス伯爵領で集中豪雨発生。
その後も氾濫は言うまでもなく、橋は流される、領内の20%が浸水。
対応に追われる間に、土砂崩れ発生。
もはや、ルーベンス伯爵家でどうにかできる規模の事態でない。
不幸中の幸いは、自然災害の場合国庫から復興費用が出ること。
ただ、今年の・・・・いや来年からも収入が激減した。
農家や町人も自分が生きるので精一杯。
うちの収入はおちこみ、学費分にもならない。食費やらなんやらだけでで完全にマイナスだ。
お姉様の女官収入からマイナス分を引くと利子にも足りない。
ウチは、本来社交担当のお義母様がバリバリ働いていたことで伝手が殆ど無い。
支援を受けられるアテがない。
これ以上借金を増やしたら、返済不可能レベルになる。
売れないであろう浸水した部分を除く土地と、爵位を売って借金を一括完済するしか道はなかった。
幸い、お義母様は、伯爵家の物ではない個人の高位官吏の位を持っている。
意外と高級取りなので、お姉様の女官収入と合わせて学院の学費位は稼げる。
なので、とりあえず食うに困る事は無い。
でも、貴族でないのなら、おそらく官位は維持出来ない。
"勢いがある訳ではないが、長く続いている伯爵家"という後ろ盾を失うのだ。
お姉様だって、身元の保証が無くなる。
もともと向いているとは言えない職業だ。
これから、収入は下がる一方だろう。
私はもう学院には通えない。