ここから俺の恥の多い第二の人生が始まったのだ。
何故こんなところにいるのだろう。
まわりは豪華な装飾で彩られた大広間。
奥の方には王座。王様や王妃様らしき人がそこにいるから間違いないだろう。
俺の周りには魔方陣らしきものが描かれていて、
いかにも魔法使いっぽいローブを被った人たちが横たわっていた。
これは夢なのか?よく分からない。俺は確かに死んだはずなのに。現状思い出せることを整理しよう。
俺の名前は空風 凛。凛とはまるで女の子みたいな名前だが、亡き母がつけてくれた大切な名前で気に入っている。
俺が死んだ理由は病気だ。原因不明のままポックリ死んでしまった。家が貧乏だから必要以上に入院費用がかからなかったのは良かったと、今だからこそ思えるが残された父や兄妹はたまったものではないだろう。許してくれ。
しかし、本当にこんなことになってる理由が分からない。それになんだか体が自分のものでないみたいな、すごくふわふわした感覚になっている。死んだからか?などと思っていると
「戦士復活の儀式が成功したみたいだな」
王様らしき人が喋りかけてきた。
「長い眠りから覚ましてしまい申し訳ない。私はこの国の王である」
復活の儀式?いろいろと訳が分からない。がとりあえず自己紹介だけでもしておこう。
「はあ、初めまして、空風凛と申します」
「ソラカゼリン?貴殿の名はクーフーリンではないのかね?」
クーフーリン?空風凛を全部音読みした昔のあだ名を持ち出すなよ。というかどう考えても日本ではないこの場所で普通に日本語が使われているのだが?
ますます状況が分からない。が、このままだと名前のことで時間を食いそうなので
「とりあえず自分のことはリンと読んでください。」
と言っておく。というかクーフーリンってなんかの神話に出てくる人だよな……
「分かった。貴殿のことはこれからリンと呼ぶことにする。早速だが本題に入ることにしよう」
さて、ここからだ。この本題とやらが何なのか。これが変な頼みなら面倒に巻きこまれる前に逃げなければならない。が、右も左も分からない状況でそれはできるだけ避けたいところだ。
「本題というのはリン、貴殿にこの国の象徴になって欲しいのだ」
「象徴?そんなものが必要なのですか?」
日本での天皇と同じようなものか?
「そうだ。この国の周りでは最近魔物が多く発生しており住民が不安がっておる。この国の精鋭部隊で十分退治することができるのだが、それでも簡単には不安は拭えぬものだ。そこで伝説の戦士を復活させ退治する振舞いをして欲しいのだ」
「いや、そんな、いきなり魔物退治しろと言われても」
冗談じゃない。あんたの知ってるクーフーリンは強いのかもしれないが、クーフーリンと勘違いされている俺は秒殺されるぞ。
「さすがに蘇ってすぐには体も動かないであろうことは想定済みである。魔物退治は兵士が行うゆえ、貴殿には住民に私がいるから安心するように等と声かけをして国に活気を取り戻して欲しい。当然衣食住はこちらで用意する」
本当に天皇みたいだな。しかしこれなら問題ないんじゃないか?衣食住が確保できるのは大きい。
「分かりました。そのお話お受け致します」
「それは良かった。ではもう1つ……あれを持ってこい!」
王様の呼び掛けに応じてローブを被った少年らしき人物が身長と同じくらいの赤い槍を持ってきた。
「これが貴殿の使っていたゲイボルグだ」
「は、はぁ……」
「このゲイボルグは貴殿の亡き後神殿に保管されていてな。あるとき聖なる力が宿ったという伝承がある。これを再び貴殿に返すので、これを持って象徴として振る舞ってもらいたい」
いや無理じゃね?ローブの少年結構ふらついてるよ?それかなり重いんじゃ?
「しかし、ただ槍を持って歩くだけでは芸がない。そこで神器一体をしてもらいたい」
「はい?何ですかそれは?」
「貴殿の時代にはそんな術はなかったと思うが、簡単に言ってしまえば自分が使用する武器を使う時に出し、それ以外の時は閉まっておくことのできる術のことだ。しかもその武器に魔術が込められているならその恩恵を受けることもできる。故に神器一体という」
それはいい。手ぶらで出歩けて、必要な時だけ取り出せるなら願ったりだ。
「それはいいですね。しかし、どうやってその術を使えば?」
「その者がやってくれる」
「はい、よろしくお願いします!では、まずはこの槍を持ってください!」
ローブの少年が緊張ぎみに声を張り上げる。
さて、ゲイボルグを……重い!
こんなのは持って街中を歩くものじゃないぞ!神器一体の術がなかったらどうしようもなかったぞ。
「では今から呪文を唱えます!」
ブツブツという呟きとともに俺の体とゲイボルグが光輝いていく。
白い綺麗な光だ。と思うがつかの間、ゲイボルグが光となって俺の体に吸い込まれていった。
「これで……術式は……完了です……」
結構な体力を使ったのか、はぁはぁ呼吸を荒げながらそういう少年。
「どうやってゲイボルグを出せばいいんだ?」
「心の中で槍よ出ろ!と念じれば……出てきます。今あなたと槍は一心同体ですので……」
それじゃさっそく……ゲイボルグよ!来い!!
ビリィ!!!
その呼び掛けに呼応するように布の破ける音がする。
今にして思う。ここからだ。ここから俺の恥の多い第二の人生が始まったのだ。
さて、何が起こったのか簡単に説明するとしよう。
俺の股間からゲイボルグが生えていた。
初めまして。オリジナルで小説を書くのは初めてなので見苦しい点があるかと思いますが、よろしくお願いします。




