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ヤソマ、説明される

あれから俺はツクヨにいくつか質問をした。

まず高天原とはどうやら日本の神話に出てくるそれと相違無く、神様達が住む場所なんだそうだ。

場所はいわゆる"天界"にあるらしい。

そんなモノづくりが得意な日本の叡智を結集させても行けそうに無い場所からこの少女は来たと言っている。

立場は"神様見習い"という神様になる素質を持った者達が修行をしている、この世界でいう高校に通う学生のようなものらしく、学年で言えば2年生らしい。

そして学生らしく試験のようなシステムが有り、相棒を組んで勝ち進むトーナメントのようなものが有るそうだ。

そこに出場して優勝すれば次年度、生徒会長の座に優遇して座れると言っていた。

生徒会長になれた恩恵は神様になる事が確定するだけで無く、神様の序列にかなり影響を及ぼすらしい。

何しろ八百万の神という言葉があるように、かなり神様は多く存在していて、しっかりと序列が有り、序列が高い神様には逆らえ無い風習があるようだ。

まぁ平たく言えば、"社長が白と言えば白"みたいなものだろう。

人間界も天界も似たようなシステムで出来てるな。

信用するかどうか迷ったが、空から降ってきた事、コンクリートに打ち付けられても無傷で済んでいる事、何より人から避けられてきた俺の人生に、俺を頼りに女の子が来てくれた事が嬉しかった。

誰かに必要とされている事実が、俺の疑念を覆い隠した。

その嬉しさが、例え騙されていたとしても彼女の手のひらで踊ってやりたい気持ちになったんだ。


「んで、なんでその相棒が俺なんだよ?」


自分と違う世界でそういったシステムがあるのは理解したが、俺が連れていかれる理由とは直結しなかった。

必要とされるにしても俺の何を必要とされているのか知っている方が俺としても動きやすい。


「あのね、神様同士の闘いは自分に使役している神獣と2人1組で闘うの。神獣といっても動物じゃなくて神獣を宿した依代が、神様の送る神通力で神獣の力を解放してその力を身に纏って闘うの。」


話を聞く限りでは何かがっつりバトルする感じだな。神獣だの神通力だのいまいちよくわからん。

いまいち理解できてなさそうな様子の俺を見てツクヨが説明を重ねる。


「私達、神様見習いは1人につき1つの神通力を持ってるの。その人によって種類は様々で、木火土金水陰陽の属性があるわ。そして依代に宿る神獣も様々。有名所で言うなら朱雀とか白虎とかかしら?」


「って事はその神獣とやらが俺の中にいるのか?お前にも神通力があって、その神通力を使って俺がその力を使えるようになるって認識で合ってるか?」


「お前じゃないでしょ?ツクヨ様と呼びなさい。まぁだいたいそんな感じね。普通、神獣は天界の民に宿るものなんだけれど、何を間違ったかあんたに宿ったみたい。」


「あんたじゃねぇ。ヤソマだ。じゃぁツクヨな。それが嫌ならツクツクって呼ぶぞ?…そうか。じゃあ俺は何をすればいいんだ?言っておくがケンカはした事が無いぞ。」


「はぁ…仕方ないわね。ツクツクよりかは名前呼びの方がマシだわ。私を名前呼び出来るのは父様と母様と姉様だけよ。光栄に思いなさい。ただしあんたの名前はあんたが使えるようになったら呼んであげるわ。」


お互いの呼び方を決めるのも面倒なやつだな…。と思っていると続けてツクヨは喋り出す。


「戦闘の方は大丈夫。神獣の記憶が戦闘をサポートしてくれるわ。端的に言えば何故か闘い方を知っているって感覚が一番近い表現ね。」


「おいおい大丈夫か?俺は自他共に認める体弱い系男子だぞ?」


「認めてくれる"他"なんかいないくせに何を偉そうに…。確かに体力はいるわ。いくら強い神獣を宿していても依代自体の体力が弱すぎるとすぐにスタミナ切れで動け無くなるみたい。だからあんたには体力をつけてもらうわ。」


「マジか…。自慢じゃないが筋トレを3日以上続けれた事は無い俺が体力作りか…。まぁ仕方ねぇか。とりあえず毎朝のジョギングからやるだけやってみるわ。」


「ジョギングって…走るのはいいけどあんた道とかわかってんの?」


「は?ここは俺の地元だぞ?17年この土地に住んでんだ。知らない道なんかねぇよ。」


俺は眉をひそめて外国人のやれやれの時のようなジェスチャー付きでツクヨに言った。


「あんたこそ何言ってんの?あんたは明日からは高天原で暮らすのよ?修練所の入所手続きも済ませてるから今日で人間界とはサヨナラよ?」


どうやら俺はとんでもない事に巻き込まれているのかもしれないと、やっと頭が認識し始めた。


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