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DIE CORN 〜転生したら大根だったがな!〜  作者: 瑞 ケッパオ
狙われた王族・王女様、覚醒するっちゃ!編
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第89話 今日もダリアちゃまの愚痴を聞いてもらおう!


ビーバーに捕まりたく無いという願いが通じたのか、私はヤツに捕まる事は無かった。


私は助けられたのだ。

最初は護衛の冒険者が助けたのだと思った。

けど違った。


私を助けたのは、何でも無いただの旅人だった。


何でも無い事は無いか。

何せ、あの忌々しいレイラがいたのだから。


レイラの他にも二人いた。


まず一人、人と言っていいのか勉強をサボってきた私にはわからないが、それは大根だった。

あのビーバーを退けたらしい。



もう一人は、私よりも年下の女の子、名はシオン・クーパーというらしい。


犬耳のついたカチューシャをもじゃもじゃな赤毛につけ、甲冑とメイド服が合体した格好をした訳のわからない女の子だった。


なんて事を思っていたが、彼女は私がレイラが言い争う姿を見て、何を思ったか、この私を抱きしめたのだ。


いや、抱きしめたのだろうか?

記憶が曖昧だ。

ただ覚えているのは、今まで味わった事の無いはずなのに、どこか懐かしく優しい感覚に包まれたという事だけ。


そして、私は悟った。

このシオンという女の子は、私のお母様だと言う事を。

この温もりは、紛れもなくお母様だ。

逆にお母様じゃなきゃ、なんなのだ?


私はこの時、初めて愛された。

そして抱きしめられ続けていた事を理解した。


私の中で17年も溜め込んでいた何かが、崩壊した。


私は無意識に涙を流していた。

初めて抱きしめられた事に、パニックになった。

どう反応していいのかわからない。

抱きしめられたら、何をすればいいのだ?

わからない。


わからなかったから、私は逃げた。

逃げ続ける事で、抱きしめら、愛された事実を風化させないために。



シオンは私より年下だが、細かい事はどうでもいい。


シオンは私の真のお母様だ。

そして私は、シオンお母様の子供なのだ。



と、思っていたのに、翌日に事件が起こった。


アイツが来やがった。

ウサタンとかいうクソが、私のお母様を洗脳して奪いやがった!


しかもただ存在してるだけで、町の人々に可愛いがられている。


なんだアイツ?

無条件で愛されるとか、アイツは私に殺されに来たのか?


私はあのウサギが憎い。

シオンを、お母様を、あの仔ウサギは奪った!

私はあのウサギを許さない!


幾百千万回、何億何兆、何京回……はたまた無量大数、ヤツをいたぶろうと私の怒りは治らない自信がある!



今にみてろ!

お母様を奪った事を後悔させてやる!地獄など貴様には生温い! お前は死なず、生きて無限に苦しめ!


私のシオンお母様を洗脳し、奪った仔ウサギは許せない!


全身の毛を毟りとってやる!

そう決心し、私はクソウサギに襲いかかった。

けど、大根に止められた。


あの大根は根っこ生やしてくるし、喋るし、意味わからん。

正直、大根が怖い。



それから色々あった。

私は根っこに縛られていたので、何が起こったのかよくわからなかった。


気づいた時には、大根と二人で、どこかわからないもの小屋に隠れていた。


私は得体の知れない動く大根が信用出来ずにいた。


この大根は、言動がおかしい変な奴。関わっちゃいけない奴だと、思ってた。


けど、人は見かけによらなかった。


大根も、私と同じく仔ウサギを憎んでいた。

愚痴っている大根の雰囲気は、私に似ていた。

まるで、鏡を見てるようだった。



今まで、友達というものはいなかった。


作ろうとはしたが、自慢ばっかして私を見下すヤツばっかだったからだ。

他人は何を考えてるかわからないから怖い。

だから距離を置いた。



けど、この大根は違った。


私が幾ら話しかけようが、ただひたすら聞いてくれた。


よく考えてみれば、まともに私の言葉を聞いてくれた人は今までいなかった。


だから嬉しかった。




私は、そんな大根に最後に、『私を愛してくれ』と頼んだ。

それに対して大根は頷いた。


私はとても嬉しかった。

だから更にお願いをした。『私のお母様になって』と。


大根は困惑した。


大根は、父親ではダメなのか?と尋ねてきた。

そんなのダメに決まっている。

『父』と付くものは、聴きたくもない。

私にとって『父』とは敵だ。私を苦しめてくる悪なのだ。

だから父親はいらない。

欲しいのは母親だけだ。


大根は私の提案を飲んでくれなかったが、代わりに『お前の姉になってやるから俺の姉になってくれ』と言われた。


どういう事かよくわからなかったが、常に『姉』でなくて良い事はわかったので大根、もとい重巡ダイコンデロガ兄者につく事にした。


兄者は、シオンお母様の次に私を愛してくれた人。


やっと愛してくれる人を手に入れた。

17年間叶わなかった事が、やっと叶ったのだ。


それに、ダイコン兄者と一緒にいたニワトリは、得意分野を見つければ、誰でも輝けると言っていた。


ダイコンもニワトリも、私を励ましてくれている。

単純に私は嬉しかった。

もしシオンお母様やダイコンに、もっと早く出会っていれば、違う生き方が出来たかも知れない。

ニワトリも、城の誰よりも良いヤツだ。


ただし、ドン・グリードというリスは駄目だ!

シオンお母様の頭を殴った。これは絶対に許されない!


とにかく今の私は幸せだ。

だから、もうこの幸せを離したくない。

シオンとダイコンにもっと愛されたい。



だが、その願いも儚く終わろうとしていた。


洗脳されたシオンお母様は兄者(だいこん)によって助けられたが、未だ目覚めない。


兄者も、憎きウサギに敗れてしまった。

周りにいた人達も、あのニワトリも、ついでにドン・グリードとアライグマもウサギ野郎に負けてしまった。


私は物陰で、ウサギを睨む事しか出来なかった。


出来るならあのウサギに食らいついてやりたい!

バーディア王族としての特殊能力が覚醒してるなら、あのウサギを叩きつけてやりたい!


けど、私には何にもない。


昔から何事も上手くいかず、挫折し、励まされず、褒められず、何もかもが嫌になって逃げてきて、しまいには病弱だったレイラにさえ、全てにおいて追い抜かれた私には、何も出来る訳が無い。


睨んでいるものの、私の足は震えていた。

これでは、あの仔ウサギよりも、私の方が小動物(クソウサギ)ではないか!?


私は更に自信を無くした。

どうせ、自分は何も出来ないのだと。

いつものパターンだ。

また私に出来無い事が増えてしまった。



「ポポポポ、ポポポポポポポ!?」


「うわぁ!?」


耳元で何かが囁いてきたので私は驚いた。


「うわ、うわぁ! バケモノ!」


囁かれた事に驚き。

そいつを目にして驚き。

そいつが鳩だと理解して驚いた。


わたしよりも倍は大きい体格に長い首、黒くて長い髪を生やした帽子を被った白い鳩、名を確か鳩尺様と言う。


この鳩(?)は、あのニワトリが使役する召喚獣、悪霊というものらしい。

見た目は不気味だが、根は良いらしい。


彼女(?)は、ウサギとの戦闘から逃げたはず、それが何故か、私のところにやってきた。


「ぽ?」


「……ぽ???」


鳩尺様は、私に尋ねるように鳴いた。

私は訳が分からず、聞き返した。


「ポポポポポポポ、クルッポー! ポポー、ポポー! ぽっぽー!」


???


鳩尺様は何かを私に向けて訴えてきている。


「……ポポポポ、ぽ、ポポ……ぽ、 くるっぽ〜!」



鳩尺様のクチバシと私の鼻が、くっつきそうな距離まで額を接近させて、大きく鳴いたのち、私に背を向けてどこかへ走って行った。


「いや、意味わからんし……」


私は小さく呟いた。

鳩尺様のクチバシと鼻がくっつきそうになったからか、鳥類特有の甘い臭いがまだ残っている。


鳩尺様は、何を伝えたかったのだろうか?

『ぽぽぽ』と鳴いてるだけなのでよくわからない。


そこで一つ、自身の変化に気づいた。


足の震えが治まっていた。

それだけじゃなく、足が、身体が軽く感じる。

迷いというか、ウサギに対する恐怖が無くなり、心が軽くなっていた。


ひょっとして鳩尺様は、私に『勇気』を教えてくれたのだろうか?


確かに私には勇気が無かった。

いつも怖い事や無理だと思った事からは、逃げてきた。

その感覚は、さっきまでの震えの感覚と同じ恐怖だった。


けど、その恐怖が今は無くなった。


何故だろう。

今まで、一歩踏み出す事が怖くて、辛くて嫌だつたのに、今だけは大丈夫そうだ。


逆に今歩かなければ、もう歩けない気がしてきた。


動く事よりも、動かない事が怖くなってきた。


だから、私は歩く事にした。


一歩、また一歩、私は確実にウサタンに私は近づいていく。

兄者ダイコンと、シオンお母様を助けるため、二人を苦しませた仔ウサギをぶん殴ってやるために!























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