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DIE CORN 〜転生したら大根だったがな!〜  作者: 瑞 ケッパオ
狙われた王族・敵になると強くなる仲間編
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第84話 磨王vs魔王


アードバーグ・ライジングはウサタンに洗脳されたふりをする事で、奇襲をかけようと考えた。


しかしウサタンにその手は通用しなかった。

よって、正面からウサタンに戦いを挑む事にしたのだ。



磨王アードバーグはアライグマ人族を統べる長。

それに対し、魔王ウサタン・インフェルノはウサギ人族でありながら、魔を統べる王である。


魔王とは神や人と敵対する邪悪な存在。

そんな魔王、ウサタンの実力は未知数だ。


ウサタンの力の一端を使ったクレア達3人でさえ、普段より遥かに高い力でダイコンデロガ達を驚かせた。


もし、このウサギが全力、本気を出せば町ひとつ消滅してもおかしく無いだろう。


しかし、ウサタンは自他共に認める怠け者。

現在も、自身の足で動くのが面倒なので、ミーナに抱き上げられながら、アードバーグと相対している。

アードバーグはウサタンを睨むが、ウサタンは彼に視線を合わさない。


ウサタンか力をすすんで奮うときは、大概遊びたい時である。

よって、ウサタンの遊び相手となってしまったレジスタンス『有袋類(マルスピアリア)連盟(・ユニオン)』の面々は、実に不幸なのであった。



そんな魔王に、戦いを挑んでしまうアードバーグの事を、考えなしのエセタヌキ、バカだと思うかもしれない。


その考えは軽率だ。

アードバーグはそこまで愚王ではない。



「意味がわからないよ……、なんでそんな泡で、僕の力を封じる事が出来るのさ?」


「ふっはっは! 悔しいのぉ、悔しいのぉ小僧!」


ウサタンは魔眼の力を使うが、その瞳力はアードバーグが発した泡により、効力を封じられてしまった。

これでは、相手を洗脳、能力の奪取は出来ない。


それに、まだ誰にも見せていない『魔王』としての能力を発動させようとしたが、同じく泡の力で封じ込められてしまった。




ウサタンにとってアードバーグは、番狂わせを起こす存在だったのだ。


アードバーグはあらゆる穢れを浄化できるモップを持つ。

そしてウサタンは、魔を統べる王なので、穢れきった存在だ。

この両者が刃を交わせば、穢れたモノを浄化する事が出来るアードバーグに軍配が上がるのだ。


その事に、アードバーグと相対した事で、ウサタンは理解した。


このアライグマは自分を倒す事が出来るのだと。



右往左往しているウサタンに向けて、アードバーグはモップから湧き出るシャボン玉を、吹きかける。


ウサタンは魔眼による洗脳や、魔王の力を使う事は諦めた。


だが、降伏はしない。


ウサタンは、ドン・グリードから奪った亜空間格納庫の能力を発動させる。


「消えたじゃと?」


アードバーグの目の前から、ミーナとウサタンが、床を抜け落ちるように消えた。


床に穴は空いていない。

ウサタンは異次元に飛んだ。


アードバーグはウサタンがドングリードの能力を奪った事を知らなければ、『亜空間格納庫』の事も知らない。




「ここに居らんちゅーことは、外じゃ!」


アードバーグは、直感的に宿屋を飛び出した。

彼は勢いよく外へ飛び出す。


その時だった。


「なんじゃこりゃ!? ぬぉおおお!!?」


外へ飛び出したアードバーグに、大量の何かが雪崩の如く襲いかかる。


「な、なんじゃ!? ……これは、どんぐり!?」


アードバーグは、大量のどんぐりによって動きを封じられてしまった。



「やっぱり、ドン・グリードの力は凄いや〜。一体何万、何億の木ノ実を収めてるんだろうね?」


「お、おどれ!? 何処から出て来たんじゃ!?しかも、こがに 沢山(ようけ)どんぐり出しおってぇ! もったいないじゃろが!?」


ウサタンはアードバーグの背後に立っていた。

その近くには、ミーナもいる。


いつこの二人が現れたかアードバーグにはわからない。

このどんぐりがどこから現れたのかも、彼にはわからない。


「そんじゃ、そろそろトドメにするよー? 大人しくしててねー」


ウサタンは呑気に残酷な事を言う。

ウサタンの手には、漆黒の槍が握られている。

おそらく、どんぐり同様に、格納庫から取り出したものだろう。


「このだらず! 大人しくしとる訳ないじゃろが!」


アードバーグは体内に溜めた力を爆発させ、どんぐりの中から脱出をする。


「これで終わりじゃけぇ!」


アードバーグはウサタンに向けて、自身にも覆い被さる量の泡を剣から湧かせる。


「な、なんだよこれ! チカラが抜ける」


泡がウサタンに移る。

するとウサタンは痙攣し、脱力していく。


しばらくして、ウサタンは動かなくなった。


「……」


動かなくなったウサタンを、アードバーグは黙って見つめる。

そしてもう一人、ウサタンに洗脳されていたミーナを見つめる。


彼女は今も笑顔のままだ。

緊張感を感じさせない棒立ち姿でウサタンを見つめている。


アードバーグはその事が気がかりだった。

ミーナが普通の少女よりも肝が据わっている事は知っている。


洗脳されているならば、クレアやシオンのように、ウサタンのサポートをするが、それもない。




「なに、余所見してんのさ……?」


「なんじゃと!?」


ミーナの方を見ていたアードバーグに漆黒の槍が飛んできた。


泡まみれのウサタンが、投げてきたようだ。


アードバーグはあえてどんぐりの中に潜り、槍を避ける。

槍はアードバーグの頬を掠め、彼の目の前、どんぐりの山に突き刺さった。



泡によって、邪悪なる力を浄化され、動けなくなったはずだが、ウサタンからその瘴気は消え失せなかった。

逆に邪悪なる瘴気が増幅されている。


アードバーグには理解出来なかった。


ウサタンから離れてても伝わってくる気に圧されアードバーグの額から冷や汗が流れる。


「まったく、アライグマにここまで手こずるなんて、今日は厄日だよ。 でも僕はもう怒ってないよ? だって嬉しいんだもん。

まさかね、まさかドン・グリードが僕が探していた『神の子を貫く槍』を持ってたなんて信じられる?

多分ヒパビパが召喚したんだろうね? 知らないけど。彼の運と能力なら引き寄せる事も簡単だろうしね」


ウサタンは、ニタニタと笑いながら、ブツブツと何かを呟いている。


そんな彼を不気味そうにアードバーグは見つめる。



「これで僕は、真の魔王だ! もうげっ歯類連合なんかに協力する必要も無い 」


ウサタンは、邪悪に鼻や耳をピクピクと動かしながら、おもちゃを買ってもらった子供みたいに嬉しそうに答える。


「お前が真の魔王なら、こっちは真の磨王じゃけぇ、オドレみたいな半人前と違うっちゅーとこを見せたるけぇのお!」


どんぐりに埋まったアードバーグより先に、ウサタンが動いた。


ウサタンは投げた槍を掴み、それを天に掲げる。


「ついに僕は『ピョンギヌスの槍』を手に入れた! これと魔眼のチカラがあれば、人代を終わらせられる! 槍が手に入った今、カピバラゴンやカッチョパッチョなんていう、旧時代の支配者なんか怖くない! この槍さえあればヒパビパもトトンヌも脅威じゃない! 神の加護なんて、この槍で貫いてやる!げっ歯類連合も、ぼくの手駒さ!」


怠け者の面影はどこへやら?

ピョンギヌスの槍を手にした事で、ウサタンは誰よりも傲慢なウサギに変貌した。



神の子を貫く槍、ピョンギヌスの槍。

それがどんな効力を持つものかはわからない。



アードバーグだけでなく、ダイコンデロガにとっても、この槍が脅威になる事は誰も知らない事なのだった。



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