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DIE CORN 〜転生したら大根だったがな!〜  作者: 瑞 ケッパオ
狙われた王族・敵になると強くなる仲間編
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第78話 強欲さを奪われた闇の王


魔王ウサタンに洗脳された仲間達の追撃を撒き、ダリアちゃまの愚痴を聞き流してたら兄姉弟妹(きょうだい)の盃を交わし、一息がついた。

と、思うじゃん?

俺が休める猶予など、誰も与えてくれなかった。


俺達の前に、げっ歯類連合の幹部、リス人族の『強欲(グリード)』を担当してるらしいドン・グリードと相対してしまった。


泣きっ面に蜂、ではなく泣きっ面にリス。


戦闘を余儀なくされるかと思ったが、ドン・グリードからは戦意は感じられない。


彼の驚いた反応から、俺達と出会った事は、故意ではなく偶然だろうと憶測できる。



聞くところによると、ドン・グリードは、ウサタンに力を奪われたらしい。



「力を奪われたってどういう事だよ? マグロと一緒に飛べる能力か?」


俺はドン・グリードに多少高圧的に話しかけた。


「お前よぉ? 俺を誰だと思っている? この世界中のありとあらゆる果実や木ノ実の流れを統括し、木ノ実の密輸経由を牛耳る闇の王! ドン・グリードだぞ?」


なるほど、存じ上げないですね!


凄いのかどうか分かりにくい。

なんだよ木ノ実の密輸って……?


「だが、それも過去の話だ。 今や俺の最大のアイデンティティである『亜空間に広がる巨大格納庫』をウサタンに奪われちまったって訳よ。 情け無ぇ話よ、まったく」


なるほど、どこからともかく、吐き飛ばしてきた木ノ実は亜空間から取り出してきたものだったのか。


惜しみもなく、自分の能力について喋るという事は、もう取り戻せないと理解した上での発言だろう。


もしかしたら、先程クレアが奪われた聖剣、ラビ・ラコゼを、唐突に取り戻していた事も、ウサタンがドン・グリードの能力を奪った事により、亜空間格納庫の中身の所有権もウサタンに継承された事が関係してるのだと、俺は推測した。



「ところで、ウサタンはどうやって、お前の能力を奪ったんだ?」


俺はドン・グリードから、ウサタンの能力について質問する。


「んなもん単純よ! 自分(てめぇ)に魅了された奴を洗脳する事で、能力を奪えるんだ。 聞いた話だと、洗脳した相手にも自分(てめぇ)の力の一部を使わせる事ができるらしいぜ?」


ドン・グリードはウサタンの情報を知っている限り話し続けた。


「もしかしてだけどよ〜大根? お前の仲間、既にウサタンの支配下になっちまったか?」


ドン・グリードは核心を突いてきた。


「そうか、そうか、やっぱりそうか、お気の毒」


俺はドン・グリードに反論しなかったが、図星をついた事は、俺の表情から察したらしい。


「……ウサタンに洗脳された場合、本来よりも能力が強化する事とかあるのか?」


俺はドン・グリードに質問を投げかける。


「さぁ? どうだろなー? まぁ、理論的には間違っちゃいねぇ、『自分の力の一部を使わせる』のなら、魔王ウサタンの兵になるだけで、普段の倍以上の力を得られるのはあり得る話だ」


なるほど、だからあの時、ウサタンの洗脳下されたクレアやシオン、レイラの戦闘能力が飛躍的に増幅していた訳だ。


「ところで、お前の仲間に、そこのお姫様に似たバーディア人の暗殺者がいたろ?」


レイラの事だな。


「追われてるのなら、この町を出たほうがいい。 この土地に詳しい奴が、『俺の能力』を使った場合、どうなるかわかるか?」



たしかに亜空間格納庫という力があれば、暗殺者は武器や道具の携帯性の不便さ等に悩まされる事は無くなる。

むしろ暗殺者と相性が良いではなかろうか?


「思いだしてみろ? 亜空間にしまえるのは、物だけじゃない。 亜空間に出入りできる事をな!」



俺はドン・グリードに言われた通り、奴やマグロ人族と戦ったシギア峡谷での事を思いだしてみた。



ドン・グリードは収納する以外にも特殊な力を使っていた。


弾丸のように木ノ実を吐き飛ばす能力。

これはただの特技だろう。

そこまで重要ではない。


なら、マグロと合体する能力だろうか?

いや、これも絶対違う。

地上においては、脅威でもなんでもない。ただの珍行(バカ)だ。



俺は、脅威となったドン・グリードの能力をひとつ思いだした。



「瞬間移動か?」


俺はドン・グリードの目を見つめて答えた。


俺の答えに、ドングリードはニヤリと笑う。


「ご名答! あれは格納する能力を応用させた技だ。 予め指定しておいた座標や場所に亜空間への出入り口を作る事ができる。シギア峡谷間でお前と追いかけっこした時に、瞬間移動しただろ? あれだ。 つまりこの町のいろんな所に、亜空間への出入り口を設置する事で、亜空間格納庫を介して、瞬間移動、もといワープができるって寸法よ」


つまり、今のウサタン達は瞬間移動が出来、おまけにレイラとかいう優秀な人材がいるので、俺らがどこへ逃げようと、地獄の果てまでイッテQ!延々と追われ続けるという事か。


俺はダリアちゃまをウサタンから守るためにも、逃げなければならない。

しかし、仲間を取り戻すためにウサタンとは戦わなければならない。


「ちなみに、ウサタンの能力の弱点とか知ってるのか?」


ウサタンに勝つ方法をダメ元で聞いてみる。


「知ってたら、既に手を打っている。 ただ洗脳は奴の赤い瞳、魔眼が大元だ。 俺もあの眼を見たせいで、全てを失っちまった。 奴と戦うなら目を瞑りながら戦うしか方法は無いかもなぁ」


ドン・グリードはお手上げといった感じだ。

やはりウサタンの眼には、特殊な力があったのか。


しかし、奴の眼が洗脳に関係してる事がわかっただけでも収穫は大きい。


そういえば、ウサタンは俺やダリアちゃまと、目を合わそうとしなかったな。


おそらく何かしら理由があるはずだ。


「なーなー? 私からもひとつ質問いいか?」


ここでダリアちゃまがドン・グリードに声をかけてきた。


「お前はなんで洗脳されたのに逃げれただ?」


ダリアの言葉にドン・グリードが、静止する。


もしや、これはウサタンの罠か?

ワザと自分の情報をバラし油断させるのが目的なのではないだろうか!?


「簡単な事だ。 奴は俺の能力を奪って用済みにした。 奴は俺の事が嫌いだったみたいでな。

ウサタンは『絆』だの『友情』といったモノを引き裂く事が好きなゲス野郎だ。部下や仲間を家族同然に大事にする俺みたいなギャングスターと正反対の性格よ。 お前達を倒しに行く時も卑しい笑顔を浮かべてたぜ。お前ら相当嫌われてるって事だぜ?」


ドン・グリード、さりげなく自分は良い奴だとアピールするが、俺はそれを受け流す。


だが、友情だの愛情、絆を引き裂くなんて、それは洒落にならないくらい酷い。


まったく、愛を欲するダリアちゃまの次には、愛を屠るウサタンかよ。


すごくドロドロしてんな今回、ウサタンはこの世界の危険因子に間違いない。

獣人族(コミカル)の為にも、ウサタンは倒さなければならない。


「よし、ドン・グリード! 一時的に俺達と仲間にならねーか?」


「仲間だと? バカか?」


ドン・グリードにそう言われなくても、自分でもそう思う。

いや、逆にここでは仲間は一人でも多い方がいい。たとえそれが敵だとしてもだ。



「能力が取り戻せるかもしれないぞ?」


「倒すのか? アイツは魔王だぞ?」


ドン・グリードは半信半疑だ。俺の提案に乗る気は無さそうだ。


「奴は俺やダリアちゃまとは目を合わそうとしなかった。 俺はそれを、ただ単に嫌われているだけだとは思わない。 絶対そこに何か秘密があるはずだ。 だから力を貸してくれ」


「『目を見なかったか』だと? ……なるほど、へへへ……、 こいつは面白くなりやがった!」


俺の言葉にドン・グリードが何かを思いだしたらしく愉快そうに笑い出した。


「そうか! お前達も目を合わしてもらえなかったか!? そうかそうか! 実は俺も、ウサタンに力を奪われ後、倒れながら、奴を睨み続けたが、途端に奴は俺の顔、目を見なくなったんだよ。 今思えば、確かにアレは不自然だ。 ……いいだろう! 能力を取り戻す名目で今はお前らと共闘してやる! 能力がなければ、げっ歯類連合にいる意味すらないからな!」


こうして、俺とドン・グリードは、一時的に共闘する事となった。



またまた、突如事件が起こった。


物小屋の中より、一部の空間が、蜃気楼のように歪み始め、中から誰かが現れた。


「「レイラ!?」」


俺とダリアちゃまは、その人物の名を叫んだ。


本来なら仲間だ。

洗脳が解けて、俺達の元に戻ってきた。

なんて、都合よく行かない。


俺達の前に湧いて現れたレイラの目は殺気に満ち溢れ、さながら暗殺者と呼ぶのに相応しい見た目をし、両手に短剣を握りしめている。


「ほらな? 俺が言った通りだ。ウサタンはこの町に一番詳しい奴を送り込んで来た! どうやら、ここを隠れ家にする事は、予想されてたようだな!」


ドン・グリードよ、他人事みたいに言ってるけど、お前にも関係する事なんだぞ?


「だが、一人なら大根と俺だけでも大丈夫だろ?」


たしかにドン・グリードの言う通り、レイラだけならなんとか出来そうな感じはある。

レイラは素早い動きと手数の多さで、クリティカルを連発してきそうな暗殺者であるが、隙を突かれ、急所を一刺しされなければ、決定打に欠ける。

俺は大根だ。

通常形態では、炎や熱、雷に弱いが、レイラはそう言ったモノを使って来ない!


かかってきやがれ褐色方言乙女!


俺は知ってるぞ!

そのマントで容姿(シルエット)がよくわからないが、ミーナちゃんに勝り、クレアには劣る程には、良い身体をしてるって事をな!


どっからでもかかってこい!

根っこ触手で、全身ワキワキしてやる!



敵はレイラだけだと思っていた。

しかし、それは誤りである。


レイラが現れた、亜空間格納庫による時空の歪みから他の誰かが現れた。


そいつは騎士だ。

全身に青と銀色の鋼の鎧を纏い、青白い稲妻の絡んだ聖剣を携える騎士クレアが現れた。


さらに彼女に付き添う形で、赤毛虫犬メイド戦士シオンが現れた。


うわ、これはヤバいなー。

雷とか、相性最悪なんすけど! ハダカデバネズミの時に殺されかけたくらいヤバいぞー。


いつもならシオンに関しては無視するが、クレアとレイラと組んだ際の相性は良いので無視はできない。



流石にこの3人相手にするとなると、俺と力無きドン・グリードだけでは辛い!


そして、ダリアちゃまは戦えない。

こんな時に刻甲と鳩尺様がいればな〜。


「みなさん!大丈夫ですか!」


「ポポポポポ、クルッポー!」


ナイスタイミング!

刻甲と鳩尺様が戻ってきた。


これなら問題ないだろう。


「刻甲! 遅いぞ! どこ言ってた!」


「すみません! 小鳥箱(コトリバコ)の回収に時間がかかっちゃいました! でももう心配いらないですよ! 私は破戒僧なので!」


刻甲のその自信がどこからくるのかわからないが、とりあえず、戦闘要員が揃ったので、文句はない。


4対3だぞ! 勝てるわけない!諦めろ!




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