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DIE CORN 〜転生したら大根だったがな!〜  作者: 瑞 ケッパオ
シギア峡谷・アライグマのピカピカ大作戦編
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第46話 残念だったなぁ、トリックだよ


「わったいな!?……シオンどうしただ!?ダイコン、ミーナ!何があったんか説明してごせーな!?しかもアライグマ人族とニワトリ人族もおるし……。一体、何がどうなっとるだいや!」


刻甲に、この町で一番ウデの良い医者がいるという病院へ案内してもらっている途中、レイラと再会した。


レイラは、普段とは打って変わり弱々しいシオンを目にして、とても困惑し、落ち着かない様子である。


おまけにアライグマ人族と、彼女にとってはよくわからん存在(ニワトリ)が俺達と共に行動しているため、レイラは余計に混乱しているのだろう。


「それが、面倒な事になったんだ。げっ歯類連合(ローデンティア・ネオ)の一味がこの町で、ハタ迷惑な事をしてる。……シオンは、俺をかばって重傷だ。しばらく前線には出られない」


俺はレイラに、現状を大まかに説明した。



「そっか……。なら私に出来る事とかあったら言ってな!力になったるで!」


レイラは俺とシオンの顔を交互に見て呟いた。




・・・




シオンを病院に送った後、例の隠れ家に俺達は戻ってきた。


「そんじゃダイコンよ、キツネとの戦い方を教えたるけぇのぉ」


アドミラール・ライオネルがそう俺に語りかけてきた。


このライオネル派のアライグマ人族と同盟を結んだ条件、キツネ人族フーリーとの戦い方を伝授というものがある。


「とりあえず、わしについてこいや。町外れに、ええ場所があってのぉ」


ライオネルは、早速キツネ狩りのレッスンを始めたいようだ。


「あの、その前に一つ、やっておきたい事があるんだけど?」


「なんじゃそれは?」


俺の願いにライオネルは当然だが、疑問に思ったようだ。


「確認と用心のために、げっ歯類連合(ローデンティア・ネオ)どもを、騙しときたいので」


「ほぅ、あのキツネを……か?ヤツは武だけでなく、能も優れとるで?」


「一つ試したい事があるんだ」



その試したい事とは、先日夢で神に言われた『赤筋大根以外にも、変化する事が出来る可能性がある』という事。


あの神は、信用出来ない奴だったが、間違った事は言ってなかった。


神が言っていた『巨大化』はキャッサバが無いと使用出来ないので今回は使わない。


もう一つの『神をも殺せる力』は、確か流水に浸されてないと、毒で自分が死ぬらしいので、それでも無い。


これから使う力は、ここに来るまでに偶発的に習得した力である。




・・・




ランラランララン♪


シギアゲート、なんて綺麗な町なんだろー。


俺は町中を、浮かれ気分で徘徊中。


俺は大根なので周囲の人々、困惑中。


お〜と!?人気を避けて、路地裏に行ってみれば、アホ丸出しの大根(おれ)に釣られ、(くだん)の奴らがやってきた!


そいつらは3人組、こっちは1人、これヤバない!?


1人はキツネ人族のフーリー、()()()()()()()っとか言う寄生虫を、うつしてくる悪党だ!


2人目は、全身黒くて背中にはトゲが無数に生えているヤマアラシ……人族かな?……誰だお前!?


そして3人目、ノコギリ状の剣、エクスカリカリバーを携えた自称騎士王、ヌーターンだ。

……なんでお前、そこにいるんだ!?


……いや、本当になんで、ヌーターンはそこにいるんだ?



「どういう事なの……?」


知り合いが敵側にいるのでつい呟いてしまう。


「貴様がトトンヌ殿の宿敵である野菜獣大根か。今まで、ヌーターンが世話になったな。俺はヤマアラシ人族の剣豪ヤンマーマだ」


ヤンマーマと名乗ったヤマアラシ人族が語りかけてきた。すでにコイツは、ヌーターンと面識があるみたいだ。

そして、コイツもげっ歯類連合の一味に違いない。


「ヌーターンに何したんだ!?」


率直にヤンマーマに問いかける。


「それはこっちのセリフだ。ヌーターンが周りに流されやすい性格だと知り、洗脳しただろう!」


ヤンマーマの声色が鋭くなった。


「洗脳はしてないですよ!?ヌーターンが、流されやすい性格なのは、戦いながら察してましたけど、洗脳してないです。そもそも、そんな話術も魔術もつかえないです!はい!」


「言い訳はいらん!」


俺らしくもなく、敬意を込めて、下手に出たのにあっさりと、ヤンマーマに一蹴される。


誤解を解こうと、真実を語ったはずが、コテコテの言い訳にしか聞こえない事を言ってしまったよ?

どうしよー。


「ムッキー!よくも今まで、騙してくれたな!許さんぞ!ぷんすか!」


ヌーターン、便乗せんでいい!なんだその怒り方は……?


アホみたいなヌーターンと目が合うと、ある事に気がついた。


ヌーターンが目で何かを訴えている。


視線で『あっちを見ろ』と念じているように見えた。


俺はヌーターンの必死な思いを読みとり、視線をそちらに移す。


視線の先にあるのは、レンガで建てられた住宅の壁。

更に目を凝らせば、レンガの隙間に、紙が挟まっているのが分かる。


なるほど、大体理解した。


ヌーターンはどういう訳か、裏切ったふりをするしか出来ないのだろう。

ヤンマーマには逆らえない、といったところか。


そのため、この状況に至った訳を手紙に記したというところだろう。



ヌーターンの思いは俺に届いた。

その手紙は()()()()()()()からな!


「じゃあ、後は任せたフーリー」


「アジトへお帰りですかな?峡谷地帯を哨戒中のマグロ人族の1匹が迎えに来てると思います」


ヤンマーマはヌーターンを連れ、ここから去るようだ。


フーリーが言ったマグロ人族とやらも気がかりだが、今はこのキツネと、アライグマ人族の悪事を阻止するのが先だ。


ヤンマーマとヌーターンがこの場から居なくなる。


途端にフーリーから殺気が湧いてくる。


フーリーから滲み出る殺気だけで、死を覚悟できる。


「ここで会ったが百年目!さっきは逃したが、今回はそうもいかんぞ?」


フーリーは現在、槍を持っていない。

その代わりに拳を突き出してきた。


「!?」


俺はとっさに避け、根っこ触手で路地裏のという狭い土地を利用し飛ぶ。


そのまま重力を利用し、フーリーの顔面めがけて蹴りを放つ。


さっき、フーリーがシオンにやった技と同じものだ。



「なるほど、やはり虚無でしかない。残念だ大根」


フーリーは、もふもふ尻尾で、衝撃を吸収し、俺を宙へと弾く。



勢いを無くして落下する俺に向け、フーリーが正拳を放つ。


大根の体にフーリーの拳がめり込んだ。


殴られた反動で俺はそのままぶっ飛ぶ……と思っていた。


殴られた際の衝撃は俺の体内で弾け、気づけばその場に伏せていた。

俺は自分の身体の内部が爆発したのかと錯覚した。


身体に力が入らない。


これは死んだ。


だって助けは来ないもん!


おまけに、綺麗に殴られたせいで、大根の身体はひび割れ、大根の破片が幾らかが、周囲に飛び散っている。


大根でよかった。

人間だったら、こんな惨状、R指定されるよ?

さてはゴア表現の暗喩だな、これ。


「さらばだ大根!死ねぃ!」


「ぬわー!」


俺はフーリーに踏み砕かれ、消滅した。




・・・



どうやら俺はフーリーに負けたようだ。


だが、俺は生きている。

死んだかと思った?残念だったなぁ、トリックだよ。


今俺がいる場所は、ライオネル派のアライグマ人族のアジト。


リスボーンした訳ではない。


今のが俺の『新能力』だ。

そう聞いて『全然変わってねーじゃん!クソザコじゃん!』と思うかもしれないが、これでいいんだ。



理解が追いついていない人の為に、この力がなんなのか一言だけいっておこう。


俺が使用した新能力は『分裂』というものである。



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