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DIE CORN 〜転生したら大根だったがな!〜  作者: 瑞 ケッパオ
ネスノ村・導かれんでもいいヤツら編
10/187

第10話 異形の軍獣、地下にて暗躍す

(シオン視点)



トムがやられた。一瞬にして。


今さっきまで、健在だった団員が、現在オレとクレア団長のみ。応援のジェイクを含め、3人だ。

向こうも3匹だが、隙を付き10人を一瞬で倒した。


やるなら今しかない。

睨み合ってても事は進まない。


『ビューッ』と走って『グサーッ』とやる。

頭の中でシナリオは出来ている。


オレは武器を構え突っ走った。


「シオン、下手に動くな!離れろ!」


団長に呼び止められたが無視した。

やるなら、今やらなければならないと思ったからだ。


「うぉおおおおお!」


オレは1匹に狙いを定め、ハルバートで突き刺す。


「ギャース!」


渾身の突きは避けられ、胴体を思いっきり蹴られた。


『ガンッ!』と鎧が凹む音が聞こえた。


オレはゴロゴロと転がった。


昨日、あのいけ好かない大根野郎に蹴られ、防具の必要性に気づき、胸部装甲と鎖帷子をつけた。

あの時、やられていなければ、今オレは死んでいたかもしれない。


「この馬鹿野郎!?何やってるんだ!」


後ろから団長に怒鳴られ、首根っこを掴まれると、そのまま後方にポイっと投げられた。



団長は、聖剣ラビ・ラコゼを大根に向ける


「ジェイク、アレを頼む」


団長はジェイクに何かを頼んだ。

それに応え、ジェイクは何やら魔術を団長にかけた。


オレは思い出した。


ジェイクは土属性の魔術の他に、物理魔術という身体能力を強化する魔術があつかえる。



団長は剣に青白い稲妻を纏わせると、団長はそれを自分自身に移した。


「ーーッ!」


団長は声には出さなかったが苦しそうだ。


同時に青白い稲妻が紫色に変わり、いかづちが周囲に飛び散る。


「おりゃあああ!」


団長は『ドドォッ!』と音を立て、大根に斬りかかった。


その速さは、3匹の大根を越えていた。


バチバチ!と稲妻の音。

ドガンッ!と叩き斬る音が、セットで聞こえた。


「ギャー!」


大根1匹の撃破に成功。


残り2匹は衝撃によって吹き飛んだ。


その内1匹は煙を上げ、動かなくなった。



残り1匹。


「グギギギッ……ギャース!!!」


最後に残った大根は物凄く怒っていた。


大根は喚き散らしながら地団駄を踏むと、全身から根っこをニョキニョキと生やした。


アレは、いけ好かない大根野郎が、昨日オレを縛りつけた物と同じだろう。


オレはアレの脅威を知っている。一瞬にして身動きがとれなくなる。


団長も同じ事を考えていたのだろう、苦い顔をしている。


「アイツ、ヤバくないっすか!?」


「問題ない。もう一度仕掛ける。更に倍でな」


団長はこう言う時、頼もしい。


以前、難関と言われるドラゴンの討伐に行った時も、オレに背中を向け「何も問題ない」と言わんばかりの立ち振る舞いをしていた。


この大根はその時のドラゴンと同じくらいの力を奮うだろう。


オレはこの大根を相手にするなら、昨日の魔物共を追加500匹倒す方が楽だと言い切れる。


だが団長なら勝てる。


団長が、いつ剣を落としてもオレはフォロー出来る。


「ジェイク!更に上乗せで頼む!」


「筋肉痛で動け無くなっても知らんぞ……!」


「問題無い。私はそんなに、ヤワじゃないさ……」


ジェイクは、さっきの強化魔術を団長にもう一度唱えた。


これで決着(ケリ)がつく。


団長は聖剣による力『紫電の雷殻』に包まれ、野菜獣大根に一歩、また一歩と、重い足取りで近く。


それは、大根の命のカウントダウンだろう。


オレは団長が勝つと確信した。




・・・(大根(おれ)視点)




根っこ触手で地上を調べ、地中をまさぐる。


メインとなるのは、根っこ触手の『聴覚』による地中の探索。


とは言え『根っこ視覚』同様、お粗末な物である。


根っこに伝わる微妙な振動から、音の発信源の距離を推測できるくらいである。


音の高さは分かっても、それが声なのか、足音なのか、金属音なのか、爆発音なのかは『根っこ聴覚』では判別できない。


現在、地上では(いかづち)の轟音が鳴っている為、小さな音は掻き消されてしまう。


恐らく、クレアが技を決めているのだろう。


勝てると良いのだが。



なんやかんや神経を研ぎ澄ましてみたら、地下10mに怪しげな空洞がある事が分かった。


『根っこ視覚』を使って、空洞を調べる。


「やはりか」


俺の予想は的中。


この空洞は人工的に掘られたものだ。


松明がかけられ、火が燈っている。

大根を差し向けた奴が、ここを使っているのだろう。


よし、ここまで行くか。


直線にして現時点から30m。


さて、どうやったら行けるだろうか。


大根の形は、ライフル銃の弾みたいな流線形に似て無い事もない。


ドリルみたいに、回転したら行けるかも。


俺は寝返りを繰り返すように身体を回転させる。


いや、そう簡単にできるわけないな。


ドリルじゃ無くて、大根やし。


仮にできたら、もはや大根じゃないから、タイトル変えないといけないな。


と、思いつつも身体を回し。飛び蹴りとは逆の力を加える。


ん?



回転しだした。


…………。


あ、これイケそう。


…………。


頑張れ俺!もう少しでイケるぞ


……!


ていうか、イケたわぁ。



めっちゃ回るわぁ。



楽にイケたわぁ。



こりゃ、タイトル変えないといけないわぁ。



新技『大根ドリルスピン』を習得した俺は、空洞まで一気に移動した。




空洞までたどりついた。


「ウエー……キもチわル……」


調子に乗り過ぎて、回転したので気分は最悪となった。




・・・




呼吸を整え、気分を落ち着かせてから探索を始めた。


空洞はアリの巣のように入り組んでいるので下手に動くと迷う。


松明が掛けられているので視界は見やすいが、高さ1mも無く、大根の俺でも狭く感じる。


そこらの子供やトトンヌでも四つん這いで無ければ動けない程度の広さだろう。大人なら間違いなく通れい。



「……!…………!!」


何やら声が聞こえる。


声のする方に進むと広い空間にたどり着いた。



何かが4匹いる。


全身に毛がなく、肌は桃色。目は豆の様に小さく、前歯が目立つグロテスクな見た目。

まるで、生まれたてのネズミの様な生き物だ。


「いいか貴様ら、この私に話し掛けられた時以外、口を開くな!あと、その口からクソを垂れる前と後に、『サー』をつけろ!わかったか!」


「サー!ノー!サー!」


どこの鬼軍曹だよ……。


しかも、拒否されてるし。


奴らは何か集会をしているようだ。


「昨日、カピバラ人族のトトンヌ御大、ヒパビパ殿が作戦を開始され、今頃ネスノ村の人間共は戸惑いつつある!」


「流石はトトンヌ殿であります!」


「Хорошо!」


「次はオラ達、ハダカデバネズミ人族の出番だべさ!」


あの気持ち悪い生き物の正体は、『ハダカデバネズミ人族』というらしく、トトンヌの仲間であった。


彼らはヘルメットを着用し、金属でつくられた前掛けのみを、身体に着けた格好だ。

俗に言う、裸エプロンである。


「スッパマッパ隊長!ヒパビパ殿が召喚した魔物達はどうなりましたか!?」



ハダカデバネズミの一匹が、鬼軍曹っぽい事を言っていた一番偉そうな奴に話しかける。

昨日、トトンヌが言っていた『召喚術を扱える仲間』とはヒパビパの事だったのか。


「まだ連絡はないが、本来の『時間稼ぎ』という任務は達成しただろう。

昨日、我々に合流した5匹の野菜獣大根から、任務は達成せれたことは言わずとも推測できる!」


スッパマッパと呼ばれた隊長は歴戦の軍人のように堂々と言い放った。


「村の連中、野菜を作り直す可能性は高いでありますぞ!」


「Я так думаю」


「オラの、育った里なら必ずそうするだ!」


ハダカデバネズミの隊員から不安の声がでる


「デマルミエ軍曹!フルチノフ伍長!シリヤネン上等兵!バカか貴様らぁ!

その可能性があるから、野菜獣大根5匹を放ったのだ。

村中を泥まみれにする事によって、村の掃除に労力を使わせ、大根の栽培を滞らせるのだ!」


隊長スッパマッパは、心配する隊員達を一喝した。


彼らには休戦の知らせが届いてないようだ。


「流石であります!スッパマッパ大尉!」


「Здорова!」


「流石はオラ達自慢の、隊長さんだなぁ」



彼の発言から、今朝の出来事の犯人はコイツらの仕業だとわかった。


あの隊長、スッパマッパは『軍曹』じゃないのか……。


俺はもうしばらく、奴らの様子を見る事にした。




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