6話 魔力検査
最初に無属性の魔石を使い魔力の有無を調べる。
魔石を握った時の光具合が握っている人物の総魔力を現すらしい。
ちなみに俺とリタは魔力検査室という部屋に移動している。
「それではまずこちらを握ってください」
受付のお姉さんが魔石を差し出してくる。
魔石はお姉さんの魔力に反応し、少し光り輝いている。
ここで魔力が無かったら全て終わりだからな。
震える手でお姉さんから魔石を受け取った瞬間、目が開けられない程の魔石が光り輝く。
俺は慌てて魔石を地面に落とし、なんとか光が収まった。
「これ、俺最強のやつじゃん!」
ギルドのお姉さんは口を大きく開けポカーンとしている。
リタも後ろで何が起こったかわからずあたふたしている。
かわいい。
「すごいです。今の光はSランク冒険者の総魔力すら超えてますよ」
きたきたきたきた!
俺の時代がきました!
みなさんありがとうございます。
「それではこれから火水木光闇の魔石を触ってもらいます」
お姉さんが興奮気味に説明をする。
魔法には火水木光闇の5種類がテンプレがある。
他にも色々と種類があるがそれはこの5種類からの派生か組み合わせて生まれた魔法らしい。
知ってるぜ、俺は全属性適応なんだろ?
「それではこちらの火の魔石を握ってください」
火の適性があると真っ赤に光り輝くらしい。
しかし、いくら握っても全く光らない。
「火の適性はないようですね」
嘘だと行って欲しい。
火の魔法とかすごい憧れていたのに。
「それでは次は水の魔石をどうぞ」
反応なし。
その後も木光闇を試すものの一瞬でも光ることは無かった。
「魔力はあっても魔法は使えない人は沢山いますから大丈夫ですよ」
リタが俺の背中を撫でながら慰める。
俺が弱いことが嬉しいのかリタは凄いムズムズしている。
一方俺はガチ泣きである。
「リタは魔法が使えるのか?」
涙を堪えてリタに質問をするが目を逸らされる。
「私も少し使えるぐらいですよ」
そういえば回復魔法が使えるって言ってたよな。
「リタの魔法適性は何々あるんだ?」
「えーと、火と水と光です」
「3属性持ちなんて凄いですね」
ギルドのお姉さん、感心してる場合じゃないですよ。
やっぱりリタって凄い強いよね!
その後、リタは無言で俺を抱きしめて慰めてくれた。
これなら魔法使えなくてもいいかもしれない。
「魔法適性がなくても使える魔法はありますから、元気出してください」
挙げ句の果てにはギルドのお姉さんにも慰めてもらいました。
この世界優しい。
「そろそろ先程のギルドカードにステータスが表示されると思います、ご覧になってください」
血を落として10分ぐらい経つとギルドカードにステータスが表示される。
ステータスを更新するにはもう一度自分の血を落とすと上書きされその時の強さが見れるらしい。
「私も久々に更新するんですよね」
リタは久しぶりに更新の事を思い出したらしく、今さっき血を落としていた。
さぁ、ここで俺のチート伝説が始まります。
っていうか、お願いします神様。
魔法は使えなくていいのでちょっと強めにしてください。
チートなんて贅沢は言いません、平均より少し上、いや平均でいいです。
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朝間 日向
レベル:3
ステータス
H P:34/34
M P :-----
物理攻撃:4
物理防御:7
魔力攻撃:0
魔力抵抗:80
敏捷:14
スキル :
・短剣術 レベル1
エクストラスキル:
・駄目男 レベル1
・無限魔力
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俺、知ってるぞ。
これ弱いやつだ。
「日向さんのMP表記が凄いですね。しかもエクストラスキルを2つ持ち」
そもそも駄目男って何ですか。
確かに戦闘は全てリタに任せているけど。
え?それが理由だって?
そんなわけあるに決まってるだろ。
無限魔力だけが唯一魅力的だけど、魔力攻撃0だからな。
魔力攻撃が0の時点で魔力適性を調べる必要がなかった気がするな。
そしてお情け程度の短剣術レベル1は流石に笑います。
「リ、リタのステータス表を見せてくれ」
俺のステータスは低くないはず。
お願いします、低くないはずです。
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リタ・ユスティル
レベル : 78
ステータス
HP:3750/3750
MP:480/480
物理攻撃:820
物理防御:560
魔力攻撃:150
魔力抵抗:420
敏捷:67
スキル:
・両手剣術 レベル6
・持久力 レベル4
・火魔法 レベル3
・水魔法 レベル2
・光魔法 レベル2
エクストラスキル:
・守護者 レベル1
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リタさん強いですなぁ。
両手剣術なんてレベル6ですよ。
物理攻撃は俺の200倍以上。
僕、産まれてくる世界を間違えました。
「日向さん!エクストラスキルが増えてます!」
今までエクストラスキルは持ってなかったようだ。
守護者か。
かっこいいな、誰を守護するんだろう。
はい、俺です。
俺を守るなんて約束したからこのエクストラスキルは生まれたのか?
スキルの常識なんて知らないから何とも言えないが。
「これも日向さんのおかげですね!ありがとうございます」
俺も駄目男が付いたのはリタのおかげだ!
ありがとう!
異世界でチートハーレムは諦めます。
リタと結婚ハッピーエンドしてきます。
俺が弱いことは全く気にしていないようだ。
それどころか凄く嬉しそう。
「日向さんが弱くてよかったです。私が護ります」
何が弱くてよかったのかわからないし、俺を誰から護るのかわからないがとりあえずリタに感謝しておこう。
「エクストラスキルの効果や発動条件は明日図書館で調べて見ましょう」
エクストラスキルにも発動条件はあるのか。
無限魔力はわかりやすいけど駄目男はどんな効果があるのかわからないな。
そのままの意味で駄目男ですって言われたら悲しいんだけど。
守護者は人を護る時に発動するのかな?
俺を護ることによってリタに守護者のエクストラスキルが付与されたのか。
その後は武器屋に行くことになった。
リタは俺に武器は必要ないと言ったがそこは無理をして頼んだ。
流石に雑魚モンスターを無双できるくらいにはなりたいです。
「やっぱり王道のロングソードかな」
主人公と言えばロングソードだ。
リタみたいな両手剣は無理だがロングソードなら持てるだろう。
「日向さんにロングソードは重くないですか?」
ぐっ、そんな事はないはずだ。
武器商人に頼みロングソードを持たせてもらう。
あ、これ無理なやつだ。
リタの両手剣は持つのが精一杯だったが、ロングソードは振るのが精一杯の重さだ。
これを振り回して戦うのは無理かもしれない。
「忘れてませんか、その剣を持って移動するんですよ?」
俺は諦めてタガーナイフを買うことにした。
ショートソードも持ってみたが自分の筋力の無さに諦めた。
「日向さんはタガーが凄く似合っててかっこいいです」
おい、それ嘘だろ。
弱っちい所がリタのフェチズムに刺さるだけだろ。
もういいもん!頑張ってレベル上げるもん!
タガーナイフを買うお金もリタに出して貰ってるのでそんな文句は言えない。
「そういえば、嬢ちゃん達は勇者に会ったかい?この街に来ているらしいぞ」
武器商人が俺とリタに聞いてくる。
その話を聞いた途端、リタの顔が真っ青になった。
「へぇ、勇者が来ているんですね」
特に勇者のことは知らないが、リタは話したがらなさそうなので俺が受け答える。
「兄ちゃんはあんまり驚かねえな。冒険者なら飛んでサインを貰いに行くのに」
それは俺が勇者が成し遂げた偉業を1つも知らないからな。
しかも先日冒険者になったばっかりだし。
え?冒険者にいつなったかって?
気持ちの問題だよ。
「おっちゃん、ありがとな。良い買い物ができた」
リタの手を引きさっさと挨拶を終わらせて店を出る。
少し歩いたところにベンチがあったのでそこに座る。
「リタ、勇者がどうかしたのか?」
リタの手を握りながら問いかける。
「勇者のパーティーは4人構成です。その中に私の幼馴染がいます」
メルツナさんが言っていたプロポーズを断り続けた相手だ。
勇者のパーティーに入ってるって事はかなり強いんだろうな。
「そいつとなんかあるのか?」
気を使ったことは言えないので単刀直入に聞く。
そんな事が出来るなら駄目男なんてエクストラスキルはつかないからな。
「私はその幼馴染に襲われた事があるんです。その時はなんとか逃げたんですけど、その後も何度も迫ってきて」
え?
そんな奴が勇者パーティーにいるのか?
「その後にすぐ勇者のパーティーとして引き抜かれたんで大丈夫だったんですけど、会いたくないです」
「それもそうだな、今夜は宿に泊まって明日は直ぐに街を出ようか」
まぁ、この街は大きいし出会わないだろ
この街は大きい上に人が多い。
迷子になったら死ぬレベルだ。
「リタ…?」
少し離れた場所にリタの名前を呼ぶ筋肉マッチョな大男がいた。
おい、嘘だろ。
これほど最悪なタイミングはないだろ。