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5話 街


あの後、同じベットで寝る。

なんて都合の良いこともなく、リタは部屋に戻り一人で寝た。

実はリタに一緒に寝ましょうか?と聞かれたが、それは俺の理性が止まりそうにないので断った。

ということだ。

チュンチュンと小鳥の鳴き声が聞こえて来る。

眩しい太陽に照らされ自然と目が覚めた。

食堂へと移動すると朝食のいい匂いがしてきた。


「おはようございます、メルツナさん」


台所で鼻歌を歌いながら調理をしているメルツナさんに挨拶をする。


「日向さん、おはようございます。朝ごはんができますのでリタを起こしてもらってもよろしいですか?」


「わかりました、行ってきます」


ちなみに俺は朝ごはんを食べないと死んでしまうタイプだ。

朝ごはんを食べなくても生きていける人が意味がわからない。

腹が減って朝飯が食べたいのでさっさとリタを起こすことにした。

扉にノックをするが全く返事はない。


「お邪魔します」


扉をそっと開き忍び足で部屋へ入って行く。

寝ている女の子の部屋に入るのはいけない事をしている気分だ。

ベットの上を見ると綺麗なお腹を出して熟睡しているリタがいた。

昨晩慰めてもらった少女が目の前で無防備に寝ている姿に興奮をしてしまう。

だめだだめだ。


「リタ、朝だぞ」


少しリタに近づき声をかける。

しかし、全くリタは起きる気配はなかった。


「リタ、起きろ」


少し肩を揺らす。

リタの肩から熱が伝わる。

この距離になるとリタの良い匂いが漂ってくる。


「ぉはようございます」


小さい声でリタが挨拶をして、起き上がる。


「おはよう、メルツナさんが朝ごはんできたから起こしてこいって言ってきて」


何故か俺はこの部屋にいる言い訳をする。

メルツナさんが行けって言ったから合法だ、合法。

メルツナさんを言い訳にしてすいません。


「すいません、私、朝弱くて。起こしてくれてありがとうございます」


まだ軽く寝ぼけているリタは立ち上がり、俺の胸に顔を埋めて抱きついてくる。


「ちょ、ちょっとリタさん!?」


昨晩と同じ感触が全身を襲う。

柔らかな身体が俺の冷たい身体を包み込む。


「それじゃあ、行きましょうか」


リタが俺から離れる。

もう少し味わいたかったと言うことはできない。


「早く行きましょう。朝ごはんですよ」


ボーっと立っている俺にリタが近づき手を握る。

そのまま手を繋ぎ食堂まで連れていかれた。


「あらあら、朝からお熱いわね、お二人さん」


「えへへ、そんなことないよ〜」


俺には展開が早すぎてついていけない。

待て、俺とリタの今の関係はなんなんだ。

これ完全に恋人ですよね?

いいんですか恋人って思っちゃいますよ。

俺、勘違いしてもいいんだよね。

いいんですよね?


「朝ごはん食べましょう」


とりあえず保留で。

こんな話を朝から考えたら頭爆発しちゃう。

爆発というか勘違いしてしまう。

このままリタと結婚ゴールでいいんですか。

ちなみに朝ごはんはお米が食べれました。

美味しかったです。

ウルフ肉はもういいです。

美味しいけどもう飽きました。




「じゃあ、お姉ちゃん行ってくるね」


朝飯を食べた後、ウルフの素材やら何やらをバックに詰めて街へ向かう事になった。


「いってらっしゃい、気をつけるのよ」


だいたい街へ移動するときに起こるイベント、それは盗賊もしくは魔物の襲来。

もしかしたら魔王軍幹部と出会ったりしてしまうかもしれない。

それが異世界から来てしまった俺の宿命なのかもしれない。


と思っていた時期が俺にもありました。


「とりあえず市場に行きましょう」


特に何も起こらず街に着いてしまった。

確かに何も起こらないのはいいが、いいけど!ここは異世界だぞ。

もっと戦いたい!

まぁ、戦うのリタなんですけどね。

戦闘はたしかにあれだが、何かしらイベントがあってもいいんじゃないだろうか。

街へ来るまでリタと手を繋いで、昼ごはんはメルツナさんの作ったサンドイッチをリタとイチャイチャしながら食べて、そして楽しくお喋りをしてこの街へ着いたぞ。

あれ?最高じゃね。

っていうか最高じゃん。

俺、勝ち組すぎでしょ。

街の入り口はかなり大きなもんがあった。

街の周りは壁で囲まれており、街には4つの門があるらしい。

門は開いており、兵士らしき人の前に行列ができていた。


「検問でもするのか?」


「そうですね、簡単な荷物調査をします。ギルドカードを持ってないと街にも入れません」


え、俺は入れないんですけど。


「同行者の誰かが持っていれば大丈夫なので、日向さんは安心してください。代わりに日向が街の中で犯罪をすると全て私が罪を背負う事になるんですけどね」


何それ怖い。

絶対、犯罪はしません。

列に並び俺たちまで順番が回り荷物調査をしたが特に問題もなく街の中に入れた。


「こっちですよ」


リタに手を引かれ人混みの中を歩いていく。

この街の人口はかなり広い。

街の面積はわからないのでなんとも言えないが、リタの村と比べるとかなりの人口だ。

街の入り口というのもあり、店も多い。


「とりあえず色々物を売ってお金を作りましょう、お姉ちゃんも少しは遊んでいいと言ったので」


周りを見ると冒険者の様な姿の男女が多くなってきた。


「この街にはどれくらいいるんだ?」


「今日を含めて3日滞在する予定です。日向さんと色々な所へ行きたかったから1日多くお姉ちゃんに言っちゃいました」


テヘッとウィンクをするリタ。

本当に君と出会えてよかった。

こんなに嬉しいのは人生で初めてだよ。

市場と呼ばれている場所は多くの出店があった。


「買うのも売るのも市場が一番ですよ、詐欺が多いから気をつけないといけないんですけどね」


ダジャレになっているが無視をする。

そもそも、この世界でダジャレが存在するのかはわからないが。


「いつも素材を買い取ってくれる人がいるから今からその人に会いにいくよ」


多くの出店の横を通り過ぎ、少し大きな出店の前で止まった。


「おじさん、ご無沙汰してます。今日も素材の買い取りお願いしてもいいですか?」


鼻の下にヒゲを生やした小太りのおっさんにリタが話しかける。


「リタちゃん、久しぶり。今日もたくさん買い取らせてもらうよ。そちらの方は村の人かい?」


「村の人じゃないんですけど、私の未来の夫です」


おっさんの問いに顔を赤らめて答えるリタ。

ちなみに俺も顔が赤いです。

なんでそんなベタ惚れなんですか、リタさん。


「ホッホッホ、それはそれは微笑ましいですな」


笑いながら俺とリタの荷物を受け取り中身を確認する。


「ほう、今回はワーウルフを倒したのか、これは結構な額で買い取れるぞい」


「えっ、ワーウルフだったんですか!?普通のウルフかと思っていました」


「ワーウルフも狩れるとなるとリタちゃんかなり強くなったのぉ」


リタさん勘違いしていたんですか。

だって明らかに大きくて強そうだと思ったもん。

確かに異世界の常識を知らないが明らかに人間が戦う相手じゃないだろ。

そう考えると、それをあっさり倒すリタはかなり強いのでは。


「お金も稼げましたしギルドに行きましょう」


おっさんから通貨が入った袋を受け取り、バックにしまう。

そのまま俺の手を握りギルドへ向かう事になった。


「日向さんはもし魔法の才能があったりしたらどこかに行ってしまいますか?」


俺の顔を覗き込み、不安そうな声を上げる。


「そんなことはしないよ。俺が今、一番幸せな時はリタが隣にいる時だからな」

「私が縛っているみたいですね」


リタが少し苦笑いをする。

俺が気をつかったと感じてしまったらしい。

リタと手を離す。

そして肩を掴み抱き寄せる。


「俺はリタが本当に好きなんだ」


あれー?

なんで俺はこんな恥ずかしいことしているんだ。

周りに人がいるのにいきなりリタに抱きつき、耳元で「好きだ」って。

やばい、恥ずか死ぬ。


「ありがとうございます」


恥ずかしさで真っ赤になっていた俺にかよわい声でリタが返事をする。


「日向さんは優しいですね。私が守らなくてはいけないのにこれじゃダメですね」


別にリタが守らなければいけない必要はないけどそれでリタが満足するなら俺は弱いままでもいいかな。

周りに暖かい目で見られているのを思い出し駆け足でそこから逃げた。

そしてギルドへたどり着く。

リタから聞いた話によるとギルドでは、ギルドカードの発注、依頼の受付、魔力検査などの事が出来るらしい

そこそこ人口がある街には1つはギルドがあり、普通は成人すると身分関係無くギルドカードを作るのだが俺は異世界人だ。

ギルドカードなんて作ったこともないし詳しく知ったのは今日が初めてだ。


「やっぱりギルドは大きいな」


「誰でも使うので人の出入りが多いんですよね」


俺のイメージでは冒険者のゴロツキが多いイメージだがこの世界では老若男女誰でもが使える施設らしい。

依頼もモンスター討伐から草むしりまで色々なことがある。

市役所とハローワークが合体した感じだな。

ちなみに俺が一番楽しみにしているのが魔力検査だ。

魔力検査でどの魔法の適性があるかわかるのだ。

リタには悪いが俺のチート伝説の開幕といこう。


「いらっしゃいませ〜、今日はどのようなご用件ですか?」


ギルドに入ると巨乳なお姉さんが受付をしていた。


「すいません、冒険書の発行をしたいのですが」

「発行の手数料で銀貨1枚かかりますがよろしいでしょうか?」


え、お金がいるんですか。

リタが先ほど貰った硬貨を一枚取り出し差し出す。


「すまんな、リタ」


「別にこれぐらい大丈夫ですよ」


それでも申し訳ない。

これからはリタの手伝いができるようにがんばろう。


「それでは血液を出しますので少しナイフで切りますね」


巨乳なお姉さんは俺の手を取りカードのようなものの上に血を一粒落とす。

胸にしか目がいってないので痛みは感じてない。

お姉さんが魔法らしきものを発動させる。


「それにしても、この年までギルドカードを作ったことない人は初めて見ました」


巨乳なお姉さんに手を握られながら話しかけられるとドキドキする。

リタの目線が少し痛い気がするは気のせいだろう。


「まぁ、少し色々とありまして」


そう、色々あるのだ。


「こちらがギルドカードになります。魔力検査はされますか?」


そして遂にきました、魔力検査です。


「お願いします」


リタには悪いが、ここから俺の異世界チートが始まるぜ。ヘッヘッヘ

ブクマですっごいモチベ上がりました。ありがとうございます!

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