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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【火炎の四大】
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◇対峙と合流



 魔術。

 魔女語を唱え、自身の魔力を変化させて放つ術。どの種族だろうと魔術を使う場合は魔女語での詠唱と魔力が必要不可欠となる。

 詠唱する時には立ち止まり、詠み唱え、魔力を魔術へと変化させ、放つ。これが基本になる。


 魔女族は移動しながらの詠唱───行動しつつ詠唱する、アクティブスペルが使える。これは魔女特有の適性でありアドバンテージと言ってもいい......のだが、


「なんだよマギって」


 紅玉の魔女ラヴァイアは詠唱と発動をほぼ同時に行う謎の技法、マギで魔術を執行した。それも魔女語ではなく、人語で「スピネルフィア」と短すぎる詠唱......魔術名を言うと同時に魔術を使って見せた。


『驚いた? あたしや他の四大魔女が長年研究して、やっと近付いた早打ちに天魔女様が助言してくれて完成したんだ! あたしは完成すれば何でもよかったけど、翡翠は天魔女が助言してきた事に苛立ってたけどね』


 ご機嫌に語るラヴァイアだが、わたしが知りたいのは完成までの経緯ではなくマギとやらの性能だ。


「───魔法(魔術)ではなく、魔法(魔術)のような技術。それが魔技っちゃ」


「技術ぅ? なんだそれ」


 フローが語ったマギのコンセプトのようなものにわたしはクチを曲げた。

 魔術ではなく技術......どういう事だ? 確実にラヴァイアはマギを使う際に魔力を利用していた。この時点で魔術になるだろ、と思った所でシルキの妖怪達を思い出す。

 アイツらは魔力ではなく妖力を使って剣術や妖術を使う。フローの説明をそのまま受け取れば、妖力でもマギを使えるって事になる。が、肝心の使い方がわからない。


『魔のわざって書いて魔技マギ。早打ちに特化した技術だからあたし達が使う魔術には火力では勝てないけど、色々と便利だと思わない? 例えば───』


 ラヴァイアは短杖を指で回しながら突然構え、


「───スピネルフィア!」


 また噂の魔技を放ってきた。

 確かに火力面は下級の中の下級だが、出が早すぎる。


 わたしが剣術で魔技を破壊した所でラヴァイアは、


『レッドルード!』


「───あァ!?」


 本命と言っていいだろう魔術を魔技の直後に使ってきた。

 魔法陣の展開と同時に灼熱の斬撃が5本放たれる魔術にわたしは反応出来ても対応が間に合わず、しかし予想外にもフローが魔術それを相殺させた。


「油断しすぎナリ。相手は四大魔女ナリよエミリオちゃん」


『変彩......邪魔くっさいなぁ』


「......チッ、」


 膨れ上がる妙な苛立ちにわたしは舌打ちしつつ、ラヴァイアだけではなくフローへの警戒も高める。


 2人ともまだ派手に動いていないからこそ、警戒と集中を高めて。





 エミリオ、フロー、ラヴァイアが地殻で対峙する中、ワタポ達は地脈へと進む。


「怪我は大丈夫!?」


 走りながら2人へ問うワタポはベルトポーチを探り、茸印のポーションを取り出し2人へ投げ渡す。


「俺は平気だ。カイト、お前は?」


 小瓶を受け取りながらそう答えたトウヤ。

 確かに傷口からの出血は少量て収まっている。


「俺も平気だ」


 今度はカイトが答えるも、受け取ったポーションを一気に飲む。トウヤに比べてカイトの傷口は今も出血している。

 致命傷ではないにせよ、ダメージを負っている事にかわりはなく、トウヤは夜楼華が核となっている人ならざす者......しかしカイトは生身の人間。平気なワケがない。それでも休み治療する時間はない。

 痛撃ポーションで痛みを遠いものとし、茸印の塗り薬で傷口を一時的に塞ぐ。茸印───ししがこの数ヶ月で作った薬品類はどれも有能で、外傷に塗ると瞬時に固まり出血を抑える塗り薬は全冒険者が購入したとも言われている。


「とにかくひぃちゃ達と合流しよう」


 先に居る4人と合流すれば治癒もできて今後の動きについても相談出来る。

 この地殻に3人もの魔女がいる時点でイレギュラーという言葉では到底足りない事態である、とワタポは焦りを滲ませながら足を進めた。





『───魔女か』


 大型のフェンリル、炎狼王が微かな魔力を余さず感知し、魔女の存在を看破した。


「魔女? エミリオかしら?」


「エミちゃんがどうかしたの?」


 半妖精ひぃたろ魅狐プンプン仲間の魔女を思い出し名を言うも、


『......3人の魔女がいる』


 炎狼王の言葉はエミリオ個人を指すものではなかった。


「3人!?」


「ええー!? エミーの他に魔女お!?」


 リピナとだっぷーもその言葉に驚き、地殻......来た道へ視線を向ける。


 すると、


「───気配がある。構えて」


 感知するにはマナや魔力が充満しすぎている地殻で、ひぃたろは確かに3名の気配を拾い、それが迫っている事に警戒を高めた。

 数秒後、炎狼王が『魔女ではない』と告げ、足音が近付き、


「......ワタポ!?」


「ひぃちゃ───うわ!? フェンリル!?」


 ひぃたろは捉えた影に仲間を見た。


 ワタポ達とひぃたろ達は無事合流する事に成功したが、3人の魔女が存在している状況はフェンリルの群れよりも危険度は高い。


 それでも、合流出来た安心感が今は勝っていた。






あけましておめでとうございます!

おはにちばん、Pucciです。

今年2022年からはひとまず月曜日更新とさせていただきます。

詳しい事は後日、活動報告などに書くかもしれません!


今年もよろしくお願いします!



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