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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【女王】
62/759

◇61



ここ数週間でデザリア王は変わった。

争いを望まない人物だったハズなのに今では奪う事を命令する。

小さなモノでも奪えば必ず争いの火種になる。と王はクチにしていたにも関わらず。



冷たい水をぎこちない仕草でクチへ運ぶ王を見て3人の中将は王の言葉を待った。

デザリア軍の大将は今存在しない。3中将の中で素晴らしい功績を上げた者が大将へ、デザリア軍のトップへ登り詰める事が出来る。



「兵を使ってバリアリバルを落とせ。中将達はここに残りワシを守れ。マテリアの回収は忘れるなよ」



王は今、バリアリバルと戦争してこい。と言った。

命を奪い領土を奪えと。

その際、数週間前から多く求めていたマテリアも奪えと。


国とは言ったものの、冒険者達を雇い兵にするシステムのバリアリバル。団結も連繋もないに等しい。そして冒険者達は自ら手にした魔結晶をマテリアへ生成し装備している。マテリアを奪うつもりならば冒険者が的になるのは必然的。


この国で生きている以上、王の命令は絶対。

中将達は軍へ戻り、バリアリバルを攻める準備を進めた。


まずは冒険者狩り...マテリア狩りだ。

黙ってやられる冒険者は少ない。軍が攻撃を受けた事を火種に戦争を起こせばいい。




ただ王に従うだけ。

それだけがこの国で賢く生きる為の方法なのだから。





何なんだこのクエストは。

なぜわたしがこんな物を...。


「エミリオ!遅いぞ!」


アスランめ...何が面白い仕事がある だ。

ただの荷物運びじゃねーか!


3日前、ウンディー大陸は女王が納める国に生まれ変わった。その大陸にある一番大きな街、以前はギルド、冒険者の街と呼ばれていたが今ではこの街の事を、女王の庭 と呼ぶ者が増えた。


女王の庭 クイーンガーデン バリアリバル。


庭と言うのはどうなんだろうか。と思っていたが、その庭で放し飼い状態の犬...つまり冒険者達が鎖に繋がれる事なく生活している状態を見て誰かが言ったのだろう。女王のセッカは「どう言われてもこの国、この街は変わらない」と発言し新聞の一面を賑わせた。

不定期に発行されるギルド、冒険者の雑誌、不定期クロニクルにはこの事が大きく書かれていた。勿論ギルドと冒険者の事も変わらず書かれていて驚いた事に全大陸で販売されているらしい。


バリアリバルは綺麗な水が沢山ある大陸でその水を使って育てられた野菜や果物は全大陸へと輸出している。

以前はギルドがクチ約束で他国へ輸出していたが3日前からは国と国で契約を結び見合った金額等で取引される様になった。その金額は1、2、7で分けられている。

1は女王、言わばこの国のお金に。

2は間に入っているギルド。

7は育てた者達。


国になった事で何かとお金が必要になるのは当然だが人々から搾り取るやり方は違う。

そこでセッカは女王の名を売り、お金を人々から貰うブッ飛んだスタイルで国の貯金を増やしていた。


女王とは国。先日ドメイライトと契約し輸出する事になった水や野菜等は全てバリアリバルのマーク、国が女王が認めた品物になって他国へ送られる。

たったこれだけの事でもそれを求め買う人々の安心度、信頼度は違う。よくわからないギルドが運んできた食べ物より国が認めた食べ物の方が受け入れられやすい。


契約するのは両国のトップだが契約先や条件等を探し持ってくるのはギルドや冒険者。

そのため、ギルドが他国とのパイプを繋ぎ、生産者と消費者のパイプを繋ぎ、国と国のパイプを繋ぐ。

そこで見知らぬギルドが運んできた品質不明の物より、女王が認めたギルドが女王お墨付きの品物を運んだ方が契約は上手く進む。

この契約が成功した場合は、1割女王へ、2割ギルドへ、残りは生産者へと入るシステムだ。


アルミナルの品物はバリアリバルのマークを必要としない。職人が自らのスキルを最大限に使い作り出されたモノにマークを刻む行為が失礼だ。とセッカは言い今までと変わらないスタイルだ。


大きく変わったのは集会場。

ユニオンを仕切るのがマルチェになり、民間人からのクエストもクエストリストに追加、他国のクエストもクエストリストへ、一気にクエスト種類が増えた。

それにより集会場のクエストカウンターを急遽増加させ、クエスト受注の際は受注料金が発生する事に。その料金の半分が国へ入る。

税金と言えば重く感じるが、商売をする者は少なからず国へお金を入れ、女王はその全てに女王の名を許可し、女王もマルチェの一員なのでみんなと変わらず国へお金を入れる。



こーゆー細かくて難しい話は苦手だ。

わたしみたいなダラダラ冒険者は稼いだお金を払わなくていい。が、さっきも言った様にクエスト受注時等で知らず知らず国へお金を入れている事になる。

集会場は今までクエスト成功時の報酬から少し貰っていたらしいが、その他に受注契約金を貰える様になったりで...ジュジュはウハウハだろうな。


まぁとにかく、国にはお金が必要って事がわかった。

この変化に素早く対応出来ている冒険者やギルド、街の人々...ウンディー大陸の人々は凄い。文句も多少あるが心のどこかではセッカを認めているんだろう。



「これで終わりだな、お疲れさん!助かったよ冒険者さん」



アスランに誘われて参加した仕事、ワイン運びがやっと終わった。ビンに詰められたワインにはバリアリバルのマーク。このワインが今からドメイライトへ運ばれるらしい。

ウンディーポートまで来てワイン運びさせられるとは...最悪だ。

しかしタダ働きではないので報酬金が払われる。二時間ひたすら運んで10,000vとワイン1本。

一時間5,000vかよ。


「アスラン!なんだ今の仕事は!」


「ワイン運びや。クエストで受注してみたらアレやん、受注金とられるやろ?それ忘れててな。やるしかない状態になってなー」


「それでわたしを巻き込んだのか!報酬金いくらだよ!」


「貴様とおんなじや!ワインは多く貰えたけどな」



わたしもクエスト受注する時は気を付けなければ。

これ系のクエストは人数制限があるんだな。受注者は報酬金ではなく報酬アイテムを多く貰える感じか...勉強になった。



「それじゃお疲れ、エミリオ帰らんのか?」


「おつおつ、ポートまで来たんだしワタポ達待つよ。そろそろ戻る頃だし」


「そか、じゃあ俺様は帰る。またな」




ワタポ達とは、セッカ、ワタポ、ジュジュ、リピナの4人。

ドメイライト王へ挨拶やらをしにノムーへ向かった。

先程ワタポから『挨拶も無事に終わりました。ドメイライトとバリアリバルは仲良くなれそう。王様もセツカ様とまた出会えて喜んでました』とメッセージが届いていた。

キューレが狙っていた通り、ドメイライト王はセッカと再会できた事で心がユルくなっていたのだろう。そこをセッカも逃さず掴み、ドメイライトとバリアリバルは良い関係に...なれるかもしれない。

少なくても現時点でドメイライトがウンディー大陸を狙う事は無くなっただろう。

今のワインもドメイライトへ出荷するらしく以前よりも多くの商品がドメイライトへ届けられる。商売人達は忙しそうに働いていて活気つく港街にわたしは少し嬉しい気持ちになっていた。



「次はデザリアとうまくやらなきゃか」


「じゃの」


わたしの独り言へ背後から答える年寄り染みた声。

相変わらずチート臭いハイディングで接近していた女性へ今出来る最大級の、嫌そうな顔 を作り振り向く。


「なんだよキューレ、いたならワイン運び手伝えよなー」


「ウチに労働は向いとらんのじゃ。それより...っと、お前さんは何しとるんじゃ?」



わたしの手から報酬アイテムのワインを取り、可愛らしい気合い声を出しコルクを抜く皇位情報屋キューレ。

そのまま許可なくビンをクチへ運んだ。



「そのワイン多分結構いいヤツだぞ。金払えよなー」


「うむ、確かにウマイのぉ。お前さんデザリアが気になるのか?」


この流れは...デザリアの情報を持っていて売るつもりだったな?

ワイン代の変わりに情報を要求してみるとあっさり承諾。ワインをもう1度呑み話を始める。


「ここ数日でデザリア王が面白い様に変わったんじゃ」


「変わった?」


「んじゃ。どんな争いも望んどらんかった王が最近では奪え殺せと酷い変わり様じゃ。どうやらマテリア狩りをしとったのもデザリア軍のシタッパらしいぞ」



マテリア狩り。

ロキの命令でユニオンがしていたんじゃないのか?いや...それも証拠があった訳じゃないし。デザリアがマテリアを、冒険者を襲っていた...数日前突然変わった王...。



「そのデザリア王が変わったって、人が?」


「人が変わった、と言えばそうじゃの。実際人間が変わったワケではないぞ。性格が変わったんじゃ」


マテリア、魔結晶を宝石に加工したレアアイテム。売ればお金になり、装備すれば力になる。

お金を求めてるのか?王様が?力か?



「その情報はどやってゲットしたの?」


「この前マテリア狩りしとったヤツを引っ捕らえたんじゃ。そいつから聞き出したんじゃがのぉ...そいつ死んでしまった」


「死んだ?なんで」


「さぁの。話を聞いた後に国へ戻ってマテリア狩りがバレた、と伝える様に言ったんじゃが...少し離れた時に突然悲鳴をあげてバラバラに」


「その話セッカにした?」


「まだじゃ。それをする為にポートへ来たんじゃよ、ほれ!女王様が乗っとる船が到着したぞ」


空になったビンに指を入れ、キュポン、と心地良い音を奏で抜き港エリアを見る。

女王様が乗るには地味すぎる船だが「豪華な船を1隻造るくらいなら民間人が安心して乗れる船を複数隻造りなさい」とセッカは言い普通の船でドメイライトへ向かった。

その普通の船が今まさにウンディーポートへ到着、ワタポが最初に降り一応安全確認しセッカが船を降りた。


わたし達に気付いたワタポとセッカは人眼も気にせず手を振る。一応女王様なのに...まぁ民間人にも冒険者にも変わらず接する所がセッカのいい所なのかも知れない。

手を振り答え、キューレへ声をかけておく事に。



「キューレ...その話デザリア確定って言わない方いいかも」


「わかっとる。数ヵ月前ノムーで一緒に見たじゃろ。そのへんの性格は知っとるし上手く言うのじゃ」


「ん、よろしく。わたしはちょっと気になるからデザリア行ってみるね」


「うむ、デザリアのクエストを受注して行くと色々便利じゃぞ」



ノムーから帰還したワタポ達と合流し、バリアリバルまでの馬車へ。

馬車内でもセッカ、ジュジュ、ワタポは忙しそうに何かを見ては難しい話をし。リピナは相変わらずフォンを忙しそうに操作していた。







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