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南さんは南にしかいない  作者: 柊秋人
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第一話 プロローグ

【登場キャラクター】


 ぼく  南さんに興味がある男子高校生。


 南さん 南にしか興味がない女子高校生。

 南さんというのはぼくのクラスメートの名前だ。

 下の名前は知らない。聞いたことはある気がするけど、忘れてしまったし誰も彼女のことを名前で呼ばないからぼくも知らない。ずっと彼女のことを見ているぼくがわからないのだから、案外誰も知らないのかもしれない。でも苗字しか覚えないのは他にも理由があるのだ。

「南さん」

 帰り際の彼女を呼び止める。実はちゃんと声をかけるのはこれが初めてだったりするのだが、そんなことはどうでもいい。

「なに?」

 今時珍しい丸眼鏡をかけたクールビューティー南さんが、その鋭くも冷たい視線をぶつけてくる。その目つきはぼくに新たな性癖を芽生えさせそうな気もしないでもないのだが、今はそんな暇はないから無視する。これでもぼくは壊れやすい純情ハートを持つ健全な男子高校生であるから、女の子に話しかけるだけでもそれなりに勇気がいるのだ。

「南さんは……、どこに帰ってるんですかっ?」

 いきなり話したこともないやつに意味のわからない質問をぶつけられれば、それはそれで危機感を抱いてしまうだろう。現に南さんも怪訝な表情を隠そうともせずに、その対応に窮しているようだった。まあぼくが南さんだったら無視してしまうだろうけど、それはやめてほしいと思う。彼女にとっては意味不明な問いだったとしても、ぼくにとってはとても重要なことなのだ。そんなぼくの願いが通じたのか、南さんは不機嫌そうな態度ではありつつも、その答えを聞かせてくれた。

「どこって……、そんなの南に帰るに決まってるでしょ」

 そう言い残して南さんは学校を後にした。対してぼくはというと、満足のいく答えを聞くことができてついにやけてしまっていた。



「南さんは南にしかいない」


 原作: 伊更木音哉/伊古元亜美


 執筆: 伊古元亜美



2015/01/27:前書き修正

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