# 6
飛行機に二時間半乗ると、沖縄県の空港についた。
「うわー!暑いー・・・・」
昴大がそう言った。
言うとおり、沖縄県は気候が全く違った。
「沖縄ではもう、海水浴できるもんねー」
「2日目の自由行動は、海水浴してもいいらしいね」
「えっ!そうなのか?!奈津!!!!!!!」
昴大は奈津稀の名前を呼んだ。
「ん?」
「自由行動で海水浴しようぜ!!山本と聖仁も賛成済み!」
「で・・・でも、水着、持ってきてないし・・・それに・・・・」
「あ。橋本さん!海の家で水着、借りれるらしいよ」
「山本、よく知ってるな」
「何回も来てますから♪」
「あ。でも、奈津って、泳げなかったよな・・・」
「だ・・・大丈夫だよ!海、入ろ?」
「よっしゃぁー!!!!!!」
「昴大、テンション高すぎぃー(笑)」
「初海だからな」
そんな話をしていると、担任が「さっさと来いー」と呼びかけ、急いでみんなのところへ走った。
1時間30分ほどバスに乗り、海辺のホテルに到着した。
部屋割りは、各クラス男女別の部屋だ。
「奈津稀ちゃん!」
「あ。乃愛ちゃん」
「うちら、クラス違うから、部屋も違うんやねー」
「そうだね・・・・・・」
「なあ、奈津稀ちゃん」
「?」
「夜・・・・部屋行ってもええ?」
「い・・・いいよ・・・・!」
「やった( ´∀`) 絶対行くね!!!じゃあ、うち、こっちやから」
「うん!ば・・・ばいばい」
「またあとでなー」
そう言うと乃愛は去っていった。
奈津稀は部屋の地図を見て、自分の部屋の位置を確認した。
するとそのとき、なにか重いものが頭に伸し掛った。
見てみると、昴大だった。
「昴ちゃん・・・・!」
「奈津、なにやってんのー?」
「部屋の位置・・・・・確認してて・・・・」
「どれどれ?・・・・俺らの部屋の隣の隣じゃん。ってか、すぐそこにあるじゃん」
「ご・・・ごめん・・・・見えなかった・・・・」
「奈津、昔から意外に方向音痴だよな(笑)」
「わ・・・笑わなくても・・・・!」
「ごめん ごめん(笑)ほら。部屋行けよ」
「う・・・うん・・・・!ありがと・・・・ね・・・・・」
「どういたしまして♪じゃあな」
「う・・・・ん!」
昴大は奈津稀が部屋の中に入ったことを確認して、去っていった。
部屋では、もう、クラスの女子が寛いでいた。
部屋に入って来た奈津稀に気づき、姫咲が声をかけた。
「あ。橋本さぁーん」
「は・・・はいっ・・・・!」
「遅かったね?」
「じ・・・実は、方向音痴・・・・でして・・・・。昴ちゃんに・・・・教えてもらってました・・・」
「そっかぁ。一緒に行けばよかったね?ごめんね?」
そう言って姫咲は上目遣いで奈津稀に謝った。
(山本さん、本当に可愛いよね・・・・・・)
そう思いながら奈津稀は旅行カバンを置いた。
これから夕食まで自由時間なので、奈津稀は部屋を出て、海に足を運んだ。
砂浜には、海を泳いでいる観光客と、奈津稀の学校の生徒が何人かいた。
奈津稀は人気のないところへ移動した。
「うわぁ・・・・。水が透き通ってる・・・・」
海の中を見ると、海の底にある砂浜が普通に見えた。
「夏って嫌いなんだよね。泳げないのに、海とかプールあるし・・・。
夏休みなんて長くて暇だし・・・・・・」
そんなことを言いながら、奈津稀は海辺を歩いた。
すると、石壁の向こうから男女の声が聞こえてきた。
覗いてみると、そこには姫咲とうちの学校の生徒であろう男子が抱き合っていた。
「優くん・・・・・・」
「姫咲・・・・・・・・大好き・・・・・・」
そして、姫咲とその男子はキスをした。
初めて自分の目でキスするところを見た奈津稀はそこから逃げようとした。
・・・・が、蟹がいることに気づき、「あっ!」と声をだし、転倒した。
その声に気づいた姫咲が、石壁を覗くと、転倒している奈津稀に気づいた。
「姫咲、なんだった?」
「んー?何もいないよぉ?あ。あたし、ちょっと用事があったんだったぁ。
優くん、またねぇ」
そう言うと姫咲は奈津稀の手をとり、その場から去っていった。