# 5
20分後。
奈津稀と昴大は、集合時間の10分前に学校に着いた。
昴大の姿を見た瞬間、女子が集まってきて、
奈津稀は居場所がなくなり、一人で立っていた。
その時、「橋本さん、おはよぉ」という声が聞こえた。
声がするほうを見ると、姫咲が笑顔で手を振っていた。
「山本さんッ・・・・!お・・・おはよ・・・うございます・・・」
「もう、敬語やめていいよぉ。修学旅行、雨っぽいけど、
楽しみだねッ♪」
「う・・・うん・・・!」
「今回は、橋本さんと仲を深めさせていただきます」
「そ・・・そんな・・・・滅相もございません・・・・」
「緊張しすぎぃ(笑)3日間、よろしくね^^」
「こちらこそ・・・・・・」
そのとき、向こうから「姫咲ちゃーん」という男子の声が聞こえ、
姫咲は、「じゃあ、またね」と言って去っていった。
数分後。
ほかのクラスの先生が集合の合図をだし、1年生は集合した。
先生から、注意事項、今回の目的などが説明されたが、
周りはみんな、楽しそうに話していた。
そこに、バスがやってきた。
どうやら空港までバスで行くらしい。
「じゃあ、バスに乗れー」
そう言うと、みんなは仲のいい友達と隣に座った。
昴大も、聖仁の隣に座っている。
仕方なく、空いている席を探し、そこに座った。
すると、隣の女子に
「あれ?橋本 奈津稀ちゃんだよね?」と声をかけられた。
「は・・・はい・・・・!」
「うち、大塚 乃愛。
1-Bだから、奈津稀ちゃんと違うクラスだけど、よろしくね!」
「こ・・・こちらこそ・・・・!」
改めて奈津稀は乃愛のことを見た。
髪はショートで、とても明るいが、少し大雑把そうな性格だ。
しかし、肌は色白で、目が大きく、とても可愛い子だ。
「うちな、大雑把な性格で、しかも、関西弁やけん、
友達できんでな。一人だったから、奈津稀ちゃんが隣に来てくれて
嬉しいわぁ」
「どこ出身なんですか?・・・」
「大阪ー。大阪ってうるさいって思われとるけど、まさにそう(笑)」
「で・・・でも、楽しいと思います・・・!」
「奈津稀ちゃん、ええ子やなぁ(笑)」
「いえ・・・・!」
「そういえば奈津稀ちゃんって、あのイケメンくんと幼馴染なんやろ?」
「イケメン・・・・くん・・・・?」
「ほら、同じクラスの大倉 昴大くん。
最近、有岡くんと一緒にいるのも見るけど」
「あ・・・うん・・・・。親が仲良くてね・・・家も隣で・・・・。
ごめんなさい・・・・・」
「なんで謝るん?!うち、別に大倉くんのファンじゃないけ(笑)
普通ファンだったら、
奈津稀ちゃんが隣に来てくれて嬉しいーとか言わないって(笑)」
「そ・・・それもそうですね・・・・w」
「あ。タメでいいよ?乃愛って呼んでな!」
「あ・・・はい・・・・あ。うん!!!!」
「よし(笑)」
そうこうしているうちに、空港に着いた。
今の時期は高校生が修学旅行に行く時期らしく、
他校もたくさんいた。
女子はカッコイイ人を、男子は可愛い子を他校から探していた。
他校の女子と男子も、昴大と聖仁と姫咲を見ている。
「さすが大倉くん、有岡くん、姫咲だなー」
「きさ・・・き?・・・・・」
「あ。なんで呼び捨てなんかって?中学、一緒で、元々は
親友みたいなもんだったんだよ?(笑)」
「そうなんだ・・・・」
「もー。遠慮がちな顔せーへんでよ(笑)」
「ごめん・・・・・」
「ほら。早くみんなのところ、行こ!」
乃愛に言われて、奈津稀は走った。
今日から2泊3日の修学旅行が始まる。