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# 4

3週間後。

今日は、修学旅行前日だった。

一人で登校している奈津稀に「おはよ!」と言って走ってきたのは、

昴大だった。

「昴ちゃん、おはよ・・・!」

「とうとう明日だぜ!もう、昨日から楽しみすぎて寝れねぇー!!」

「・・・テンション高すぎ・・・・」

「そういう奈津だって(笑)」

「だ・・・・だって・・・!

初めてだから・・・・友達と泊りがけって・・・」

「そっか(笑)」

昴大はそう言って奈津稀の頭を撫でた。


次の日。

朝5時30分ごろ、奈津稀の家のチャイムが鳴った。

奈津稀はそのチャイムで目が覚めた。

母が出ると、そこには昴大がたっていたらしい。

奈津稀がパジャマ姿でリビングに行くと、

奈津稀の代わりに、昴大が朝食を口に運んでいた。

「あ。奈津、はよー!」

「な・・・昴ちゃん?????!!・・・・な・・・んで・・・・」

「楽しみすぎて目が覚めて、いてもたってもいられず・・・。

おばさん、すんません」

「いえいえ。最近、うちに遊びに来ないから嬉しいわ(笑)

会わないうちにイケメンになっちゃってー。学校でモテるの?」

「そんなっ!モテないっすよー(笑)」

「えー?奈津稀、そうなの?」

「・・・・・めっちゃモテてます。学校内で一番の美女と、

美男美女カップルって呼ばれてます」

「あらー。やっぱり!」

「え?俺、そんなこと言われてんの?ってか、美女って誰」

「・・・・・・自覚なし・・・・・・」

「?」

「ってか、なんで私の朝食・・・食べてんの・・・!」

「いやー。成長期なもんで、朝飯、足りなくて」

「・・・・・・・」

「ほーら!奈津稀も早く支度しちゃいなさい。その間にご飯、作るから」

「はーい・・・・・・」

そういうと奈津稀は自分の部屋に戻っていった。

「奈津稀、あんな感じだけど、最近は笑顔が増えてね。

昴ちゃんとか、あと・・・有岡くんって子の名前が最近出るのよ。

昴ちゃんのおかげね。ありがとう」

「いや。奈津がよく話すのは、俺のおかげじゃないです(笑)

この前、学校で何年ぶりかに奈津の笑顔見ました」

「そう・・・・。とにかく、今回、自分から修学旅行行くって言ってくれて、本当に嬉しかったわ」

そのとき、2階から「ママ、旅行バッグ、どこー?」という

奈津稀の声が聞こえ、母は2階に上がっていった。

一人になった昴大は、リビングを見渡した。

小学3年生以来、入ることのなかった奈津稀の家は、

少し変化が見られ、リビングにあった奈津稀の遊び道具はなくなり、

家族写真が飾ってあった。

そこには、笑顔で写っている奈津稀と、奈津稀の母親、そして、亡くなった父親だった。

8年前のことは、昴大も忘れることはできなかった。

父親が亡くなったのが、奈津稀は友達ができなくなった原因でもあるのだがら。


数分後。

2階から身支度を整えた奈津稀がおりてきた。

「昂ちゃん、またせてごめんね・・・・」

「いいって。朝飯は?」

「あ。うん・・・・・・・!」

奈津稀はそう言うとキッチンに向かう途中に、家族写真を見て、「パパ、おはよう」といった。

奈津稀が朝食を食べている途中、昴大はテレビでニュースの天気予報を見ていた。

「今日の沖縄は・・・・曇りだってー」

「昂ちゃん、明日は?」

「んっと、ゲッ・・・・・雨じゃん・・・・・」

「そっかー・・・・。自由行動なのにねぇ・・・・・・」

「まあ、雨って言っても、傘させばいいじゃん?ほら。早く食べろ」

「う・・・うんッ・・・・・」

10分後。

奈津稀は「ごちそうさま」と言って、朝食を終えた。

それから20分後。

奈津稀は髪を整え、顔を洗い、歯磨きをして、身支度バッチリになった。

「奈津ー、何時に行くー?」

「えっとー・・・集合が8時だから、7時30分かな・・・・?」

「オッケー。あと5分か。俺、傘とってくるわ」

「あ。わかった・・・・」

そう言うと、昴大は出て行った。

奈津稀も母に、折りたたみ傘を出してもらい、旅行カバンに入れた。

準備ができると、奈津稀は靴を履いた。

「あら。もう行くの?」

「うん。って言っても、あと30分だし・・・・」

「そう。気をつけてね」

「うん」

「楽しんできなさいね。昂ちゃんと、有岡くんだっけ?仲良くね」

「・・・・・うんッ♪行ってきます!」

「いってらっしゃい」

奈津稀は母にそう言うと、家を出て、昴大の家の前で待った。

するとすぐに、昴大と、昴大の母が家から出てきた。

「あんた、気をつけなさいよ」

「わかったってー」

昴大の母は、奈津稀の姿に気づき、奈津稀は会釈をした。

「あらあら。なっちゃん?!」

「お久しぶりです・・・おばさん・・・・!」

「元気にしてたぁ?もう、全然見ないから・・・。気をつけて行っておいでね。

昂が迷惑かけるだろうから、よろしくね」

「はい(笑)」

「母さん、いちいち言わなくていいって・・・。行ってきます」

「行ってらっしゃい!!!」

奈津稀と昴大は、昴大の家をあとにした。

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