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# 3

次の日。

LHRの内容は、3週間後に控えた修学旅行についてだった。

「静かにしろー。今日のこの時間は、3週間後にある修学旅行についてだ」

「せんせー、どこ行くんですか?」

「今から修学旅行のしおりを配るから、それを見ろ」

そう言うと担任は、みんなに奈津稀の作ったしおりを配った。

しおりを見ると、1日目は観光名所巡り、

2日目は自由行動で、3日目は水族館に行くようだ。

「今年の修学旅行の行き先は沖縄だ。2泊3日で、今から、班を決める。

自由だが、男女の人数が平等になるように」

そう言うと、聖仁と昴大の以外の男子は姫咲のところに集まり、

奈津稀と姫咲以外の女子は聖仁と昴大のところに集まった。

「大倉くん、有岡くん、一緒の班になろーよー」

「ええ!私と一緒だよ!!」

「姫咲ちゃん、一緒の班になろうぜ」

「姫咲ちゃんと一緒の班になるのは俺だ!」

みんなそんなことを言っていた。

中学生のころから一人だった奈津稀は、宿泊学習や、

修学旅行などの泊りがけの行事は欠席していた。

今回も欠席するつもりだった。

その時、後ろの席のほうから、「え。大倉くん?・・・」「どこいくの?」と言う女子の声が奈津稀の耳に入ってきた。

そして、そう言われていた昴大が、奈津稀の席にやってきた。

「こ・・・昴ちゃん?・・・」

「奈津は誰かと一緒の班になるの?」

「え・・・。私は・・・・欠席するよ?・・・・」

「はあ?こんな楽しい行事、欠席すんなよ」

「で・・・でも・・・・・一人だし・・・・・」

「んじゃ、俺と同じ班になろうぜ」

「えっ・・・・・」

昴大の言葉を聞いて、女子たちは「えー?!」「なんで?!」

「私たちが最初に誘ったのにー」と口々に言った。

聖仁も最初はビックリしたが、すぐに

「俺も委員長と一緒ならいいよー」と昴大と奈津稀に言った。

「っつーか、なんで聖仁、俺と同じ班ってことになってんだよ」

「えっ。酷くね?!いつでも一緒だろ!!!!」

「キモイわ」

「なっ・・・・!昴大、反抗期か????!!」

「・・・・」

「無視んなああ!!!!」

昴大と聖仁の会話を聞いて、女子たちは「諦めようか」「ってか、あの2人、おもしろー(笑)」と言った。

「ってことで、奈津、一緒の班になろー・・・・ぜ・・・・」

昴大が奈津稀のことを見ると、そこには、いつの間にか目にしなくなった

奈津稀の笑顔があった。

「い・・・委員長が笑った・・・」

「橋本さん・・・・今・・・・」

昴大の他にも、聖仁も、女子も、その様子をみていた姫咲と、男子も、

担任も、クラス全員がその笑顔を目にしていた。

しかし、気づいたときには、もうその笑顔はなく、

いつもの奈津稀に戻っていた。

「奈津・・・・今・・・・笑った・・・・・?」

「・・・ご・・・ごめん・・・・。

昴ちゃんと、有岡くんの会話が・・・面白くて・・・・・」

そう言って奈津稀は謝った。

その時、「決ーめたッ!」と言う声が教室にきこえた。

その声は、姫咲だった。

「姫咲ちゃん、決めたってなにを?」

男子の一人が姫咲に聞くと、姫咲は笑顔で、

「あたし、橋本さんと一緒の班になろうかな?昴大もいるし、

有岡くんとも仲良くなれそうだし!いいよね?橋本さん?」

姫咲は奈津稀に笑顔で言った。

「で・・・でも・・・・私、行かな「行くんだよ」

「・・・・え?・・・・・」

「奈津は行くんだよ。友達作るチャンスだろ!」

「昴ちゃん・・・・。や・・・山本さん・・・・・」

「んー?」

「よ・・・よろしくお願いします・・・ッ!」

奈津稀はそう言って、深々と頭を下げた。

「うんッ!よろしくね♫昴大と、有岡くんも!!!」

「おう」

それから数分後、男女とも、それぞれ班を作り終えた。


放課後。

今日は、サッカー部は休みで、奈津稀は、昴大と聖仁と一緒に下校した。

「あ。委員長、悪ぃけど、弟の迎え、行くから、寄り道してもいい?」

「う・・・・うん・・・!」

「毎日、昴大と帰る日は寄ってんの」

「そうなんだ・・・!」

3人で話していると、聖仁の弟が通っている幼稚園についた。

「こんちゃー」

聖仁がそう言うと、建物の中から先生らしき女性が出てきた。

「あ。聖仁くん、お疲れ様。ちょっと待っててね。

悟司くん、呼んでくるから」

そう言って女性は建物の中に入っていった。

数分後、建物の中から猛スピードで

「兄ちゃーん!」と言って走ってくる男の子が出てきた。

「悟司、待たせたな」

「兄ちゃん、遅ぇよ!!昴兄も来てくれたんだ!・・・・・?・・・」

そう言うと、弟は奈津稀の存在に気づき、不思議な顔をした。

「あ。この子は兄ちゃんのクラスメイトで学級委員長してて、

昴大の幼馴染の橋本さんだよ」

「は・・・はじめまして!橋本・・・・奈津稀です・・・ッ」

「ほら。悟司、挨拶は?」

「あ。有岡 悟司です!!!!5歳!!!」

そう言って悟司は自分の手で「5」を示した。

「じゃあ、帰ろうか」

「うん!せんせー、さよーなら」

「はい。さようなら。気をつけてね」

先生は手を振って、4人を見送った。

「昴兄、肩車してー!」

悟司は昴大にそう言った。

「悟司ー!俺がやってやっから」

「兄ちゃん、昴兄より低いもん。昴兄ー!」

「わかったって(笑)ほらよ」

昴大は悟司の前にしゃがんだ。

「おー!高ぇー!!!」

「昴大、悪ぃな」

「いいって(笑)聖仁より身長が高いんだからさ」

「お前、喧嘩売ってるだろ・・・」

「へへ(笑)」

「ねーねー?昴兄と・・・・なっちゃんって付き合ってるの?」

「え?なっちゃんって、委員長のこと?」

「うん」

それを聞いて、奈津稀と昴大は目を合わせた。

「ち・・・違うよ!昴ちゃんは、幼馴染・・・なの・・・!」

「そうそう(笑)」

「でも、仲いいじゃんー」

「じゃあ、悟司は夢ちゃんと付き合ってんのか?」

「ち・・・違ぇーし!!!!!!!(照)」

昴大と悟司がそんな会話をしている中、奈津稀は聖仁と話した。

「夢ちゃんって?」

「悟司の会話にいっつも出てくる幼稚園の女の子(笑)」

「なるほど・・・」

「委員長ってさー、昴大とマジで幼馴染ってだけ?」

「えっ・・・・?????!!」

「いやー。幼馴染にしちゃ、仲良すぎるっつーか、

恋人にしちゃ、そんな雰囲気でもねーけどな」

「ほ・・・本当に違うよ!家族みたいなものだよ・・・・!

昂ちゃんも・・・そう言ってたし・・・・」

「そっかー。案外、お互い鈍そうだねー」

「え?・・・・・」

奈津稀は聖仁の言葉の意味が理解できなかった。

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