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第四話 目覚めのキッスと遅刻な朝2

遅刻な朝第二弾! ……別に期待してない? まぁ、いいじゃないですか。男のロマンですよ、お早うのキッス。

 太陽の光が僕の瞼を刺激する。もう朝らしい。本当なら学校へ行かねばならないけれど、布団の中で微睡むのは本当にに気持ちいい。つまりは二度寝最高なわけで…………………ぐぅ。


「ぉ………ぃ」

耳元で誰かが叫んでいる気がする。まぁ、誰がいくら叫んだところで二度寝さまに敵うわけが無いんだけどね。多分アルだろうから起きる義理もないけれど。

「おきて……」

ってあれ、アルの声ってこんなに高かったかな。まだ寝させて欲しいんだよね。

「うーーん」

僕は声から遠ざかろうと寝返りを打った。声の主は不満そうにうなり声を上げる。

「う〜〜、こうなったら最後の手段……」

声の主はベッドに飛び乗った。ベッドが歓喜の声に似た軋む音を上げる。声の主はそのまま僕に覆い被さるように近づいてきて、

「お目覚めのキッス♪」

爆弾発言を繰り出した。

「まてぇぇぇい!」

問題行動を起こそうとしたそいつを僕ははねのけ、飛び上がるようにして起き上がる。

「きゃっ!」

声の主のその少女は可愛らしい声を上げて尻餅をついた。僕は重い瞼を持ち上げ、少女の姿を確認する。

 彼女は、一言でいえばとても可愛いかった。小柄な体に小さな顔。くりくりと大きな瞳に今は涙をためていて、それは宝石のように輝いている。僕の学校の制服で身を包み、腰まである色の薄い茶色がかった髪を二本にまとめたその姿は天使のようでさえあった。彼女を知らなかった頃の僕にとっては、だが。

 僕は少女を睨み、そして冷ややかに言い放った。こういう時ははっきり言ってやらねばなるまい。

「キミ、誰?」

「はうっ!?」

少女は銃で撃たれたかのように体を仰け反らせる。そのままふらふらと後ずさって、壁に背を預け、なんとか僕を睨んだ。

「あたしのこと、忘れちゃったの……?」

「うん」

即答。すぐさま否定。これでもかと否定。僕のふぁーすとキスを奪おうとした罪は重いのだ。

 彼女は今にも泣き出しそうなくらいに、目に一杯の涙をためている。

「どうして……? 結婚の約束までしてあんなことやこんなことまでした仲なのに……」

ちょっと待て。そんな約束したことない!!

「いやいやいや、してないから! あんなことやこんなことやあれなこともしてないから!」

僕は慌てて横に首を振る。事実無根、冤罪だ! 彼女は僕の慌てふためく様子を見てにやりと笑う。

「それじゃあ今から、してみる?」

彼女はそういってボタンに手を掛け、一つずつ外しながら僕の方へ歩み寄ってくる。その表情は外見に不釣り合いな妖艶な微笑み。

 まずいまずいまずいっ! 世界征服が夢ってこと以外は健全な高校生の僕にとって、これは刺激的過ぎるッ!!

 僕は目を右手で覆って必死に止めた。

「待った待った! 忘れてません、覚えてます! ほんの出来心だったんです! だから服をちゃんと着てください!」

僕の制止など気にも留めず、彼女は上着をはだけて僕に歩み寄る。僕は必死でそれを見ないように目を…………、瞑れなかった。つまりは彼女の白い肌に目が釘付けになってしまっているわけで。自分の弱っちい意志じゃ抗い難いわけで。指の隙間から覗き見ちゃうわけで。

 彼女は僕の理性と本能の葛藤を知ってか知らずか、無造作に無防備に僕に歩み寄る。その表情は僕を誘っていながら、恥じらうように頬にほのかに赤みが差していた。

 ごめん、父さん。あんたは大っ嫌いだけど、迷惑だけはかけまいと生きてきたよ。でも今から巨大な迷惑をかけることになりそう。僕は自分の内の獣を抑えられない……!

 僕の理性という名の鎖が音を立てて千切れ……、る前に突然と部屋の扉が開いた。

「何をしているのですか、魔王様?」

僕と少女は硬直。僕は冷や汗が吹き出してるし、彼女の顔も青を通り越して白い色になっていた。

 いつもは黒猫でいるはずの黒ずくめのアルは、小さくため息をついた。

「沙雪、貴女が魔王様に何をしようが勝手ですが……」

ちなみに沙雪というのは僕の目の前にいる半裸の少女の名だ。つーか、

「僕の人権完全無視なのかな?」

アルは僕の質問に答えない。ただ時計を指差して、

「もう八時を過ぎていますよ」

死刑宣告を下した。

「なっ……」

「うそっ……」

僕と沙雪さんは同時に、弾かれるように時計に目を向けた。時刻は八時五分。遅刻決定とまではいかないまでも、非常にマズい時間帯。

 僕は錆び付いた機械のように、ぎぎぎと首を動かして沙雪さんに提案した。

「色々聞きたいこととかあるけど、ここは一時休戦して、急ぐことにしない?」

沙雪さんも僕と同じように、ぎぎぎと首を動かす。

「賛成〜〜。とにかく今は……」

僕と沙雪さんははかるように間を取って、同時に街全体に響きわたるように叫んだ。


「「遅刻するーーっ!!」」

しばらくぶりの投稿ですね。朋くんのキャラとかアルのキャラとか文体とかが変わってなければいいんですが……。良ければ評価とか感想とかお願いします。それによって更新スピードが変化します!  そして次回は学校編! 沙雪の正体とか例のあの人とかが明かされまくります!!

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