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第十八話 沙雪さんの暴走と怪獣大戦争

 暖冬だと叫ばれてる最近にしてはやたらと寒い今日は、火曜日だ。

 学校の授業に精神を削られ、また毎日が平和で欲求不満が溜まっていて暴走しがちな沙雪さんを押し留めることに肉体を削られ、何となく満身創痍な僕はうなだれながら、よたよたと家路を辿っている。

「大丈夫? なんか疲れてるみたいだけど……」

「それを君が言うの……?」

「?」

僕の隣にはいつものごとく沙雪さんがいる。今は至極普通で、僕の心配なんかしちゃってます。

 ……この疲れの半分は君のせいなんだけどね。

 というか、暴れたいならアルとかジェイクとじゃれてればいいような気がするけど、沙雪さん曰わく、アルは手を抜くからつまんないしジェイクは屋敷が無くなりかねないから止めとく、ということらしい。

 なんというか、うん。屋敷のメンバーって相当アンバランスだね。なんていうか、戦闘要員の連携は皆無だしジェイクとアルの仲は壊滅的に悪いし。

 何となく屋敷の今後と魔王という役職の必要性に疑問を抱きながらため息をついた。

「なんていうか、前途多難だなぁ……」

「? どうしたの?」

「……ハァ……」

僕は沙雪さんをちらりと見て、これ見よがしにため息をついた。沙雪さんは眉間に皺を寄せる。

「何よ。感じ悪いなぁ」

「沙雪さんを見てるとどうも疲れが……」

「それってどういう意味かな?」

「そのまんまの……ぐっ!?」

沙雪さんの右手が僕の首を掴み、そのままぎりぎりと締め上げ始めた。

 息がっ、苦し……。

 沙雪さんはにやりと口角を吊り上げた。その瞳は真紅に染まっている。

「朋……、疲れるってこういうことかな?」

「くる……し、おろ……し、て……」

僕の声など聴こえないかのように、いや実際聴こえていないのだろう、僕の首にかかる力は一向に弱まる気配がなく、むしろ強まってさえいる。

 沙雪さんは完全に正気を失っていた。


 沙雪さん達、鬼という種族は基本的に人間と同じ生態の亜人である。その筋力、俊敏性は人間のそれの数段上だが。

 人間の上位種といっても過言ではない鬼であるが、彼らには大きな弱点が存在する。それは欲望の衝動が激しく、理性が弱いということ。欲望が程良く満たされていればそれに悩まされることは無いが、欲望が満たされない状態がある程度続くと……、今の沙雪さんみたいに見境なく欲望を満たしに走るのだ。


 どうにか、どうにか沙雪さんを止める方法は無いものか……。って不味い、意識が、遠、のく……。

「あ、良いこと思い付いた」

「ぐぁっ……」

沙雪さんは突然と手を離した。意識が半分飛んでいた僕はコンクリートに叩き付けられた痛みで無理矢理に意識を覚醒させられる。

 沙雪さんは僕に目を向け、にっこりと微笑んだ。

「朋は闘えるんだったよね? ……あたしとじゃれ合ってみない?」

「嫌です」

拒否。断固拒否。地面に這い蹲りながらも、僕はきっぱりと断った。

 性能的に完全に劣っている僕は一瞬で肉塊に変えられるに違いない。いや、何か断ってもあんまり変わらないような気もするけれど、何とか活路を探す。


「お、朋殿。どうして地面に這い蹲ってんだ? 沙雪もなんでそんなに殺気立ってんだ?」


 探すまでもなく、活路は転がり込んできた。

「良くやった。誉めてつかわすぞ、ジェイク」

「朋殿、キャラ変わってんぞ?」

「気にするでない」

僕はふらつきながらもゆらりと立ち上がった。キャラが変だって? それは頭に酸素が行ってなかったであろう。

 さて、沙雪さんをジェイクに襲わせて僕は逃げよう。一目散に逃げ出そうじゃないか。

「沙雪さん。今からジェイクとじゃれ合うことを許可する。被害は考えなくていい。思いっきりやってくれ」

「ホント!? ……腕が鳴るわ……」

沙雪さんは愉悦の表情で構えをとる。ジェイクも楽しそうに、豪快に笑った。

「おぉ、いいねぇ! 俺もそろそろぶっ壊しまくりてぇと思ってたんだ」

二人は親の敵でも見るかのように睨み合う。

 僕はその隙に回れ右して一目散に逃げ出した。兎に角、二人の戦闘圏内から脱出しないと、いつの間にかミンチみたいになってるのが関の山だ。

 と、後方で何かが爆発したような音がして、やたらと甲高い悲鳴が響いた。


 聞こえない、聞こえないぞ!!


 僕は心を鬼にして走り続けるのだった。

最近、コメディしてない気がします。どれもこれもネタが無いのが問題です。

こんな話が読みたい、なんていう要望がありましたらメッセージとかで送ってください。お願いします。

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