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第十一話 全てが謎な校長と生徒会長争奪戦開幕

今回、いつもよりも多少短いです。次回への布石…………かもしれません。

 今日は生徒会選挙の日。というか、選挙ではなくふざけた乱闘パーティーなのだけど。

 僕は高崎先輩の陣営であるため、東門で高崎先輩を待っていた。彼はまだ来ていない。ついでに隣では、沙雪さんが空をぽけっ、と見つめていた。

「ねぇ、沙雪さん。大体想像はつくけど、高崎先輩の陣営に手を貸すの?」

「うん、当たり前よ!」

沙雪さんは僕に視線を移し、任せて、とでも言うかのようにどんと胸を叩いた。

 ……おかしい。沙雪さんも高崎先輩を嫌っていた筈だ。それこそ親の敵とでもいうかのように。それなのに、どうしてこんなにやる気満々何だろう? ……はっ! もしや……。

 僕は沙雪さんのちょっとした表情の変化も捉えられるように軽く集中して、問う。

「沙雪さん。もしかして買収されたの?」

「えっ!?」

沙雪さんはあからさまに驚いた。それはもう、耳元で大きな音を立てられた子猫のように飛び上がって。

 高崎先輩も必死だな。

 沙雪さんはきょろきょろとせわしなく視線を辺りにさまよわせている。そこら辺に答えが落ちてるわけ無いのにね。

「えーと、んーと……。そう! 高崎先輩と和解し……」

「物で釣られたんだね?」

「う……」

「釣られたんでしょ?」

僕の追及に沙雪さんは諦めたように小さく肯いた。

 全く、あのクソ野郎(高崎先輩)は美学って奴を持って無いのかよ。

「それは違うな。美学というものは勝者にしか語れないのだ。美学が先では無く、勝利が先だと言うことを認識し直すべきだよ、滝川君」

「うわっっ!?」

なっ! 高崎先輩、いきなりここに現れなかったか!?

 僕が沙雪さんに目配せすると、沙雪さんにも認識できなかったらしく、彼女は目を白黒させていた。何者なんだ、高崎先輩は?

「さて、これから生徒会長争奪戦が始まるわけだが。まず初めに言っておく。敵は運動部連合盟主のバレー部部長、三朝葵みささあおい以下五人だ。その外は棄権した」

「棄権って……。何しやがったんですか、高崎先輩……」

この男のこと、恐らく強請ったんだろうね。基本的に素直だけど、敵には容赦がないから……。

 沙雪さんはさも不思議そうな顔で尋ねた。

「その三朝先輩はどうして棄権しなかったんですか?」

「それ、僕も聞きたいです」

「いやな、ヒーローにはライバルがつきものだろう?」

得意気に語る高崎先輩。硬直する僕と沙雪さん。恐らく僕と沙雪さんの思考は今、一致していると思う。


ーーこいつ、どうしようもない馬鹿だーー


「二人ともどうした?」

『何でもないですよ!』

訝しげな視線を投げてくる高崎先輩に、僕と沙雪さんは同時に愛想笑いを浮かべて、首を横に振った。

「そうか?」

高崎先輩は納得してはいないようだが、追及する気は無いらしい。

 僕が胸をなでおろしていると突然、スピーカーに電源が入るときの音が耳に届いた。

『皆、元気ですかーーッ!?』

同時に響いた大地を揺るがすような大音量に、僕と沙雪さんは飛び上がって驚いた。高崎先輩は、またか、と呟いて、ため息をついた。

『俺が校長じゃ!』

校庭に備えてあるスピーカーがそんなことをのたまった。

「こ、校長!? あたし、そんなのいないと思ってたよ!」

沙雪さんの言葉に僕も肯いた。

 入学してから今まで、色々な行事をこなしてきたが、校長が出てきたのを一度も見たことがない。校長の役割は、いつも教頭が担っていたのだ。

 驚く僕達に、高崎先輩は半ば諦めたように言った。

「校長は昔からこの行事にのみ、そして声だけ参加しているらしい。だから、校長が誰なのか知っている人間は、ここ十年程の間に一人もいないんだ」

「それ、校長って言うんですか?」

実際、校長の責務を果たしていない気がする。高崎先輩は深く、深くため息をついた。

「校長兼理事長だからな。何をしても許されるらしい」

「横暴ですね……」

なんて羨まし……、いやいやなんて悪い校長なのだろう。いつか悪の鉄槌をくらわせるべきだね。悪は更なる悪に淘汰されて然るべきなのだ!

「朋、顔が悪い人みたいになってるよ?」

沙雪さんがの耳元で囁いた。まずいまずい。早くも正体を曝してしまうところだった。

「ごめんごめん。これから気を付けるよ」

僕はいつもの爽やかスマイルで返す。沙雪さんは微妙な表情で曖昧に肯いた。

「その笑顔、気持ち悪いね」

「ひどっ!?」

沙雪さんの一言で僕の弱いハートはずたずたのぼろぼろだよ! そういうのは生暖かい笑顔で本人が気付くまで見守ってやるべきだよ!

「滝川君、始まるぞ」

高崎先輩は僕の肩に手を置いた。その顔は真剣そのもの。

 今までBGMと化していた校長の声が遠くの山まで木霊する。


『これより、生徒会長争奪戦、スタートじゃ!!』


そうして、血で血を洗う最高に最悪な戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

現在テスト期間中だというのに更新してしまった馬鹿な僕……。そんな僕に愛の手(感想)を……。更新周期が速まるかもしれません。

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