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第十話 滝川朋と天敵な生徒会副会長

前回のあとがきで書いた次回予告の半分も達成出来てません。すみませんでした。今後はもう次回予告は自粛します。

「やぁ、滝川君。少し、いいかい?」

いつもの学校の昼下がり。僕に声を掛けてきた人物は、僕が一番会いたくない人物だった。

 僕は思い切り悪意を込めて言葉を放った。

「良くないです。自分の居場所に戻ってください。出来れば死んでくれれば上出来です」

「ご挨拶だな……」

僕より一つ年上の少年はやれやれと小さく肩をすくめた。そのどこか優雅な感じな仕草が僕の癇に触っているというのが分からないのだろうか?


 彼の名は高崎瞭あきら。剣道部部長で生徒会副会長を務めている。すらっと背が高く、目鼻立ちのすっきりしている、いわゆる美形と呼ばれる容姿を持っている上に、頭脳明晰、運動神経抜群、そして性格にさえ欠点が無い完璧超人だ。……別にうらやましいわけじゃない。うらやましくなんか、うらやましくなんか……。

 嫌いになる要素が無いように思えるが、高崎先輩は屋敷の人間にさえ知られたくない僕の秘密を知っている。まぁ、彼が秘密をネタに恐喝まがいのことをする人間ではないことは分かってはいるが、嫌なものは嫌なんだ。むしろ生理的に嫌。


 僕は更に冷たい言葉を重ねた。

「落ち込んでる暇があるなら僕の前からすぐに消えてください。やっぱり世界から消えてください。消滅しやがれ」

「消滅ときたか……。全く、何が気に入らないんだい?」

「全部です。どうでもいいから早く消えろ」

僕は犬でも追い払うかのようにしっしっと手を振る。高崎先輩は僕の言葉を全部真に受けたらしく、うーんと唸りながら首をひねっていた。

 全く、この人は他人の言うことを真に受けすぎなんだよ……。それが一番ウザいんだけど。

「……要件は何ですか? 五文字以内に纏めて説明してください」

高崎先輩は腕を組んで一言。


「生徒会選挙」


……は? 何を言っているんだろうこの人。分かんねー。

 高崎先輩は口を閉じたまま、説明さえしようとしない。……もしかして、五文字以内っていうのを守っているのか? いや、きっとそうなんだろう。

 僕はどっと疲れた気がして深く、深くため息をついた。

「もういいです。気が済むまで要件の中身を説明してください」

「いいのか? では話そう。あれは一年前の今頃……」

あれ? 出だしがおかしくない? でも気が済むまで聞くって言った手前、最後まで聞かなきゃならいだろう……。



〜五時間後〜

「……という訳で君に生徒会ポスト争奪戦の手助けを頼みたい」

「は、はぁ」


つ、疲れたーー! というか五時間って何!? 何をそんなに説明してたの!? もう外は真っ暗だよ!! あぁ、アルのことだ。僕の晩御飯はしっかり処理されて残っていないんだろうな……。だから高崎先輩は嫌いなんだ……。



 高崎先輩の話を要約するとこうだ。高崎先輩は生徒会会長に立候補しているらしい。

 ただ、ここの生徒会選挙は他校とは違って、立候補者がそれぞれ南門、北門、東門、西門からスタートして、一番早く校長室にたどり着いたものが生徒会会長になれるというものだという。更に、立候補者には一般生徒が妨害できるというシステムがある。つまりは人望のない人間でも、よほどの能力があれば生徒会会長になれるというのだ。ちなみに妨害は道具さえ使わなければ何をやってもいいという野蛮なもの。

 そして、勝利するためには僕の力が必要らしい。

 ……既にツッコミどころが多すぎてどこからツッコめばいいのやら……。



「で、先輩。どうして僕の力が必要なんでしょうか?」

そう、最大の謎はこれだ。道具使用不可なら竹刀も使えないということ。竹刀を使えない僕は、あまり役に立たない気がするのだけど……。タイマンなら最強の自負はあるけどね。

 高崎先輩は、ぽんと思い出したように手を打った。

「あぁ、その説明を忘れていた。では話そう。それは今年の春の……」

「先輩。簡潔にお願いします」

さっきみたいな長話はもうごめんだ。

 高崎先輩はとても残念そうに顔を曇らせた。

「仕方ない、簡潔に行こう。君には全校生徒の約六分の一が所属するファンクラブがついているんだ」

「……はい?」

僕は予想外の答えにぽかんと口を開く。高崎先輩はご丁寧に説明までしてくれた。

「ファンクラブの名前は『朋くんを弟にし隊』だ。全学年女子の半分と少数の男子が所属している」

「何ぃいぃぃ!?」

何だ『朋くんを弟にし隊』って!? そんな集団初めて聞いたぞ!? つーかファンクラブって女子も作るのか!?

「ちなみに隊長は水瀬沙雪君だ」

「何ですとぉおぉぉお!?」

あのクソアマ、何してくれてやがるんですか!? 何か女子の僕への態度が妙だなと思ったのは沙雪さんのせいかぁぁぁ!!

 高崎先輩は僕の心の叫びなんかお構いなしに問う。

「それで、協力してくれるのかい?」

僕は必死で心の叫びを抑え込む。これは今爆発させるべきではない。屋敷で、沙雪さんに爆発させるべきだ。

 どうにか心の中で暴れるものを押さえ込んだ僕は、黒い笑みを浮かべる。いわば魔王の微笑み。

「高崎先輩。僕が義理や人情で動く人間じゃないのは知っていますよね。……報酬は何ですか?」

「ふむ、生徒会副会長でどうかな?」

む、悪くない条件だ。この学校における生徒会の権力は絶大。恐らく教職員よりも上だろう。その代わりに運動部連合という天敵もいるが。しかし、しかしどこか決め手に欠ける……。

 僕が渋るように黙っていると、高崎先輩は懐から一枚の写真を取り出した。そ、それはもしや……!?

「私が生徒会会長になったあかつきには、君に彼女の写真をあと十枚進呈しよう」

「分かりました。全力を尽くします」

僕は即答。二つ返事でOKした。

 ……ってしまった!? 嵌められた!! 僕の想い人の写真を使うなんて卑怯な!!

 高崎先輩は満足そうに頷いて、

「君の働きに期待しているよ。では、明後日、戦場で会おう」

颯爽と教室を去っていった。僕はぽつりと一人教室に取り残された。


「……大変なこと約束しちゃったなぁ……」

まさか彼女の写真につられるとは。

 僕は自分の未熟を呪いつつ、同時に頬が緩んでいるのも感じた。

 誰だ、浅ましいって言ったの!! 僕だってねぇ、魔王なんかやってるけど高校生なんだよ? そりゃ想い人の一人や二人くらい……、って終わり!? 僕の言い訳の時間は!? 僕に弁明のチャ………(強制終了)

ファンクラブについて……『朋くんを弟にし隊』を最大グループとして、他にも沢山のファンクラブが存在します。沙雪さんや里香、高崎先輩のファンクラブもあります。小規模ですが、朋くんの想い人のファンクラブもありますよ。ちなみに『朋くんを弟にし隊』の主な活動は、朋くんの活動日記と(ストーキング)、写真撮影(盗撮)が主なものです。

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