心温まる童話:雲の上の「おそうじ風車」とすっきり青空
気楽に読んで
心温まる童話:雲の上の「おそうじ風車」とすっきり青空
ある街に、とても真面目で優しい男の子が住んでいました。
男の子は毎日、一生懸命に暮らしていましたが、ひとつだけ大きな悩みがありました。
それは、どこからともなく聞こえてくる「正体不明のガガガ声」でした。
その声は、男の子が本を読んでいるときも、お茶を飲んでいるときも、耳元で意地悪な雑音を響かせてきます。
気がつけば、もう3年もの間、その声に悩まされていました。
「もう、本当にいやだな。心が病気になってしまいそうだ……」
12月の冷たい風が吹く年末の日、男の子はすっかり元気をなくして、机に伏せてしまいました。
そのときです。窓の外から「パタパタパタ!」と、小さな羽の音が聞こえました。
見ると、頭にカラフルな風車をつけた、ちいさな「風の妖精・フウ太」が窓辺に止まっていました。
「どうしたの? そんなに悲しい顔をして」とフウ太が尋ねます。
男の子が
「正体不明の嫌な声がずっと聞こえて、心がへとへとになっちゃうんだ」
と打ち明けると、フウ太は胸をドンと叩きました。
「よし、ぼくの『おそうじ風車』の出番だね! ぼくについてきて!」
フウ太が男の子の手を握ると、2人の体はふわりと宙に浮かび、冷たい冬の空を突き抜けて、雲の上の世界へと飛び立ちました。
たどり着いたのは、キラキラと輝く星くずで作られた、大きな風車の丘でした。
「いいかい? 地上にある嫌な言葉や、誰かを傷つける正体不明の声はね、ときどき空の雲に引っかかって、いたずらな雑音になっちゃうんだ。だから、こうやってお掃除するのさ!」
フウ太の合図に合わせて、男の子は大きな風車のハンドルを、力を込めて
「せーの!」
で回しました。
グルグルグルーッ!
風車が勢いよく回ると、黄金色のあたたかいバニラの香りの風が、ビューッと空いっぱいに吹き荒れました。
その風は、男の子の耳元にまとわりついていた「正体不明の嫌な声」を、一瞬できれいに包み込み、キラキラ光るお星様の破片に変えて、遠い宇宙の彼方へと吹き飛ばしてしまったのです。
「あ……!」
男の子が耳をすますと、もうあの嫌な雑音はどこからも聞こえません。
そこにあるのは、静かで、とっても穏やかな、美しい冬の星空の静けさだけでした。
「僕の心が、すうっと軽くなったみたいだ……」
男の子の胸の奥に、ぽかぽかと温かいお日様のような元気が戻ってきました。
「もう大丈夫だよ。君が頑張っているのを、空はちゃんと見ているからね」
フウ太はにっこり笑って、男の子に小さなお守りの風車をプレゼントしてくれました。
地上に戻った男の子の部屋には、もう二度と嫌な声が響くことはありませんでした。
新しい年を迎える空はどこまでも青く澄み渡り、男の子はすっきりとした気持ちで、温かいお布団の中でぐっすりと眠りにつくことができました。
(おしまい)
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