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これで終わりだ!
「せいっ!」
ナイフを振り回す燈馬。どうやら相手は魔力攻撃を無効化する技に酔いしれていた為か、全く物理手段を持っていなかったのだ。
「そらよっと!」
ナイフを振り上げ、顔を隠していた帽子を切り裂く。そのまま帽子を吹き飛ばした。
「これで終わりだ!」
ナイフを逆手持ちにし、柄で腹に一撃を入れる。そのまま完全に動きを止めた。息をしているようなので、どうやら生きているらしい。
「急所は外した。おい、起きてるんだろ?」
燈馬がナイフをしまうと、他の三人が駆けつける。ミリィがご都合主義でロープを取り出し、それで謎の人物を縛り上げる。
「で、お前の正体はなんだ?」
帽子を取り上げて分かったのだが、かなり暑苦しそうな奴に話す。これが最近騒がれた魔力無効化事件の犯人かと思うと、あっけないと思った全員。
「ふん!誰がお前らなんかに。…我が主から“魔力を無効化する事件を起こして、後で自分が犯人だと名乗れば皆は驚いて、君の気になるあの子のハートもゲットできるよ♪”などと言われた事など、絶対に話すものか!」
どうやら、自分から大胆カミングアウトしてくれたようだ。