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すごいでしょ?
ムチで地面を叩くような音が聞こえた。だが、その音量はかなり絞られている。燈馬が覗く望遠鏡には、音とほぼ同時に穴の開いた的が見えた。
「スコープ無しであの遠距離か…」
「あぁ、サリニャの兵士が持っているって言う奴?あんなの面倒じゃない。私の能力なら、拡大倍率も自由自在。どう、すごいでしょ?」
「確かに凄いな。これなら高高度射撃にも転用できるんじゃないか?」
「その場合は、別な弾を使うよ。このスナイパーライフルだけが形じゃないんだから。」
ナナリーの話によれば、長距離弾のほかにも、追跡弾、グレネード弾などがあると言う。魔力から生成するので、持つのはグリップ一つなのだそうだ。
「ナナリー、考えれば、昨日は剣を作って対抗すればよかったじゃないか。」
「私は遠距離支援のアビリシャンクラスの魔法使いなの。安心して、近距離先頭のアビリシャンクラスもいるから。ランダーやオールレンジみたいな攻撃力は無いけど、かなりのやり手だから。」
「なるほどな。納得。」
「そうそう、トーマ君。いい加減に委員長の特殊能力を破った方法を教えてくれないかな?」
「分かったよ。」