それって…
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「でも、この学園に入学するのって、試験に合格する必要があるよ。」
リーナの言葉に燈馬は、今まで以上に嫌そうな顔をした。
「マジかよ。なんだ、早食い競争か?甘党選手権か?それとも家事か?」
「う~ん、普通は魔法と武器を使った戦術の高さでやるんだけど、今年の入学試験ってとっくの昔に終わってるのよね~。だから、君はこれが使えたら合格。」
学園長が机から何かを取り出した。全てが金属性の大き目のナイフにも見える。
「これね、数年前にサリニャから亡命してきた科学者が、こっちに匿ってもらう代わりに作った最新の武器なんだって。だけど、誰も使い方が分からない上に、その人作った後に天に召されちゃったのよ♪」
人の死を♪をつけて話すのは死者の冒涜だと言いたい所だが、燈馬はそれを飲み込んだ。
「で、俺がこれで何をすれば合格なんですか?」
「これは一見ナイフに見えるけど、様々な形になるんだって。とりあえず別な形にできたら合格~」
「私も4時間粘ったけど、ダメだったのよ。」
リーナも扱えなかったと言うこの武器。ナイフだけで十分威力がありそうだと思った燈馬だが、手にとってしげしげと眺める。持ち手まで金属でできたこのナイフ。意外と重くは無かった。チタン合金か?と思った燈馬だが、持ち手にカバーがあるのに気づく。それを開くと、中にはボタンいくつかあった。
「あ、トーマも気が付いた?でもすごいね、私なんか見つけるまで3時間も掛かったよ。」
バカだ、と思いながらも、燈馬はボタンを見る。規則的に並べられたボタンは、どことなく携帯電話を連想させるのだった。いや、連想させるどころじゃない。全くと言っていいほど同じなのだ。ご丁寧にアルファベットまで書かれている。幼少期に見たヒーローのおもちゃみたいだと思った燈馬は、何気なくボタンを押した。すると…
カチャンと言う音とともに、ナイフの柄の部分と刃の部分が離れたのだ。詳しく言えば、持ち手の一転でつながっているのだが…。慌てる二人を無視して、柄の部分を下に押した。すると、別な位置で持ち手は刃とくっついたのだ。すると、自動的に刃の部分が形を変える。
「これでいいですか?」
すっかり形の変わってしまったナイフを見せる燈馬。刃は二分割され、間に隙間を作っている。
「これ、何?」
「きっと、銃。これ撃ってもいいですか?」
許可をもらって、なぜか学園長の机の上においてあった石に照準を合わせる。トリガーを引くと、光弾が飛び出て石を破壊した。
「これはナイフじゃないわね…。トーマ君、合格おめでとう。そして、この学園にようこそ。」
短いせいで話進まない。