どうした?
ミリィ達がお昼寝に勤しんでいた。静かな泉のほとりで程好い日当たりの中、スースーと寝息を立てて気持ち良さそうにしている。しかしだった、ミリィが何か異変に気づく。すぐに飛び起きた。燈馬もそれにあわせて起きる。
「どうした、ミリィ?」
「誰か、来る…」
身構える二人。ミリィが念のために魔宝石を展開させている。
突然、光線が飛んできた。しかしそれはバリアで弾かれる。燈馬も己の武器を展開させ、銃の形態へと変えた。光線が飛んできた方向に光弾を撃ち放つ。
「損傷ダメージ2%。こちら…。訓練中に魔法使用者と遭遇した模様。応援を要請する。繰り返す、応援を要請する。地点B-3A。」
くぐもった声が聞こえてきた。
「気をつけてトーマ。さっきの攻撃、サリニャの軍人かも…」
「何?」
サリニャといえば、燈馬たちの住む国、マールと戦争を起こしている国だ。潜行部隊として来たのだろうか。
「そこのお前、サリニャの人間なのか?ここから立ち去れ。命だけは許してやる。」
「無駄だ。こちらは既に応援を呼んだ。あと20分もすればサリニャから援軍が駆けつける。おとなしく投降しなさい。」
銃を構えた人間が立ち上がる。森に溶け込むような緑の迷彩色の服を着ており、顔はフルフェイスで覆われている。しかし、そのサリニャの兵は二人の姿を見ることができなかった。いや、既に遠くへ逃げていたのだ。燈馬がミリィを抱えているのを見ると、魔法を纏っているらしい。
「催眠グレネード、解除。」
自身の持つ銃を折り曲げ、先端に手榴弾のような物をくっつける。そして照準を絞って発射した。