そうだったんだな
ある程度の魔宝石を回収して、燈馬達は日向ぼっこにいそしむことにした。ミリィの提案で3個の魔宝石を受け取った燈馬。ミリィ曰く、魔宝石のバリアを張るには最低三個は必要のこと。まぁ、魔宝石で囲われた中がバリアとなるため、少なくとも三角形を作るのだから、それは当たり前といえば当たり前なのだが…。
「お昼寝しようか、トーマ。」
「そうだな。ここは何だか落ち着く。」
燈馬が寝転がると、ミリィが添い寝をしてくる。
「私ね、もし魔宝石と出会ってなかったら、今こうやってトーマとお昼寝できてなかったんだと思うんだ。」
「どういう事だ?」
ミリィが自分の過去を話し始めた。
彼女は元々、それなりに魔力の強い家系に生まれていた。ミリィの兄は一族の中でも強く、あの学園にスカウトされていたほど。しかし、妹のミリィはそうではなかった。人並み以下だといっても過言ではないらしい。親がこれでは一族の名折れと、安い武器から高い武器まで買い揃えた。しかし、どれ一つとして彼女にはうまく使いこなせ無かったのだ。そんなミリィはとうとう親に見限られた。そんな中でも彼女を守ったのは兄だった。彼の言うことならと、親もミリィを捨てるようなことだけはしなかった。そんなある日、ミリィは兄に連れられて、この泉に連れてこられたというのだ。その時、何か強い衝動を与えられたような感覚に陥ったミリィ。我知らず呪文を唱えていた。すると、泉全体が発光し、大量の魔宝石が反応した。この事を親に伝えると、大喜びしたという。
「でもね、お兄ちゃんは戦争で行方不明になっちゃったんだ…」
「そうか…。残念だな…。」
「でも、今はトーマがいてくれるから良いよ。」
「もしかして、お前自分の兄貴を抱き枕にしてたのか?」