プリン!
「おい、それ最後のプリンなんだぞ。奈々に怒られるのは俺なんだからな。」
既に男子が持っていたプリンの全て(計5個)を食した女子は、ムスッとした顔で男子を見る。
「ケチケチしてないで、自己紹介位したら?」
「そういう自分が先に名乗れ。」
「しょうがないわね。私はリーナ。リーナ・シュラミー。リーナでいいわ。」
「俺は宮代燈馬だ。」
「名前がミヤシロって言うの?変わった名前ね。」
ここで、名乗り方が外国風であることを悟る燈馬。そこで名乗りなおすのだった。
「違う。燈馬が名前だ。そうだな、トウマ・ミヤシロとでも言っておくべきか。」
「じゃ、トーマね。さっきは攻撃してごめんね。悪い人じゃないみたいだし、あなたの帰り道が見つかるまでよろしくね。」
「あ、あぁ。」
「所で、あなたはどこから来たの?ここら辺の土地勘ならあるから、よかったら後で送ってあげる。」
これ幸いと燈馬が自分の住む住所を教えるが、リーナは完全に頭の上にクエスチョンマークを乗せている。
「聞いたこと無いわ。もしかしたら、校長なら知ってるかも。案内するから付いてきて。」
さっきから押しの強い女子だと思いながら、燈馬はリーナについていくのだった。しかし、ここで疑問が浮上する。
「おい、さっき魔法がどうとか言ったよな?それってどういう意味だ?」
「え?さっきあなた自身も使ったじゃない。まぁ、体に魔力を纏わせるなんて珍しいと思ったけど。」
燈馬は耳を疑った。しかし、さっきリーナが放った光弾をはじき返したのを思い出し、あれが魔法なのか…。と思うのだった。確かに腕に当たるかと思った光弾は、あさっての方向へはじき返されたのだ。燈馬はふと考えをめぐらす。
「なぁ、リーナ。」
「何よ?…きゃっ」
いきなりリーナをお姫様抱っこにする燈馬。行き先を聞いて、赤面するリーナの指差す方向に走った。
「すごい、体が軽い!」
さっきは咄嗟の事でよく分からなかったが、足に早く動きたいと念じた瞬間、フワッと体が軽くなる気分になって、高速で移動できるようになったのだ。森の木々を抜け、燈馬とその腕に抱かれたリーナは森の出口へと向かっていくのだった。