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カラーウルフ
「さっさと野犬倒して帰ろうぜ。」
早速森の中に来たメンバー。ぼやく燈馬だが、その野犬はすぐ近くまで来ているのだった。
「来たよ!」
カルバが叫ぶと、茂みの中から野犬らしき動物が飛び出してきた。腰のホルスターからナイフを引き抜いて、刃の側面で殴り飛ばす燈馬。刺されたわけではないので、それほどダメージがないと見える。地面に戻ると牙を剝いて威嚇してくる。
その野犬は燈馬が元居た世界で見る物とは違っていた。額にある三つ目の眼、大きく突き出た牙。なにより異様さを際立たせるのは、夜闇にまぎれる事を忘れたような派手な色であった。しかもその色はかなり違っている。
「カラーウルフよ、トーマ、ナナ。質は悪いけど魔法も使えるの。色によって役割が決まっているわ。」
銃を二丁構えながらリーナが手短に説明してくる。
「どの色がなんの役割だ?」
しかし、その燈馬の疑問の答えを待たずに野犬集団は若い魔法使いに襲い掛かるのだった。