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  作者: くじら文学
2/14

2話

 あいつは急に話しかけてきた。なんだこいつと思いながらも勉強を教えた記憶がある。やけに返事だけ元気で薄っぺらさを感じた。でも僕に聞きに来たのは見所があると思った。


 次の日から執拗に話しかけてきて、悪い気はしなかったが自分の時間を奪われるのは少し嫌だった。授業の合間に課題を聞きにきてその後友人と去っていく。いいように使われていることは感じていたが人気者のあいつと仲良くしておくのも悪くないと思い、その関係をつづけた。あいつは要領がいい。いろいろな人と分け隔てなく、意味のない会話で盛り上がれる。ああいう人間もいるんだなと思った。僕に足りない部分を持っているように見えた。


 僕の趣味は知識を満たすことだ。いろいろな情報を得ることに幸せを感じる。知識欲が体を動かす。気が付けば周りが見えなくなっていることも多々あった。小さいころから落ち着きがないといわれていた。けれども最近は本を読むことで落ち着いて生活することができた。


 授業は退屈だ。知っていることを延々と聞かされることの苦痛は計り知れなかった。永遠に思える。だから授業中は自分の好きな勉強に取り組んだ。勉強をしているのだから文句を言われる筋合いはないと思っていた。教師に注意されても気にしなかった。初めは注意やからかわれることもあったが意味がないと悟ったのかそのうちないものとして扱われた。発表の際は自分の番が飛ばされた。テストはいつも1番点数が良かった。けれども通知表ではあからさまに点数が低くなっていた。憤りを覚えたが生徒の実力を正確に測ることができないのだろうと思うと哀れに思たので意見することはなかった。


 そんな僕をあいつはどう見ていたのだろうか、未だにわからない。


 かすむ空を見た。赤に染まった手のひらを天に掲げる。ああ、これで終わりか。惜しさを感じるのかと思っていたがあまり感じない。むしろ充実感に満ちていた。一生懸命生きてきた。走馬灯でも見るかと思ったが、今のところ脳内では上映されていない。ただ空の青さが目の前に広がっていた。僕が悪かったのか。あいつが悪かったのか。僕が何か恨まれることでもしたのか。どうでもよかった。結果は現状だけである。いくら人のせいにしようが結果は変わらない。そんなことよりもただ脳がじんじんしてきたことが気になる。もう無理なんだろうなと思った。そう思うと全部どうでもよくなる。ああ、眠い。

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