迷いの森
第7話 迷いの森
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唐突にレクサムが呟く…
「あそこには…ギルド養成所がある…だから向かう…」
ギルド養成所とは、その名の通り…
ギルドとして活躍する為に各地から集まった者達が戦いや冒険…
それに、数々の危険な場所について学び…世に送り出すことを目的とした場所だ。
私は内心…少しギルドに興味があった。
生前…行くことの出来なかった…
学校という場所…
そこに似ている気がしたからだ。
でも何故…レクサムはそんなにもギルドを恨んでいるのか?
それも気になっていた…
道に沿ってしばらく歩いていると…
森に差し掛かり…私たちは、森の中に入って行った。
すると突然…辺り一面が霧に包まれた。
目の前が、急に白く包まれ…
私は戸惑いを隠せない…まさに、パニック状態になっていた。
遠くでレクサムの声が聞こえる…
「しまった…迷いの森だった!」
「おい!パメラ!何処にいる返事しろ!」
私も必死で声を出す…だが、この霧はその声をも惑わすものだった。
「おい!パメラ!絶対探し出すからな…」
彼の声が途切れる…
私は恐怖と不安こそあったが…必死で涙を堪えた。
霧も初めてだった…自然が牙を剥く…
それは、私たち人間には時に脅威となり得る。
私は、初めて自然が牙を剥く瞬間を見た。
あの時…レクサムの声を聞かなかったら…
今私は泣き出していただろう…
すると今度は、ニイさんとシェルピーの声が微かに聞こえる…
良かった…2人は共に行動しているらしい…
レクサムがこう言っていた。
ニイさんは頼り甲斐のあると…
再び声が途絶える…
あたりは白い霧が覆い…森の中は聞いた事も無いような鳴き声が聞こえる。
恐怖に耐えるなんて時間の問題だ。
私は走り出した…
辿り着く事に賭けて…
それは、また新たな出会いの始まりでもある…
霧の中でも感じ取ることの出来るぐらい広い場所に出た。
どうやら人の話し声が聞こえる…
ガサッ…
「誰だ?」
私は必死で声を返す…
「友達と逸れてしまって…」
「旅人?ここが迷いの森だと分かっていたのか?」
パメラ『いいえ…分かっておりません…』
「…」
「どうやら…幼い子供のようだ…ここは危ない…私たちが保護する。」
白い霧から姿を現したのは、背丈が高い大人の男性だった。
近くにいた兵士のような方達も駆けつける…
「いいかい?決して離れないでね…」
1人の団員が口を開く…
「ラグス閣下…この者かも知れませんよ…」
どうやら…ラグスさんと言うらしい…
ラグス『もし…そうだとしたら…私は裁けないな…』
と優しく微笑む…
彼の名は「ラグス・ティル・ゼメール」…
ヴァラメンス共同国の隣接する国…
王立国リートグルムでは、最高戦力と称される方だ。
この時の私は、見ず知らずの人たちに先導されるあまり…
緊張が勝っていただろう…
唐突にラグスさんが気配を察知する。
ラグス『バトルウルフだ!下がって!』
目が赤く光る…大きなオオカミが姿を現す。
「こいつがいるってことは!?」
ラグス『ああ…近くに「変異個体」がいるかも知れない…』
変異個体とは…
魔獣などの極一部が、姿を変化させ…通常の個体とは比べものにならない程に、凶暴になり手強くなる事を指している。
ラグス『バトルウルフ自体は問題ない…』
と言うと瞬きより早い剣捌きで、魔獣を打ち倒す。
ラグスさんは、レクサムと同様に気を緩めない。
ほんの少しの気の緩みが、自死へと繋がる…
最後部の兵士の1人が何者かに襲われる。
ラグスさんは、一瞬で私の目を塞ぎ…悲惨な光景を見えなくする。
「やはり…出たか!」
「ソルジャーウルフだ!警戒しろ!」
「変異個体」が出たのだ。
バリバリと何かを砕く音が聞こえる…
それと同時に怯える声…
ラグス『同志をすまない…』
ラグス『抜かった…部下を…この命…安くは無いぞ…』
ラグス『この子を頼む…』
キィィィィ…
すると…急に魔獣が怯え始める。
一瞬だった…
「剣法 ライジングスロー…」
ドドドォォォォォ!!!
ジジジジッ…
突如として雷が落ちたような轟音が辺りに響く…
焼けた匂いと共に黒くなった地面があった。
「片付いたようですね…」
「ポルトすまない…」
「これは…私の失態…部下を1人亡くした…』
「いえ…ポルトもきっと…閣下を責めたりはしません…」
「我々…魔導兵団は国に忠誠を誓った。一国の兵…しかし…私達には経験が浅すぎました。」
「しかし…」
ラグス『あのような魔獣が姿を現すとは…ここも随分と変わった…』
ラグス『これは…急ぎ陛下にお伝えせねばならない…』
ラグス『だが…旅の者もお疲れだろう…近くに「セルミナの町」がある。そこで本日は休むことにしよう…』




