一人の青年と無垢な少女
第3話 一人の青年と無垢な少女
私の生まれ育った村は…
『ヴァラメンス共同国』という国の最南部にあるらしい…
つまりは田舎の村である…
共同国とは、一切の争いを無くし…身分を緩和させ…人々の意見を聞き入れ…より良い国作りを目指す国に区分されており…
今まで一つも争いが、起こらなかった国の一つとなっている。
人々の噂では、国王様がかつて…多種族間との戦争を終わらせるために立ち上がった「英雄軍」の、一人だという話が広まっている…
更には大変…国王様は人見知りだそうで、ごく一部の者たちしか顔を見せない噂が、返ってこんな噂になったと呟く人も居るのだとか…
森を抜けるとそこは、一面に広がる草原と遠目に見えるヴァラメンスの、中央都市である「ハバン」の街が広がっていた。
建物は高く街の中に入ると、周りが入り組んでおり思わず迷いそうになる…
その街には、高低差があり…階段の次に階段…さらに登り降りと上下が入り組んでいてとてもオシャレであり…不思議な街並みをしていた。
そうこう思っていると、突然何処からか呼び止めるような声が聴こえる…
『おい!』
その声の主は、壁を背に座り込んでいる1人の青年だった。
ふと私は、びっくりして固まった声を出した。
パメラ『はい!』
そのまま青年がこう呟く…
『お前…ここが平和な国だって思っているのなら大間違いだぜ…』
『お前は気付いてないだろ?さっきからおっさんらが、お前のことをジロジロ見ているのを…』
周りを見ると…確かに、おじさん達が広場の端に立っている。
パメラ『でも…道行く人達を、眺めているだけかもです…』
『はあ…いいか覚えておけ…此処は、この国一子供や女たちが何者かに攫われている場所だ。』
パメラ『でも…そう言って私を、攫おうと思っていませんか?』
『おう…そうだ…その危機感がお前には必要だ。今気に入った!タダでお前を守ってやる!』
レクサム『俺は、レクサムだ。』
パメラ『私は、パメラ・イズ・マーシェルです。』
レクサム『実は金に困っていてな…丁度良い賞金稼ぎ依頼が、あったからここに来た。』
レクサム『でっ!お前が、丁度良く来たから変態共を誘き寄せられたって訳だ。』
お金を稼ぐために私を、使っていたことに対して、この時の私は何も言わなかった…
なぜなら…そんなことよりも…共に旅をしてくれる友とも呼べる仲間が、出来たことが嬉しかったからだ。
青年に安全な場所へ案内され…その青年は、倍以上ある背丈のおじさん達を、気付かない速さでやっつけていった…
賞金であるお金を、受け取り…青年は何を食べるのか悩んでいた。
その顔は、少年のような雰囲気が出ていたとても面白い人だ。
レクサム『あの馬車に乗るぞ、隣町にはヴァラメンスの「王都グンファル」直通の街道がある。そこでまた馬車を拾う…』
そう言って…私達は、隣町の「マドニナ」に向かった。
その町は円形になるように…建物が建てられており…ハバンの街並みのように高さがあるとは違い…マドニナの街並みは真っ直ぐな道が交差するように、並んでいた…
辿り着くと…すぐに、馬車を拾いに行く…はずだったが…
そこに、馬車は通っていなかった。
その理由は、年一回行われる。建国を祝うために、王族と貴族並びに国中の騎士と兵士の皆様達が、王都から始まり…
各町を通って…ヴァラメンス中を、一周する祭りが行われるためである…
あの街道は、馬車のみが通れる為…
王都に向かうためには、遠まわりをしないと行けなかった。
半分に差し掛かる頃には、夜も更け辺りは静まり返っていた…
ヴァラメンスの国には、旅人の憩いの場所として「温もり石」という…いわゆる温泉が出来る…
冷えない火山岩が、嵌め込まれた場所が、点々と建てられている…
勿論そこには、宿場もありタダで休めるのだ。
私達は、そこで一晩休まることにした。
温泉に浸かるために、服を脱ぐと水面にふと…背中に「ある印」が見えた。
そう…お父さんが言っていた…あの印だ。
あの時の私は、それが気になり…
とある行動に出てしまっていたのだった…