獣主国ファイトベイル
第29話 獣主国ファイトベイル
カラボアの村は、巨木種の根本で栄えていた。
リンフェル『この他にも、多くの村がありました…ですが、数十年前の争いによって今では…村は、この「カラボア」だけになります。』
獣人族の国は、建国して比較的新しい…
それには英雄軍の活躍が絡んでおり…
「ヒト族」と「妖精族」それに「獣人族」との信頼は、英雄軍の方達によって取り戻され…
その後、獣人族の代表者を決め建国まで辿り着けたようだ。
?『リンフェル...リンフェルなの?』
リンフェル『あっ私のお母さんです。』
?『リンフェル!何処に行ってたんだ...僕の可愛い娘』
リンフェル『お父さんです。』
?『心配していたんだぞ…孫よ…』
リンフェル『お爺ちゃんまで、お迎えしてくれました。』
争いが終結し…獣人族の皇帝を決める際最も貢献した者がその座に着いた。
獣主国ファイトベイル
皇帝『ムーガル・ファーマル・ロンダメテス』
名にある「ファーマル」とは、獣人族の皇帝のみが名乗れる…
リンフェル『此処に寄ったのは、お父さんとお母さんに伝えたい事があって寄りました。』
お父さん『それはどんな事だい?』
リンフェル『私…この人達に着いて行きます。』
お父さん『えっ?』
お母さん『もう…そういう年なのね…』
お爺さん『リンフェルも「旅立ちの年」になるのだな…』
獣人族には、「旅立ちの年」と言う掟があり10歳を越える歳になる者が、旅立ちを決心する際…家族はその決心を受け入れその者の旅立ちを見送る掟の様だ。
リンフェル『では行ってまいります。』
お父さん『元気でな…可愛い娘よ』
お母さん『元気でね…リンフェル』
お爺さん『会いたい時に、いつでも寄ってくれよ…』
リンフェル『はい!』
リンフェルは、別れを告げて実家を後にした。
レクサム『その前に消費した食料を買い占めに行くぞ…これじゃあまた食費が嵩むな…』
レクサムとゼイルは、食料を山盛り買って来た。
レクサム『こんだけ買っても足りるか分からなくなった…』
ゼイル『凄い食いっぷりだからな…』
ゼイル『なあ…レクサム』
レクサム『何だ?』
ゼイル『なんか忘れてないか?俺たち』
レクサム『?』
レクサム『あ!』
レクサム『オスマーズに馬を置いてきてしまった。』
ゼイル『やっぱりお前もか…』
レクサム『まっ…馬なんてそこいらに居るしな…』
レクサム『「保存魔法」さえ可能なら馬なんて必要ないし…旅仲間が増えれば隠す必要性も無くなりそうだし…』
ゼイル(手のひら返し過ぎるだろ…)
シェルピー『レクサムさんは、何故?学園を出ておられないのに…剣法を扱えるのです?』
レクサム『ああ…俺らが剣法や魔法を扱えるのは…ほとんど独学で覚えているんだよ…』
レクサム『後は、自分で編み出した。「剣技」や「魔技」を魔導協会に登録するだけだ。』
レクサム『学園に行かなくても「剣技」と「魔技」を登録して「剣法」と「魔法」として扱う事が出来るんだ。』
ゼイル『まあ…あくまで…「公認魔法師」になるか…そこいらの「魔法師」で出るかはたまた…登録だけして剣法と魔法を扱うかだな…』
レクサム『そう言うこと…』
リンフェル『見えて来ました。あれが…「獣主国ファイトベイル」です。』
私達の目の前には森を抜けて崖が広がっており遠くに巨大な国が見えた。
レクサム『ヴァラメンスより広いんじゃ無いか?今までで一番広いな…』
ゼイル『まあ…何せ皇帝陛下の1人が、住まわれているからな…』
リンフェル『ファイトベイルには、ほとんどの獣人族が移り住んで居ますので…建国にも30年程は掛かりましたね』
リンフェル『ムーガル様のご活躍により…獣主国は繁栄し年に一度の「中央国会議」でその功績を認められ…ムーガル様は「十二聖輪」の1つである「繁栄の指輪」を授与なされました。』
レクサム『因みに「十二聖輪」を複製すると極刑になるからな…「中央国会議」から授与される指輪1つだけでも国を買える程の価値があるらしい…』
シェルピー『ニイさんも、「十二聖輪」を確かお持ちになられていましたね?少しお見せ出来ませんでしょうか?』
ニイ『はい…それは良いのですが…』
レクサム『ああ…それだが…』
レクサム『姉貴…金遣い俺より悪いから…売った』
!?
その時私は初めて困惑と意外という場面に遭遇したのだった…
レクサム『姉貴が持っていた指輪は、「魔導協会」から授与されたものだ。』
獣主国ファイトベイルは、ヴァラメンスの倍以上の面積を誇り
国の中央には、巨大な城が聳え立っていた…
リンフェル『あそこです。あの中央にある城には、獣人族の皇帝であるムーガル様がおられます。』
レクサム『かなり広いな…人の数が尋常じゃ無い』
レクサム『パメラとシェルピーは、離れるなよ』
ムーガル『ほう…あの者…魔王に魅入られておる…』
ムーガル『敵意ではなく純粋な興味による好意か…面倒なことになったな…人の子よ』
バンッ!
魔導兵団A『ムーガル様!』
ムーガル『慌てた様だな…何用だ…』
魔導兵団A『魔龍が…魔龍がこの国に近付いております!つい先程…国境を警備する魔導兵団より連絡が!』
魔導兵団A『何でも…真っ直ぐこちらに向かって来ていると…』
魔導兵団B『ファイトベイル近辺にてセルターンを目撃!』
魔導兵団B『魔導兵団より…セルターンは、現在…ファイトベイルに向けて動き出しているとの報告を受けております!』
ムーガル『ガルドットを此処に呼べ!避難は彼ら魔導将軍に任せる』
魔導兵団C『魔導協会と共に至急討代隊を結成するのは...』
ガルドット『それでは..時間が無い今も刻一刻と迫って来ているのだぞ!』
ムーガル『セルターンは私が迎え撃つ…』
魔導兵団A『皇帝陛下が直々に…』
シンボルビア森緑
調定国ミスリルティアと獣主国ファイトベイル国境付近
魔導兵団A『ウォーウルフ飛ばしてくれ!』
ウォーウルフ『ワフッ!』
魔導兵団A『先程…帰還命令が掛かった。』
魔導兵団B『何故今になって…』
魔導兵団A『この国は、セルターンの来襲だけが脅威では無い...』
魔導兵団C『では...まさか...』
魔導兵団A『魔王ベンガロの脅威も迫りつつある...』
魔導兵団C『おい!あれ!』
魔導兵団A『巨木種が跡形も無く倒されておる…』
魔導兵団B『それだけでは無い!地面も割れているぞ!』
魔導兵団C『魔王の仕業か?』
魔導兵団A『分からない…このことを早く皇帝陛下にお伝えせねば…』
ザグッ
バシュン!!
魔導兵団C『ザウ!ガーバ!』
魔導兵団C『何が起こった?2人が突然と消えたのか...』
ポタッ
魔導兵団C『何だ?水滴?これは...』
ザシュン!
ムーガル『魔王よ…』
グラドール『これは…「伝達魔法」ですか…』
ムーガル『この国に別の存在が近付いておる…恐らくは…「魔王ベンガロ」…かつて私が逃してしまった存在だ。其方にそやつの討伐を願いたい…敵意の無い其方はやってのけると信じておる…』
グラドール『私ができる事なら何なりと…』
ムーガル『それでは頼んだ…私はもう一つの存在である…魔龍を迎え撃つ』
グラドール『それでは…』
ムーガル『あの時の決着は、魔龍討伐と共に終わらせるとしよう…ベンガロ…魔王グラドールは手強いぞ…かつての威厳を失っても…』
グラドール『確かに…2つの巨大な反応がこちらに近付いておりますね…』
レクサム『おい!感じるか?』
ゼイル『ああ…とてつもない殺気と存在感を放つ奴らが近づいてくる。』
レクサム『ここは危険だな…俺達は、この国を出るぞ…』
ムーガル『皆の者…』
?『ムーガル様の声だ。』
?『これは…ムーガル様の魔法術』
レクサム『国中に伝達魔法!』
ゼイル『皇帝陛下様の魔力質量は桁違いだな…』
レクサム『ああ…だとするとパメラが可能になったら世界中かもな!』
ムーガル『落ち着いて聞いて欲しい…』
ムーガル『此処はもうすぐ…決戦の地となる…私は久方ぶりに、少し無茶を行うが故…許してもらいたい…』
ムーガル『魔導将軍に避難を任せる…どうか耐えてくれ』
?『ムーガル皇帝…』
?『俺達も避難だ。』
?『落ち着いて対処よ』
レクサム『凄い信頼だな…まるでヴァラメンスみたいだ』
レクサム『俺達も向かうぞ』




