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異世界冒険少女  作者: 柊 亮
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魔王の力

第26話 魔王の力


あの時、魔王を前にして…動けるのは私しか居なかっただろう…

何故なら…

魔王という存在が何なのか…

何者なのか…分からないで居たのは…

もう一つの世界から来た…私だけなのだから…


レクサム(パメラに遅れをとった…)


ニイ(パメラさんの「回復術」なら…触れることなく治せるかもしれません…)

ニイ(ですが…)


ニイ(これは…あまりにも…)


レクサム(全員…限界のはずだ…)

レクサム(滲み出る恐怖に…何度も吐きそうになる…ガキの頃から1人で旅をしてきた俺でもなのか…)


レクサム『!』

レクサム(そうか…こいつは魔王を知らない…)


きっと助ける…


グラドール(さあ…そろそろ種明かしと行きましょうか…)

グラドール『この魔力…』


レクサム(こいつはまだ…魔法を使いながらの…魔力操作が出来ないだったな…)


グラドール『旅の者が、どういった方々なのか…今すべてを理解しました…』

グラドール『この感覚は、実に数十年ぶりでしょう…』


グラドール『パメラ様とおっしゃるのですね…』


レクサム『何故…こいつの名前を…』


グラドール『(わたくし)は、常にすべての生命が持つ魂を知覚できます…』

グラドール『故に…名も同様に魂に刻まれたもの…知るなど造作もございません…』


グラドール『どうやら…私の魔力には、恐れと怯えの感情を抱かせる様ですね…これは…失礼を…』

グラドール『ご心配なく…これは…私の魔法でございます。』


さっきまで人間と変わらなかった青年は、人形に戻っていた…


レクサム『「変身魔法」か…』


グラドール『この様に…「重複魔法」によって次から次へと、作り出せます。一つの人形で…この様に動かす事も可能…』

グラドール『まるで本当の町の様に…』


パチッ


グラドールが指を鳴らすと…

無数にある人形は、人間の姿となり人間の歩く様子と何ら変わりの無い町の様になった…


ニイ『何と言う再現力…』


ゼイル『人間の動きを細部まで観察しないと…出来ない芸当だ。』


レクサム(それだけじゃ無い…奴の「変身魔法」は、既に完成している…「重複魔法」と組み合わせて…あの数を一度に動かすだけでも至難の業だ。)


レクサム(「変身魔法」は、実物をそのまま真似て形作るだけでも難しい…更にそれが人の場合…)

レクサム(発言させるだけの…魔力質量が必要になる。だから...ほとんどが真似るだけの魔法になっているんだ。)


レクサム(奴の「変身魔法」は全く気づかなかった...)


グラドール『そう!そうなのですよ!子供の姿で、人間を観察していました。あの時は…バレそうになりましたが…今ではこうしてバレないように変装も出来ます。』

グラドール『それと…申し訳ありませんが…皆様の思考もすべて私には、届いております…』


ゼイル『やっぱり…』


レクサム『そろそろハッキリさせたい…お前は俺たちをどうする気だ。』


グラドール『私には、人間を脅かす権限も威厳もありません…倒される時が来れば…大人しく現実を受け入れるでしょう…』

グラドール『これも…何かの運命…私は、ただ…この出会いを心待ちにしておりました…』


レクサム『運命…』


グラドール『一つ昔話をしましょう…これこそ…私が人間を襲わないと強く誓った。きっかけでもあるお話を…』


グラドール『このお話に出て来る…ある青年…彼は剣の才に恵まれていました…』

グラドール『七色に輝く刀身の剣を携し1人の若者…魔王と相対しても臆することなく果敢に挑むその姿勢…』


グラドール『英雄軍…彼はそう呼ばれていましたね…』


グラドール『彼が持つ剣身は、魔王の魂にも傷をつける程でした。』

グラドール『決して癒えない傷をね…』


グラドール『その若者の剣によって…深い傷を負ってしまった…そんな私に向いた…心の奥底にある優しさ…』


グラドール『しかし…その者は、私に留めを刺さずに見逃した…』

グラドール『私はその者に問い掛けました。何故私を見逃すのかを…』


グラドール『すると…その者は答えたのです。』


?『もう君に…戦う意思が宿っていないのと…悪さをする様な目をしていないからかな…』

?『あとは…他と違う何かを見た…かな…』


グラドール『と…あの者は既に悪意が無いことを見抜いて居たのです。』


レクサム(魔王に深傷を負わせる程の強さ…一体何者だ?)


セザール『ヘックシュン!』


?『いかがなさいましたか?セザール国王…』


ヴァラメンス共同国国王

セザール・ペンタゴン・ロレアス


セザール『マーウィンか…』

セザール『誰かが噂を申しておるのかな?私も随分と知られた者だな…ハッハッハッ!』


ヴァラメンス共同国国王側近

マーウィン・リオ・セレクス


マーウィン『セザール国王…これで何度目ですか?お身体に障る夜分での…バルコニーへの外出を避けて下さい。』


セザール『分かっておる…』


マーウィン『それと…中央国グリフィンダルからあの…「招待状」が届いております。』


セザール『ついに今年も来たか…』


マーウィン『今年も「中央国会議」が近付いて居ますね...セザール国王』


セザール『あれは…私の楽しみでもある…

特に会議の最後に皇帝陛下の(もと)で食事を共にするのが…何よりの楽しみだ。』

セザール『皆が…揃う時は…ほとんど無かったがのう…』


マーウィン『セザール国王は、昔から皆様とお食事を共にするのが…お好きだと父上からお聞きしております。』


セザール『私の孫であり娘でもある。シェルピーよ...元気にしておるだろうか...』


マーウィン『シェルピー様は、魔導国オスマーズで公認魔法師になったと聞いております。つい先程…知らせが届きました。』


セザール『そうか…王族は代々学園で学ばないと聞くが…』


マーウィン『それが…例の若き会長が、特別入門者としてシェルピー様ともう1人...不思議な子を招待したと...』


セザール『不思議な子とな...』


マーウィン『そのようです…』


セザール『そうか…それで…旅は上手くやっておるのか?』


マーウィン『はい…現在…魔導国オスマーズを出立し…境界の都市テュリスを目指されておられます。』


セザール『あの辺りは確か…』

セザール(…)


セザール(魔王よ…其方は、私の言葉を良く理解しておるのだろう…)

セザール(あの時の其方は、他と違って見えた…シェルピーと旅の者を頼んだぞ…)


グラドール『魔王の中には…私以上の存在ばかりになります。』

グラドール『あの…魔龍であっても…今の私では骨が折れるかもしれません…』


レクサム(まだ…上が居るのか…)


グラドール『この先…長い旅の中で成長し…渡り合える力を身に付けて下さい。』

グラドール『皆様にはその素質があります…』


レクサム『世話になった…グラドール…』


グラドール『はい…』


こうして…魔王と別れて次の目的地を目指す。

次の目的地は境界の都市「テュリス」…

精霊界と獣界に、入るための境界となる場所のようだ。

私たちは、その目的地へ歩みを進めるのだった…


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