静かな箱庭で生きる者達
第13話 静かな箱庭で生きる者達
魔術師を倒した話は、国中に響き渡った。
魔導将軍である…ラグスさんの功績は、讃えられる。
一人の少女を、守りながら…魔術師を倒した功績…それは、歴代の魔導将軍でも成し得なかった。
新しい功績として歴史に刻まれる。
リートグルムは、小さい国だった。
世界からしたら「ちっぽけな国」…
それでも…こうやって多くの人達が、暮らして居て…
それぞれが、仲良く笑い合っている…
「アレ」を見るまでの私には、そう見えていた。
広場に…一台の巨大な木の格子が、付いている馬車が見えた。
唐突にレクサムが呟く…
レクサム『姉貴と離れるなよ…あれは奴隷商人だ。』
レクサム『近くに奴等のアジトが、あるかもしれない…そこには沢山の奴隷たちが居て…いずれ競売に出される。』
レクサム『奴等も儲けが少ないのだろう…こんな国まで売りに来るとはな…』
レクサム『俺は、そのアジトを潰しに行く…少しでも奴隷を無くす為にな…』
奴隷商人を乗せた馬車が動き出す…
レクサムと一旦別れる…
レクサム『姉貴…パメラたちを頼む…』
ニイ『ええ…』
私たちは、リートグルムの宿屋で休むことにした。
不自由な日常…やはり此処にもあった。
レクサムが、後を追う…
ふと…私は、ある事を思った。
レクサムが、もう時期…暗闇に包まれる。森の中に入っていく所を…
明かり1つ付けずに、低速で移動する馬車を追う姿を…
薄暗い森の中を移動する馬車は、予想よりも大きく…
馬車より先が、見えないぐらいの幅がある…
だが…重いのかそんなに速度は出ていなかった。
ニイ『後は、レクサムに任せましょう…』
先程抱いた疑問をニイさんに、聞いてみる…
パメラ『何故レクサムさんは、暗闇でもあんなに動けるのですか?』
これには、ラグスさんの話にあった。
「気配認識」と言う言葉が引っかかっていた。
どんなに鮮明に感じられたとしても…暗闇だと視認出来ないあの話が…
ニイさんは、少し困った表情を浮かべるとこう話し始める…
ニイ『レクサムは、夜が好きなので…その為でしょう…』
宿屋に着き入り口に入ると早々に…
ある1人の青年に呼び止められる。
?『なあ…あんた達…』
ニイさんは、警戒していた。
その青年からは、異様な雰囲気が漂っていたからだ。
?『一泊…泊めてくれないか?』
?『今…手持ちが無くてな…』
その時には、すでにさっきまでの雰囲気は無く…気のせいによるものだと思い込んでいた。
ゼイル『あっ…俺はゼイル…』
ゼイル『ゼイル・グーベスだ。』
ゼイル『あんた達…あの目立ってた奴の連れだろ?』
ゼイル『中々出来る奴らだったから…一様は頭に入れていた。』
ニイ『それは構いませんが…レクサムが何というか…』
ゼイル『レクサム…レクサム…ああ…確かにその名を聞いたな…聴く耳はいつでも立てておかないとな…』
シェルピー『耳が良いんですね…』
ゼイル『ああ…良いぜ…それにしても…ガキの癖に身なりがやたらと良いな…』
ニイ『おっほん…』
ゼイル『?』
パメラ『ええと…シェルピーさんは、ヴァラメンス共同国の第3王女様です。』
ゼイル『えっ?王族?』
ゼイル『王族様と旅してんの?』
レクサム『戻ったぞ…店の入り口でなに固まってんだ…お前ら…』
レクサムに事情を説明する。
レクサム『なるほど…一泊だけ泊めて欲しいか…』
レクサム『良いぜ…』
レクサムの口から意外な回答が出た。
レクサム『だが…1つ条件がある。』
レクサム『お前…行く宛無いんだろ?』
ゼイル『まあな…かれこれ2日は何も食べてない…』
レクサム『よく持ったな…』
ゼイル『前に何度も「魔導兵団」に入る為に、いろいろと自分で鍛えていてな…』
ゼイル『断食や剣技は日頃から磨いてきた。』
シェルピー『何故?断食を?』
レクサム『意味無いように聞こえるが…魔導兵団でも…任務に着く時は、いつでも食事を取れる訳では無いからな…』
レクサム『いつでも…対応出来るように、しておくことが重要なんだ。』
レクサム『あと…断食は、敵から逃げる時も案外為になるぞ…』
ゼイル『よくお前知ってるな…魔導兵団に居たのか?』
レクサム『独学だ。』
ゼイル『ああ…』
ゼイル『それで条件は?』
レクサム『俺たちと来い…それだけだ。』
ゼイル『良いぜ…乗った。てかっ…それしか俺に道は無いな…』
レクサム『俺たちの旅の目的だが…』
レクサム『お前…ギルドって知ってるか?』
ゼイル『ああ…知ってるぜ。なんでも…仲間を見捨てるような輩も居るとか…』
レクサム『そいつらは…「三つ眼の蛇」と言う…ギルド名だ。俺はそいつらを、ずっと追っている…』
レクサム『もう3年になるな…』
シェルピー『何故追っているんです?』
シェルピーが、そう言うと急に暗い表情をしてレクサムがこう答える…
レクサム『ある…大切な人を失った。』
そう言い彼は私の方を見た…




