第一小節 「シイラロゴス」
以前投稿していたものを一度削除して構成を直したものをこれから順次再投稿していきますm(_ _)m
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三章からが!本番です!それ以前のお話しは悩んだのですがそのまま載せてあります!
「リドウ」──この大陸の中央を分断している、とある門の西側に位置する、気候変動が厳しい大国の一つ。
世界中の人々が、双眼の眼という天災の影響を受けながら生活する中で、この世で初めて受戒者が国王となり、国中全ての人間を分け隔てなく住まわせていた地。先住民族として、獣人達が元々は支配している土地であり、獣人族は月の民から、選民されないもの達でもある。月の民からの啓示を受けられない民族として、長い歴史の中で獣人達は差別を受け、虐げられてきた。選ばれる者、選ばれなかった者──。
いつの時代も、生物はお互いを意識し、優劣をつけ、劣等感を与え、力のない者達を蔑み排除を繰り返した。
ある時、一人の獣人「シイラロゴス」という者が立ち上がり、月の民の在り方を問い、反発し、独立した国家としてリドウ王国を建ち上げたとされている。
「シイラロゴス」には、月の民から力を与えられない代わりに、龍脈という大地に根ざす根源的な力を利用した「龍還」という能力を操り、何千年もの間、月の民と、姿形を変えながら戦い続けていた記録がこの国には残っている。
その為、「リドウ」という国に置いては「シイラロゴス」こそがある種の神に等しき存在であり、この世界を正しい方向に導く者として崇拝されているのだが──
ある時を境に、「シイラロゴス」の記録は歴史から途絶えており、「龍還」を操ったとされるその力も遠い昔に失われた概念となっている。
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月の民──月から地上を見守り守護する存在。地上の人間は、月の民が十三年に一度この大地に降りてくるその時を「落月」と呼んだ。
「落月」の際、地上に降りてきた月の民は地上の人間を選び、自身の力を分け与え、人類がその先に必要となるであろう能力を授け、繁栄を促していた、とされる。
ある時「落月」の際に地上の人間が月の民をいつもの様に迎え入れた際、事件は起きた。
地上の人間は月の民の使い「託宣使」を殺してしまう。数年に一度、自身の能力を分け与え、帰っていくだけの存在。 ──そんな都合の良い存在があるはずもない。彼らは、自身の能力と引き換えに、必ず選ばれた者に「呪い」を与えた。
その「呪い」は様々であり、多くが「どんな呪いなのかも分からない」とされていた。地上の人々は、盲目的に、ただただ受け入れるしかなかった。
そんな中「落月」の際に、見た目が全く変化しない物たちが現れ始める。年月が経つと共に、周りが老いていく中、自分だけは一切の歳を取らない。
「不老」
多くのものが、死ねない体が手に入ると解った時、悲しむもの、歓喜するもの、様々だった。死ねない身体を手に入れた地上の民は、愛するものと生き別れ、再度愛を誓い、そして再度最愛の人たちを、自分を残して見送っていく。数十、数百年と繰り返されたある日──。
そんな呪いという名の力を背負わされたある者が「自分を殺して欲しい──」と「落月」の際に「託宣使」に嘆願する。
月の民は、そもそも話し合うという事が出来なかった。
地上の人間がなぜ騒いでいるのか、理解すら出来なかった。
故に、その人間たちがなぜそんなに涙を流し、表情を雲らせ、そして感情を昂らせているのか分からなかった。
いくら嘆願しようと、全く聞き入れるそぶりを見せない月の民を見て、地上の人間たちは不老者達を集め、月の民の使い「託宣使」を遂には殺してしまう。だが──月の民は「落月」をやめなかった。ある一定の周期で地上に降り、選んだ人間達に力を分け与え帰っていく。まるで「何もなかった様に」地上に降り続け、繰り返した。
やがて人間達は、翻弄され続けながら生きる、という事に疑念を抱き、知恵を寄せ合い「落月」を止めるために月に乗り込む事を計画する。この大地特有の「脈」と「識」という力を使い、月への第一歩として、石畳を積む様に少しづつ空を高く進んでいった。
「私たち人は、大地に根ざし、季節の移ろいに身を任せ、この土地と共に繁栄し、風化していくの。至極自然な事なのよ──」
ールクセリア禁書庫 月の民の落月とソラリスの落城ー
211ページ
託宣の章