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第一話
ラスク村
王都から遠く離れたのどかな田舎の村で僕は平凡に生きている。
そしてこれからも平凡に生きていくのだろうと思っていたのだが…
「どうしたもんかなぁ…」
ここ最近、ずっと頭から離れないことがある。
それは14歳になると魔力覚醒とともに授かる固有スキルのことだ。
大抵の人が獲得する固有スキルは、大したことがないし、無くなっても困らないようなものが多い。
過去から延々と体系立てて受け継がれ、改良されている魔法に比べて、個人が習得し、改良していく固有スキルが劣ってしまうのは仕方のないことだ。
ただ、そのことを表立って言う人は滅多にいない。
この村だけでなく、王都を中心に、固有スキルは神から与えられたものと考える教会の教えが広く浸透しており、固有スキルを軽視することは神に対する冒涜と捉えかねないからだ。
それもあって、固有スキルは国によって把握されているのが現状だ。