追放されてしまった
さぁやっと俺の番だ。どんな職業なんだろう?
「こ、この者の職業はオールテイマーです……」
鑑定士さんはそう言ってため息をはいた。なんか露骨にがっかりされたような……
「テイマーか…… で?オールテイマーとはどんな能力なのだ?」
「ええと… どうやらどんなものでもテイムすることが可能な能力のようです。」
「そうか…… はぁ…」
またため息をはかれてしまった。本人が目の前にいるんだからそんなにため息をつかないでほしい。
そして、全員の鑑定が終わった後、王様が皆に話しはじめた。
「諸君らは明日からこの国の騎士と共に訓練をしてもらう。今日は早く休んで明日からの訓練に備えてほしい。では、解散!」
俺達はメイドさんに案内されて指定された部屋に行った。部屋は綺麗でベッドも気持ち良く、精神的に疲れてたこともあってすぐに寝てしまった。
そして翌日。今朝から訓練が始まった。帰宅部の俺には非常にキツかったが、何日も繰り返すと何とか慣れてきた。
そして訓練開始から2ヶ月が経過した。
今日は教官である騎士団長からの提案で初心者向けのダンジョンに行くことになった。異世界にきてから初のダンジョンということで俺はとてもワクワクしていた。しかし、騎士団長からは俺だけが留守番ということにされた。やることが無くなった俺はいつものようにこの世界の歴史や地理を覚えようとしたら騎士に王様が呼んでいると言われたので、王様の所に連れられていった。なんだろうと思っていると王様の口から信じられないことを告げられた。
「カズト、貴様を追放する。」
……え?な、な、何で!?
「いいか、貴様の職業のテイマーは魔族しか所持しておらん。人族がテイマーの職業を持っていることは絶対あり得ない。」
えっ テイマーって魔族だけの職業な
の?
「ああ、テイマーの職業を持っているということは貴様が魔族である証拠だ。」
そんな理不尽な!!
「よって貴様を追放する。感謝しろよ、本来なら公開処刑にするはずが、追放するだけですむのだからな。」
「ち、ちょっと待ってください!そんなの嫌ですよ!」
「これはもう決定したことだ。今から貴様をこの転送陣を使ってとばす。因みにこれは何処にとぶか全くわからないが、非常に危険な場所に転移するということだけは確かだ。」
え、ち、ちょっとまっ……
「じゃあの、魔族。またな。もう二度と会うことはないだろうが。」
俺は王様にそういわれた直後、洞窟のような場所に転移されていた。