これは犯罪ではない
女の子をダンジョンに連れて帰った俺達は女の子をソファーに寝かせたあと目覚めるのを待っていた。
「う、う~ん………」
「あっ!カズト!気が付いたわよ。」
「大丈夫ですか?」
「あ、は、はい。あの、ここはいったい……」
「ここはダンジョンの中だよ。」
「ええっ!?ダ、ダンジョン!?」
「大丈夫大丈夫。ここはまだスライムがたま~に湧くくらいの全く危険じゃないダンジョンだから。」
「そ、そうなんですか。」
「そうだ。自己紹介しないとな。俺は詩島和人。16歳だ。」
「私はティアマト。ティアって呼んでいいわよ。」
「カズトさんにティアさんですね。私の名はクルルといいます。14歳です。」
「なあ、クルル。君はなんであんなところにいたんだ?」
「それは、奴隷オークションの会場に連れていかれるところであの狼の群れに馬車が襲われたのです。私はなんとか逃げられましたが私以外の皆は喰い殺されてしまいました。」
「その奴隷の首輪って外せないの?」
「それは無理です。奴隷の首輪はそれを着けさせた人か自分を買った主人しか外せないのです。」
そんな首輪なのか。でも俺ならなんか外せそうな気がする。
「ちょっといい?首輪を弄らせて。」
「ああ、はい。どうぞ。」
よーし、まずは引っ張ってみるか。あれ?固いな。
そう思って少し力を込めると急に首輪に亀裂が入り粉々になった。
そしてティアをテイムしたときに聞いた無機質な声が聞こえてきた。
『少女クルルをテイムしました。』
えっ、なんで!?俺、今回は首を掴んでないんですけど!
「す、すごい!本当に奴隷の首輪を外せるなんて!カズトさん、本当にありがとうございます!」
「あ、いや、その……」
やめて、お礼言わないで。俺、君をテイムしちゃったらしいから!そんなお礼言われると罪悪感が余計ひどくなるから!
「ねえ、カズト。クルルの首に私と同じような紋章があるのが見えるんだけど。もしかしてクルルをテイムした?」
「ええっ!?わ、私をテイムってどういうことですか!?それにテイマーって魔族しか持ってない職業じゃ……」
俺はクルルに俺の職業と俺がこの世界の人間ではないことを話した。
「そうだったんですか。つまりカズトさんはとってもすごいってことですね!」
クルルは俺のことをすごい褒めちぎってくれた。なんかちょっぴり恥ずかしいな。
「俺のことよりクルルのことのほうが大事だ。クルルを家族の元に帰さないといけないし……」
「私の家族のことなら気にしないでください。家族は数年前に土砂崩れに巻き込まれて死んでしまったんです。」
そうだったのか。辛いことを思い出させちゃったかな。
「そんな顔しないでください、カズトさん。仕方ないことなんです。自然災害は悪意のない暴力ですから。」
確かにそうだけど、なんとかしてあげたいな。……そうだ!
「なあ、クルル。君さえ良ければここに住まないか?」
「い、いいんですか?私としては非常にありがたいんですけど。」
「いいに決まってるだろ。それに今の俺はクルルの主人みたいなものだからな。」
俺がそういうと何故かクルルが顔を赤らめた。
「しゅ、主人ですか。ちょっといい響きです……」
「ん?なんか言った?」
「あ!い、いえ!にゃんでもありましぇん!」
めっちゃ噛んでるけど。
「ねえ、クルルは何が出来るの?」
「私は料理が得意です。」
「そうなのね。だったらクルルは私たちにご飯を作る係りに任命するわ。」
「なあティア。クルルがここで暮らすことになるしいい機会だから部屋を作ろうぜ。」
「そうね。ここで寝るとなるとさすがに狭すぎるし。」
良かった~これでティアのイビキに悩まされなくてすむ。あいつのイビキ、ホントにうるさいからな。
「うまっ!クルル、これめっちゃ美味い!!」
「ホントホント!ちょー美味しい!クルル、おかわり!」
「あ、ありがとうございます!」
クルルの料理はものすごく美味かった。正直、城で食べたご飯より美味かった。
「うーん、今日は色々あったなー」
俺がそんなことを考えながら、今日出来たばかりの俺の部屋に入るとクルルが俺の部屋にいた。
「ク、クルル?なんでここにいるんだ?お前の部屋はあっちだぞ。」
「あ、あの、お願いがあってきました。」
「なに?」
「わ、私のことを抱いてください!」
えっ?えええええええええええ!?
「ちょちょちょちょちょちょっと待って!だだだだだだ抱くって!ど、どういうこと!?」
「昔、お母さんがよく言っていたんです。 自分がこの人だと思った相手にはアプローチを仕掛けて既成事実を作りなさい って。私はそういう相手はカズトさんが一番だと思ったから抱いてもらおうとしたんです。それにカズトさんのことは全然嫌じゃないですし………」
「でも、俺じゃなくても、もっといい人がいるんじゃないか?」
「いいえ、カズトさんよりいい人なんていません!仮にいたとしても私はカズトさんがいいんです!」
そうか、女の子にここまで言わせちゃったんだ。ここで応えなきゃ男じゃないな。
「じゃあ…… いいか?」
「は、はい。」
そうして、俺はクルルを抱いた。
後から思ったがテイムした女の子を抱くってなんか犯罪の臭いがする気がしたが気にしないでおくことにした。