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5-10 代償

エイトはデスゾーンの農場でソーセージブレッドを齧っている。周囲にいる全員が!である。食べたものは美味い美味いと口にする。


(そりゃあ美味いだろうよ!俺のインゴッドだからな!!)


そう、エイトの秘蔵のインゴットを売って、買い集めた食材は最果ての村に送られた。そこで工場長のオリビアの元、ソーセージブレッドとなったのである。




そして、エイトは昨日ハナがばら撒いた、号外と言うものを眺めている。それは全国のよろず屋を通じて、全世界に配られた。


内容は、


***


号外1

諸悪の権化、北マウアト教団に神罰下る!なんと教皇マウアトはベルサスの世界を破壊していた。


全世界の誰もが周知しているデスゾーン、この広がりは今日まで誰にも止められなかった。しかし602年3月30日それは止まった。それはなぜ?それを全世界に知らせるため、この号外は作成された。


すべての日にベルサスに等しく降り注ぐ荒ぶる火の王、は毎日暖かい日差しを与えてくれる。それをベルサスの人々は当たり前だと思っていた。


マウアトの謎、デスゾーンの神秘、今後の豊かな暮らし、その内容は本日販売の、号外2有料版にて解明されます!


号外2は1枚 貴族1金貨、平民1銀貨で販売予定です。

販売元 よろず屋 


***


「ぶっ、エイトは思わず吹いた。流石ハナ。」


エイトはハナのことを少し尊敬した。


***


号外2

諸悪の権化、北マウアト教団に神罰下る!なんと教皇マウアトはベルサスの世界を破壊していた。


全世界の誰もが周知しているデスゾーン、この広がりは今日まで誰にも止められなかった。しかし602年3月30日それは止まった。それはなぜ?それを全世界に知らせるため、この号外は作成された。


すべての日にベルサスに等しく降り注ぐ荒ぶる火の王、は毎日暖かい日差しを与えてくれる。それをベルサスの人々は当たり前だと思っていた。


マウアトの謎、デスゾーンの神秘、今後の豊かな暮らし、その内容は本日販売の、号外2有料版にて解明されます!


有料版をお買い求めありがとうございます。それでは説明します。


以下は、当時あった国のことです。別の書物から引用しました。この頃から北マウアト教国の人口魔石工場は稼働しました。約100年前のことです。


以前は25以上もの異種族からなる国、アイゼンブルグ共和国があった。最盛期の人口5000万人と推定されている。最多種族の国と知られていた。最後の国王はクレイグ・アイゼンブルグ国王(人族)であった。


死の大地に飲み込まれ消滅する。消滅直近の事象として、作物は芽を出さず、緑は枯れ果て、昼夜の温度差は激しくなる。小動物から死滅していき、屋外への外出禁止令も発す。人は皮膚や眼の病に伏し、枯れ木のように死する、また失明も増え人民の希望は北方の大地へと向かう。北方の国々は感染症と判断し北緯50度に城壁を建造しこれを隔離する。調査にて土壌等の問題であると報告されるが、感染症説を否定できないと固持し、未だ城壁は解放されていない。




以下は、体験者の声です。


土に含まれる水が煮えたぎる。体験したデスゾーンはそんな現象だったそうだ。地竜が地中で炎をまき散らし暴れている。そんな流言が飛び交い、兵は挙って穴を掘り海水を流し込んだという。




結局、北マウアト教国は人口魔石工場(古代アーティファクト)を稼働させることによって、ベルサスを守るオゾン層を破壊しました。


オゾン層の破壊は南より広がります。いずれ近い将来ベルサスは滅んでいたでしょう。しかし八百万の神の1柱 オレダ神は人口魔石工場を破壊し世界を救ってくれたのです。


しかしまだ予断は許されません。オゾンホールは空いたままなのです。すべての日にベルサスに等しく降り注ぐ荒ぶる火の王(今後、太陽という。)の光は、強すぎると害になるものがあります。


それは紫外線と言います。地表より10キロメートル上にあるオゾン層で守っていたはずなのに、地表の生物の健康被害、気候への影響、南極の氷が溶けることにより、海面上昇が起こり、土地が減る。


しかしこの紫外線も有用な面もあります。まず骨や歯など強くなる効果や、干物が腐らない!洗濯物が臭くない!殺菌の効果があるのです。


そしていよいよ明日、602年3月31日オゾン層を修復しようと八百万の神の1柱 オレダ様は行動を起こすのです。


上空10キロのオゾン層と言う未知の物質との遭遇。


こうご期待!




号外3は、1枚 貴族2金貨、平民2銀貨で販売予定。

販売元 よろず屋 


***


エイトたちは農場から移動し、大きな広場にいる。目の前にはデスゾーンが広がっている。


ハナによってテントの中で待機させられていた。外の声がだんだん増えてきている。やはりハナの思惑通り大勢が詰めかけているのだろうか。


エイトは思った。


(オレダ神ってことは、またあの仮面付けて派手な衣装着るのかよ!)


実際のところオレダ神の信者は増えていた。一つには15000のベスパーラ兵の前で魔法をバンバン使ったことが理由だ。もう一つは調子に乗ったハナが、サポジ王国、ベスパーラ王国、マクジル王国の交わる場所にオレダ神を祀ったのである。


いつの間にか信者によって、祭壇が設置され、詰所も出来た。そうなると民宿、団子屋、土産物屋も出来、最近では民家も建ったという。ハナはひっきりなしに並ぶ、供え物の処置に困りゴーレム神父を配置した。


ある夫婦が病の子供と共に回復祈願に来た。ゴーレム神父は病気治癒キュアイルネスでこれを治し更に信者が増えるのであった。




そろそろ昼になる。ハナからは13時開始と聞いている。


602年3月31日デスゾーン、今日で夏も終わりである。明日からエイトたちは学園で新学期がスタートする。そんな時にこんなことをしてていいのだろうか?エイトはそんなことを考えている。


(わからない。)


ベルサスをデスゾーンから守る、とてもとても重要な事だろう。しかし、エイトにとっては他人事のように感じるのであった。現在、エイトレンジャーのコスチュームの着替えを後ろから眺めている。


なぜかエイトは背徳感を感じている。見てはいけないものを見ている。


そして、テントにハナが入ってきた。


「ファンに追っかけに信者でいっぱいだからね。少しだけ手を振って船に乗り込むのよ。」


ハナは元気に言う。エイトは思う、ハナが楽しそうだ・・・。


「僕はどこに居ればいいんだ?」


「ダハクさんが言うには地上から10キロも上がると、気温は低いし、空気は薄いから、人間は危険らしいのよ。なので途中までしか上がらない船に乗ってもらうことにしたから。」


ハナは伝える。


「わかった、じゃあテント出たら、強化魔法とエンチャント魔法の呪符を配るよ。行こうか?」


エイトは言い外へ出た。




「「「「「おお、おお、おお、おお、おおおー」」」」」


地鳴りのような声援が起こる。その声にエイトは度肝を抜かれた。エイトは範囲強化魔法をかける。


「「「「「おおおー」」」」」


また声援が飛びレッドやブルーたちの名前を呼ぶ人もいる。エイトは、エイトレンジャー1体1体に、気をつけろよと、声をかけ呪符を配る。そして飛空艇に各々は乗り込んで行った。


エイトの船は上空5000メートルらしい。操舵はゴーレムである、エイトはお願いし、あと1000上げて見て、あと1000お願い。と結局エイトレンジャーの船と変わらない所まで上がっていた。


吐く息は白い、小さく吸わないと息も吸えない、それに喋ることが困難だ。木の船はずっと軋んでいる。凍りついているのか。


(キーちゃん初めていいよ。)


そう声をかける。そしてエイトは回復魔法は、人間とからくり人形しか掛けられないだろ!と思いつつ、まずは、原状復帰リカバーを使った。


エイトは焦った、グイングイン体内の魔素が奪われる。(ヤバイ!)そう思った瞬間だった。


クラッとして、(倒れる!)


そして、


エイトは意識を失った。


***


エイトが目を覚ました時、翠色が首をくすぐる。懐かしい匂いがする、ああハナか。ハナは僕にキスをしている。ハナの薄翠の髪の毛が垂れて、僕の首をくすぐっていた。


ハナはまだ気づかないなぁ。今起きると気まずいと思い、僕は目を瞑った。口移しで何か飲ませられているらしい。この味は魔素回復薬だろうか。いつ以来だろう魔素使い過ぎで倒れるなんて・・・。


そんなことを冷静に考えつつ、ハナが離れて、少しおいて、言う。


「僕、倒れてたのかな?」


赤くなったハナは言う。


「もう!すんごい心配したのよ!」


ハナは既に泣き始めた。ベッドに横たわるエイトの胸に頭を摺りつけながら・・・。


(この状況からは抜け出せないぞ、泣き終わるまで待つか。)


「あどえあおえ、っどだぢもっがぐで。」


(ハナが、泣きながら、嗚咽しながら、話そうとしてるのだが、まったくわからない。聞き取れない。)


そこで「そうか、そうか。」と言いつつ頭を撫でる。


ハナの激怒!


「あんだばじんばじゃじゃいご!!」


なぜか睨んでるハナ、僕は言う。


「ちょっと待て、ハナ落ち着け!僕はハナが何を言ってるのか聞き取れない。」


ハナは目を見開き言う。


「えっびびがぎごえがくなった?」


「いいかハナ落ち着けよ、僕は耳は聞こえている。でもハナが泣きながら、嗚咽しながら、鼻水垂らしながら、喋るからゴブリンと話してるみたいなんだ。」


エイトが言うとハナは鼻を噛み、涙をぬぐい、話始める。




最初にキングがエイトからの連絡が途絶えたので船を下ろすと言ってきたこと。ゆっくり船は降りてくるので待っていると、空から黒い塊が落ちてきたこと。そして危険なのでと、観衆を下がらせていると、また黒い塊が落ちてくる。いくつか落ちて来た時、ハナはハッとしたという。その黒い塊がレッド達だと言うことに気づいたのだ。そして、仲間で手分けし回収させた。


そこまで聞いてエイトは外に飛び出した。誰かが手招きするので近づくと机の上に黒い塊が8つ並べてあった。


「誰がここに置いた?」


エイトは静かに言う。すると観衆は服で気づいたのか声援が上がる。


「「「「「うぉぉおおおおおー」」」」」「エイト様」「エイトくん!!」「キャアー!」「エイトッエイトッエイトッ!」「よくやったぞー」


一頻、歓声が上がった後、エイトはまた聞いた。


「誰がここに置いた?なんで並べて見世物にしてるんだ。」


エイトは声を出すのだが声援で誰にも声が届かない。エイトは回復魔法をする、黒い塊は何も反応しない。なんでなんで、そう言いつつ、エイトは机に突っ伏した。


エイトは泣いていた。人目も憚らず泣いていた。そしてハナが来て、テレストやアビーも来た。マチも来てエルドラも来る。


そしてエイトは婚約者たちに抱えられ、テントに引き摺られて行った。


声援、拍手がまた上がる。よくやった!すごいぞ!がんばったな!えらいぞ!デスゾーンの救世主だ!ベルサスの英雄だ!しかし、何を言われてもエイトの耳には届かない。


惜しみない拍手も・・・。




テントに戻り、エイトは更に泣いている。ワンワン泣いている。


泣きながら言う。


「ごえびでぐえ、ぎどおごうげぎだいいかぐどおでんでんぶごががい。だんでどおじで・・・。」


テレスト、アビー、ハナ、マチ、エルドラには何を言ってるのかわからない。でも全員で抱き合っていた。全員でエイトを抱擁した。そして全員で泣いた。



エイトはこう言っていた。

「これ見てくれ、起動、攻撃、退避、格納、全然動かない!なんでどうして・・・。」




こうしてデスゾーン、いやベルサスは救われた。そしてエイトは多くの代償を支払ったのだった。




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