5-4 それぞれの色
とある日のエイトと、からくり人形キングの会話
「やっぱり温泉は欲しいんだよな。となると、住民満足や顧客満足を考えた公な場所に建造するのがいいのかな?」
「はい、主、それは言われる通りでしょうな。将来のエコル島のことを考慮すると、収益力を上げるために、観光地として顧客を呼び込むような立地がいいでしょうね。」
キングは続ける。
「敢えて、そのことを言うということは、何か他の考えがあるのでしょう?」
「まあ、そうなんだけどさ。疲れた時にゆっくり入れる、自分たちだけの温泉が欲しいかな。目立たない場所に作りたいんだよね。
あと露天風呂とかでさ、夜に星を見ながらとかいいよね。」
そして、キングは様々な考えを巡らせ、一つの結果を導き出す。
「解決策が無いことも無いのですが・・・。主はダンジョンのコアを知っていますか?」
「キーちゃん、保管庫にあるの知ってて言ってるよな?」
「主、もちろんです。いあ用途というか、出来ることというか、ダンジョンのコアのどういう情報をお持ちなのか気になりまして、尋ねています。」
「そういうのは知らないけど。紫の色をした宝箱から出たんだよね。アイゼンベルグの地下なんだけど。
ダンジョンのコアが魔道具だったので、図書館で調べてみたんだけどね解らなくてさ。ダンジョンのコアというからには、地下牢が作られるのかな?と思っているくらいだね。」
「主、それなら今回使ってみるのがいいかと思われますね。私が調べたところではダンジョンというよりもラビリンスに近いもののようで、同様なものが東西南北に4カ所あるらしいです。確認されているのはアイゼンベルグと北のシュタイントゥルムだけでしたね。」
「2カ所不明なところがあるのかあ。」
「誰がどのような目的で作ったのかは定かでないのですが、コアの管理者はラビリンス内を設計できるらしいです。」
「そこに温泉目的とか・・・なんか作った人に申し訳ないね。」
「フロアごとに用途を変えればいいのではないかと考えます。あるフロアは魔物なども配置して兵の格上げや訓練をする。他のフロアに温泉や個人的なスペースを確保するとかですね。
あと中は時間も流れ、季節も地形も管理者がある程度コントロール可能だとありましたから、眺望もよいと推察します。」
申し訳ないと言いつつも、エイトは興味を惹かれ、すぐにコアを使用してみる。現在、建造中の城から離して使用したのだが、ダンジョンは城の真下に作成された。
コア管理者の移動場所はシークレットとして一般のエリアとは分け隔たれていた。これはエイトにとって好都合であった。
最初、中は5層になっており、すべては墓地エリアだった。最終のボスモンスターを確認すると、やはりリッチで135格である。
エイトは全て変更し地下1フロアから順に草原エリア、森林、湖沼、荒野、海浜、渓谷、雪原、火山、古城、闘技場の10層のエリアを設定した。
一般エリアの入場口は、兵士詰所の近くにした。将来、冒険者の使用も見込んで未開発地が多い場所を選んだ。
そして、このダンジョンでは死亡することはない。ただ体力が半分以下になり、すべての装備品は無く、ボロ布1枚纏った姿で入場口付近に排出される。
全てのフロアの最後にいるボスモンスターを倒すと、宝箱が出る。
ほとんどの場合、素材だったり、ゼニだったり、薬品などであるが、8フロアでは、女の子にもてる指輪 STR+1という物が出た。最終の10フロアでは音声通信器が1台出た。
(これは!もしや!ハナの異世界カバンにあったもの、ハナの言うところのケイタイではないか!と思い。)
エイトは急ぎ帰り、ハナに一番に見せた。ハナはジロジロ眺めて言った。
「すごいんだけどさ、1台じゃあ使えないよね!」
「たしかに・・・。」
エイトは魔道具なら、ということでフヨン先生に渡すことにした。
***
「僕は行かないぞ!」
「なんでだよ!」
「なんであのとき勇者に話して、顔繫ぎしとかなかったんだよ?」
「それは、あのときは、ほら、仕事っすから。」
「・・・・・・。」
勇者の拠点であるカーママー皇国に一緒に行こうと言うグース。それを拒むエイトであった。
その前にこんな会話があった。
以前よりグースには目標があった。それは将来、勇者と共に魔王を倒す。ということだった。それを知っていたエイトは、グースのために情報を流す。
「なあグース、勇者は今45格だった。あとホーリーブレイブって言うのが特殊技か何かかなぁ・・・。高位の魔族にダメージを与えることが出来る。と書いてあったぞ。
他人の情報を言うのは、あまり好ましくないけど。グースが何かの役に立てればいいよ。でも他の人には言うなよな。」
「わかってるっす。しかし45格だとどうなんっすかね・・・。あと、そのホーリーブレイブがあるから勇者っす。それが無いと魔王に勝てないっすからね。」
グースは得意げに言った。エイトは言う。
「やっぱり勇者のことは詳しいんだな。」
グースは頷き言う。
「俺も魔法系の職を格上げして、騎士99格と魔導師99格でどうかな?と考えていたっす。でも本当は魔導師は回復系がいいんっすけど・・・。」
「それなら、光系を覚えればいいじゃん。」
グースは首を振り言う。
「俺は土系で大別するなら闇系っすからね、光系は覚えにくいんっすよ。」
グースは闇系は土、水、氷、闇で、光系は火、風、雷、光のそれぞれ4つに大別すると考えているようだった。エイトは初めて聞く話に驚いて言う。
「それはないだろ!」
グースはしたり顔で話す。
「学園の図書館で見たっす。」
「だってさ、テレストは光、水、氷だし、あと・・・。あ!タチアナさんは土、風だぞ。あとさ学園の図書館の歴史関係の本は、鑑定で調べると、4割嘘だったからな。」
グースは目を丸くし言う。
「本当っすか?」
「マジだ、まあよくあるだろう。ファンタジーとか空想世界とか童話とか。あと神書や歴史に医学とかの中にも、ろくに精査もしないで並べてある本もある。」
「マジっすか!」
「それと、言っておくけど、魔法系の格が上がって勇者と行動をするときだけどさ。眷属は外させてもらうからな。」
グースは泣きそうな顔で言う。
「えええ!それは困るっす。」
「何言ってるんだよ!眷属のままだと、グースが間者とかスパイだと疑われるぞ。しかも僕の眷属だからな、変に怪しまれるのも嫌だしな。」
グースは更に泣きそうである。
「えええ!じゃあエイトも一緒に行くっすよ。」
「無理無理、僕は絶対に嫌だ。あんな貧弱な馬鹿っぽいやつの手下とかごめんだ。」
「えええ!馬鹿じゃないでしょ。あとちょこっと魔王倒してさっさと帰ればいいっすよ。」
「それが一番いやだわ。魔王になんの被害も受けてないし、いい奴だったらどうするんだ。」
「あの教会の本にもあったすよね?読んだんすよね?」
「あのさグース、大事なことだから言っておくけど。僕はカーママー教は信じていないし、どっちか言うとマクジル王国に攻めて来た人間に加担してた。だから、ウルティー連立王国とカーママー皇国に行って賠償させたいくらいだ。
魔王っていうのはただの魔族の王だろ、人間だって、エルフだって、他にも探せば種族の王はいると思うぞ。
教会の本、1冊に踊らされて魔族の王を殺しに行くのは嫌だ。
と言うのが僕の考えだ。グース、言いたいことはここからだ。
お前はもっと、自分の目で見て、自分の口で会話して、その上で考えて決めたほうがいいぞ。これはマジだぞ!」
グースはうんうんと相槌を打ちながら聞き、目を瞑りしばし考え言う。
「よくわかった。じゃあさ一緒に調査に行こう。」
エイトは思った。(ダメだこれは!これじゃただの自分の無いやつではないか!!そうか、なるほど自分探しの旅に出るやつはこういうやつなのかもしれない。主体性もないし自主性もない、これが指示待ち人間という人種なのか!どうすればいいんだ、わからない、わからない。)
エイトは疲れた。長い長い生産性のない話、そんなグースとのやりとりにふとハナのことが頭を過る。
「あんたが一人で調べて来るといいわ!」
ハナならきっとそんな、一言で終わらせる。エイトとグースの無駄に長い話であった。
***
エイトには、知り合いに猫人族が3人いる。(ダフネはヒョウ柄のベンガル、エルサは茶色のチンチラ、ニエベスは白のショートヘア系のような気がしている。何がって?それは尾です。
髪の毛はそれぞれ、茶、黒、グレイなので猫種とはあまり関係はないようです。)ある日、3人に別々の場所で同じ質問をしてみたエイト。
「3時の茶会のおやつには何を食べたいですか?」
ダフネ「紅茶と合うクッキーがいいニャ。」
エルサ「3時だし、5段バーガーなンダニャ」
ニエベス「生クリームのケーキが食べたいンダニャ。」
「食後の飲み物は何がいい?」
ダフネ「食後はやっぱり珈琲かニャ。」
エルサ「豚汁なンダニャ。」
ニエベス「ホットミルクが飲みたいンダニャ。」
(発見その1、語尾の「ニャ」に、なんかはまって、いろいろ質問しまくったんだ。最後は「しつこいぞ!」とキレラレタ。怒ったときは「ニャ」って言わないらしい・・・。)
(発見その2、ダフネは「ニャ」なのだが、エルサとニエベスはどうしても「ンダニャ」に引っ付けたがるんだ。)
「何故違うんだ?」と3人一緒に聞いてみた。
ダフネ「エルサとニエベスは、田舎育ちだから、まあそうね、方言みたいなものかな?」
エルサ「私にわかるわけないンダニャ。」
ニエベス「ダフネの住んでるところは、馬車の通れる道が1本しかない田舎なンダニャ。」
ダフネ「煮えブス、何言ってるの!あのね、・・・。」
ニエベス「誰が煮えブスだってー!ダブダブネのくせに!!」
エルサ「あの・・・」
ダフネ「食いすぎエルサイズは黙れ!」
ニエベス「ダブダブネじゃないわよ!白いからちょっと膨張してみえるだけよ!」
なんか内輪揉めが始まったので、とばっちりが来る前にエイトは姿を消した。
そして、
(発見その1、追加実験にて、ほぼ確定。怒ると「ニャ」「ンダニャ」は使用しない。)
***
サポジ王国カールハインツ王は言う。
「いいかーエイトくーん、北マウアト教国のマウアト教皇はわかりやすい悪だ。それに対してカーママー教皇は潜む悪だな。2大強国もどちらにせよー負ければ悪だな。勝てばー官軍、負ければ賊軍というだろー!」
「なるほどー勉強になります。」エイトはおざなりな対応をする。
「あとなあエイトくーん!ウェステンのドラゴニアって知っとるけ!はくりゅうってじいさんは?一度会うと、いや会え!いや本当だぞ。私は酔ってないからな!白竜の爺さんはな博識なんだ。」
「知らなかったですね。陛下の言われるとおりに会ってみます。」
エイトは合わせて会話する。陛下はうんうん頷いている。
「しかしだよ。エイトーくん。私にとって一番相性の悪い相手が隣国とか、どんだけくじ運悪いんだよ!な、な、わかるだろエイトくん。エイトー!逃げるなー!」
カールハインツ王は酔っていた、長時間の列車の旅、凄まじい勢いで走る列車に緊張し、疲弊し、銘酒の数々に舌鼓を打つ、へべれけだった。
「これほど酔った陛下は初めて見ました。」と言うウーヴェ宰相は、全員に気を遣ってあまり酒は進まなかったようだ。
カールハインツ王は絶好調だった。人は城であり、石垣なんだよ!勝つのも負けるのもヒトシダイってこと。友や仲間はね!友情ってイイヨネ!イイヨネ!人はタカラだよね!いやー人っていいよね。
絆だよエイトくん!人が集まらないと村も街も!いやいや国だって!人とのつながりはね・・・。ミンナスキダー!
その夜、エイトはヒトヒト、ヒトヒトして眠れなかった。
後日、ウーヴェ宰相から届いた。その中身は、その節は本当に申し訳ないと書いた手紙と大量のラム酒だった。ラム酒の量がお詫びの大きさを表していた。




