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4-3 陰謀

よろしくお願いします

エイトは尋ねたいことがあると告げる。


ドルトイは暴虐の白刃と言われた獣人族、ザンギは深海の毒牙と言われる魚人族である。二人は黙して肯く。




「ドルトイさんとザンギさんには申し訳ないのですが、簡単な質問ですので、はいか、いいえで答えてください。」


と、言ってエイトは質問する。


「あなたはウルティー連立王国の内通者ですか?」


「「いいえ。」」


「あなたはウルティー連立王国となんらかの関係がありますか?」


「「はい。」」



一同顔を見合わせてはいたが、どうやらトリトンさんも知っていたらしい。


そこで事情を聴く。どうやらドルトイさんは妹が、ザンギさんは娘が、ウルティー連立王国の軍隊にいるらしかった。


(エイトは思考する。もしかすると王都で敵対し昏倒させた中に、ドルトイさんの妹が、ザンギさんの娘が居たのかもしれない。そして現在は王都の地下牢なのか?


それともウルティー連立王国の王都で内勤ということも・・・。この二人を見ていると内勤は無いか・・・。わからないわからない、今後どう対処すれば・・・。)


大人たちは皆、頭を抱えている。エイトは長時間のミーティングで疲れ、疲れきっていた。


そこで鳴るノックの音。ドンドンドンドーン。



やけに強めのノックの音にドアを見やると、ドアが勝手に開き。



・・・・・・・・・縛られたおっさん!


エイトは後方に飛んで距離を取り、レッドを呼ぶ。




「上手くいったわ。」ハナの声がする。



暫しの沈黙が過ぎ、事の次第を知る。




どうやらハナはからくり人形、弓のグリーンを勝手に使い。

テルグ領へ行かせ、首謀者である辺境伯のクリスト・エイン・テルグを、拉致したらしい。


その場には、目隠しをされ、口には猿轡、全身を縄でぐるぐる巻きにされた中年のおっさんが転がっていた。


(こいつがクリスト・エイン・テルグ辺境伯なのだろうか・・・。)


「ハナ、お前は勝手に何してるんだ!」


とエイトは大きな声を出すが、誰も聞いてなかった。





パチパチパチ、ハグしてハグして「よくやったぞ!」ハグしてハグして「でかした!」「ハハハ解決じゃないか!!」

固い握手、握手、そしてハグしてハグして、握手、握手。

沸き起こるハナコール。「「「「ハーナ!ハーナ!ハーナ!」」」」

沸き起こる拍手喝采。パチパチパチパチパチパチ




「それじゃエイトくん、くれぐれも気をつけてな。」


エイトはおっさん8人とハナに見送られ、一人王城へ向かうのだった。ぐるぐる巻きのおっさんを引き摺って・・・。


「誰も来ないんかい!!!!!」


・・・・・・・・・イヤイヤイヤ、スネニキズアルシナ。イロイロカコガ。

おっさん8人は目を合わさずブツブツ呟くだけだった。


***


そして、いつもの王城の待合室で待つこと3分。


いきなり扉が開いたかと思うと、飛び込んできた、ミッチェル・アラン・カラザース宰相。


握手のあときつめのハグ、そして面通しをするミッチェル宰相。目隠しが取られる。


(こんな顔してたのかクリスト・エイン・テルグ辺境伯。普通だな。)


そして近衛兵に再度、目隠しをされ、近衛兵二人に両脇を抱えられ、乱暴に扱われ、呻き声を上げつつ、クリスト・エイン・テルグ辺境伯は部屋から引き摺りだされて行くのだった。


(時の権力者が兵にぞんざいに扱われるさま、何だろうこのノスタルジックというか郷愁というかやるせない感じは・・・。)


エイトは自分の気持ちを表現できないでいた。




それとは対照に、ハミングに乗せて、ステップ軽やかに入室するジェイ・ド・ステイプルトン王。


3人は席につき、エイトが説明を始めようとするとジェイ王は言う。


「エイトくんは金髪は好きか?」


(なんだこいつは王という名の客引きか!ポン引きか?キャッチャーなのか!?)


そしていつものように宰相のミッチェルは阻む。


「陛下、先ずはエイトくんの話を聞きなさい。」


そうだな。と言ってジェイ王は姿勢を正し、エイトは口を開いた。


「うちにハナという友人がいまして、僕の知らないうちに手配していたらしく、たまたま捕らえた感じでして、はい。」


エイトは右の頬をポリポリ掻いていた。ミッチェル宰相とジェイ王は、それだけ?という顔をしている。


ミッチェル宰相は左上に視線を泳がせた後に尋ねる。


「死傷者とか戦闘とか・・・。」




「いえ、まったく無かったのですよ。たまたまなので・・・。」


エイトは決めていたことを言う。


「一つお願いがあるんですが?」


ジェイ王は促した。そしてエイトはドルトイさんの妹のこと、ザンギさんの娘のことを話した。


(誰にも相談はしていない、それでも刑が執行されてもいけない。もし牢にいない場合、ドルトイさんやザンギさんを追い詰めることになるのか?僕は早まってしまっただろうか。)


ジェイ王は眉間に皺を寄せて言う。


「身内のことなので心労が募ってもいけない。刑罰を受けてもいけない。明日朝にでも連れてきなさい。あとエイトくんも立ち合いで来てくれ。よいな?」


「承りました。」


その後、いくつか言葉を交わし本日の謁見は終わった。


ドルトイさんとザンギさんに伝えて、ハナは説教だな!と意気込んで帰っていくエイトであった。


***


怒らないなら帰るから!と言付けてハナは出て行ったという。そのハナをずっと待っていた。一睡もせず待っていた。寝不足のエイトは王城に居た。


門兵も顔パスだった。ドルトイさんとザンギさんは接見というか、面通しというか、面会?まあ、妹と娘探しだ。


「なんで君がいるの?」


エイトは驚き、声を出す。


そこに居たのはアビー・ウイン・ステイプルトン王女だった。


お茶は運ばれて来たのだが、他に人が来ない。エイトは辺りをキョロキョロ見渡している。アビー王女は落ち着き払ってお茶を飲んでいる。


暫しの沈黙の後、アビー王女は言う。


「たぶん誰も来ませんわ。エイト様。」


ギギギと音が出そうなほどぎこちなく、エイトは顔をアビー王女に向ける。アビー王女は続けて言う。


「先日はわたくしの我儘を聞き入れ、この城をお救い下さり、ありがとうございます。」


そして深く頭を下げた。頭を垂れたままアビー王女は続ける。


「わたくしごときでは不足ではありましょうが、今後は身も心もエイト様に捧げ、尽くす所存に御座います。」


アビーが何を言っているのか、エイトは考え、気づく!

(嵌めやがったな、ジェイ王)


「あほか!!あ、あ(しまった口が滑った)失礼しました。とりあえず頭を上げてください。アビーはまだ10歳なんだから、もっと自分の将来を大事にしたほうがよいと思います。」


昨夜あまり寝ていない。アビー王女と二人だけという状況に疲れ果て、ぐったりとしたエイトは眠りに落ちた。


暫しの時間が流れ、ざわざわするのでエイトは目覚める。なぜかアビー王女の膝枕で寝ていたらしい。それよりもテーブルを挟んだ正面の長椅子に、6人の女性が掛けていたことに、殊更驚いた。


どう見ても3人掛けなのである。


「アビー王女、こちらは誰でしょう?」エイトは寝ぼけた眼をこすり問う。


「はい、エイト様。王女付きの近衛兵3名と王女付きの侍女3名です。」


「ほう、、、それで何を騒いでいたのですか?それとアビー王女、そんなに畏まって喋らないで下さい。いつも通りで!」


アビー王女はすこし不機嫌なさまで言う。


「エイト様!あなたこそいつもと違って、言葉遣いが丁寧ですことよ。」


「当たり前じゃあないですか!ここは王城で、あなたは王女様ですし、このように他人の目もある。」


「わかったわエイトさん。簡単に言うと、男に枕代わりにされるような辱めを受けたので、婚姻を前提に引き取ってもらわないと困る。そう言って彼女たちは怒っているのです。」


「え。」


エイトが考える時間もなく、アビー王女は続ける。


「エイトさん、わたくしは自分の明るい将来のために、あなたと婚約しようと思うのよ。」


「ちょっと待って!」

アビー王女との歓談中だというのに・・・ありえないことですね・・・なんてこと!

「枕代わりって、俺は寝てただけで!」

レディーの前で破廉恥な・・・だけというのは何でしょう・・・なんてこと!

「いつの間にか膝枕だっただけで!」

あなたが擦り寄って・・・しらじらしい・・・なんてこと!

「膝枕が辱めになるの!!」

同衾ですわね・・・若い男女が一つのベンチで・・・なんてこと!


エイトが一言口を開くと、近衛兵たち、侍女たちが捲し立てる。


(なんだこの複数での追い込み、悪徳商法だろ!押し売りか!洗脳商法なのか!ジェイ王の影が見える・・・。そういえば!ジェイ王は言っていた、金髪は好きか?と・・・グルか。)


「はあ。アビーは本当にそれでいいの?」


アビーはにっこり微笑んで頷いた。


(確かにアビーは金髪だ。目は澄んだ青で見目麗しい。なんだろこの敗北感。虚無感。)


「じゃあそれでいいけど、既に婚約してるテレストには許可をもらいたいので、起きたら一緒に家に行こう。あと・・・もう少し寝る。」


エイトは虚無感から睡眠をとる。膝枕で。


アビー王女は愛おしいものを見るような眼で、膝の上に目をやり、エイトの頭に右手を添える。


女性6名は仕事は終わったとばかり、急ぎ立ち上がり去っていった。


***


「じゃあ、あたしも婚約するわ!」


そういうとハナはハグをするかのようにエイトに抱きつき、耳元でこう囁くのだった。


「婚約しないと金輪際、食事は作らないわ!」


エイトは再び虚無感にとらわれる。


(ハナの食事と離れるのは無理だ!拒否すれば今後の人生、不味いものを食って生きるのか・・・ありえない。ハナはすごい、人を動かす力の他に、胃袋を掴む力まであるのか!


これが伝説の胃袋を掴む力!料理の腕前で相手を魅了し、篭絡させるという!


しかしハナは何を考えているんだ・・・わからない。)


そしてエイトは静かに耳元で返した。


「いいのかよ!?20歳過ぎのお姉さんが10歳児を脅して!?」


エイトは涙目で言い、ハナは微笑んでいた。周囲の友人は呆れていて、グースは口を開けてボケていた。


***


転移門を2回くぐって、家具の置かれていないエコル島の居城に着く。


「もうこんなに工事が進んでいるのね。」とハナは言い。

「エイト様素敵です。」とテレストが言う。

アビーは転移門あたりでキョドっていたので、エイトが腰を支えている。


背の高い女の人がすたすたと小走りで来て言う。


「エイト様付きの侍女になりましたマチと言います。末永くよろしくお願いします。」


先日15番目と16番目のからくり人形も解放された。チェスの駒なのでクイーンとキングである。そのまま呼ぶには憚られると言うことでクーとキーと呼ぶことにした。


この侍女はキーが手配したのかな?と思い、出来たばかりの温泉へ向かう。


「ここが専用の温泉らしいぞ。」

「本当に源泉見つかったのね。」

エイトが言い、ハナが返す。


裸になって歩きながら、エイトは言う。

「恥ずかしいなら見ててもいいし、水着でもいいかもね。」


なぜか寄り添うように、素っ裸のマチがエイトの左の手を取っていた。


テレスト、アビー、ハナは思った。(右はわたくし、わたくし、あたしが!)

はにかんでいた3人は一気に服を脱ぎ捨てる。


アハハ、キャハ、湯船からは楽しい声が聞こえる。


ダッシュする3人の裸。




「あ、ちょっと待ってクーから連絡入った。」


そう行ってエイトは女性陣に背を向けた。


「なんかねキーとクーは会話ができるからくり人形らしいのよ。他の人形も話は理解できるんだけど、一方通行なのよね。」


ハナは3人に説明した。




「マチ!父から受けた命令はなんだっけ?」


エイトはマチに尋ねる。


「はい、ボクはこの城でエイト様にくっついて、ろーらくして、奥さんになることです。」


(あ、篭絡って言っちゃうんだ・・・。)


クーからの連絡はマチのことであった。なんでも父キバオウからエイト様に仕えろと言われ来たんだという。お風呂でも寝室でもくっついて離れず、そして篭絡し結婚するんだ!と・・・。


クー曰く、奥方は何人いてもいいと言われるエイトだった。




「マチはブラッドファング族だろ?かわいい尻尾あるし・・・好きな人と結婚するんじゃないの?」


マチは照れていた。身長は185センチである、かわいいとか言われ慣れていなかった。


「僕はエイト様のことが好きなの。」


エイトはしばし考える。




そこへハナが声をかける。


「エイト何考えてるの。レディが待ってるわよ。」


マチを見ると、今にも泣きそうな顔をしていた。


「ま、まあいいや、じゃあ四人目になるけどみんないいのかな?」


「うわーハーレムって初めて見たかも~。」ハナは相変わらず惚けている。


「じゃあ御父上って、もしかしてキバオウ様?」テレストは冷静だ。


アビーは胸を見較べてから質問した。


「マチさんは何歳ですの?」


「ボクは9歳なの。なのです。」


「「「ええーっ!」」」


みんな絶叫した。たしかに受け答えは幼かった、でもしかし身長185センチでクレオパトラカットで爆乳なのだ。


(エイトは思った。クレオパトラカットも9歳と言われると、ただのおかっぱとも思えるな。と)


マチさんはここで行儀見習いを・・・。ハナさん、料理はどこで習ったのです?テレストさんの魔法属性は何なの?ねえマチ~胸触らせてーね、ね、いいでしょ!


と女性陣は盛り上がっていたので、エイトはそっと風呂をでた。


***


コンコンとノックの音がする。エイトが答えるとアビー王女が先頭を切って駆け寄った。


「エイトさん!合宿しますわよ!!」


「んあ。」


エイトは声にならない声を上げた。




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