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3-8 毒婆

よろしくお願いします

「毒婆がね、大事なことを伝えたいって言ってたんだよ。なんでも傀儡師にとっては垂涎情報だってさ。」


エイトは頭を傾げる。


「キキ、先ず毒婆って誰なんだよ?」


「えっ、エイトって、デスゾーンにいてあの有名な毒婆知らない?そかそか・・・。


えっと本名はシャーロットアリラステラとか言ってさ、なんでも小さくてきれいな星って意味らしいんだけど。その名前が嫌で「私のことはポワゾン(毒)とお呼び!」って、それから毒婆って呼ばれてんだ。


今は、海沿いの洞穴みたいなとこに住んでて、でっかいからくり人形動かして錬金術やって食ってるらしいよ。」




(エイトは小さな衝撃だった。まさに自分がからくり士になった時のきっかけの、あの錬金師だったのだ。8歳の時いつものように商人に兎肉や兎皮を売りに行った。北から来る商団の中の一人で左腕が義手で左足が義足だったのでチクタクとかチックとか呼ばれていた。


チェスを教わったのもチックだ、チェスの盤と駒が欲しくて強請ったが譲ってはくれなかった。仕方ないので自作したんだった、なんだか懐かしい。そのチックに頼まれて錬金師のところへお遣いに行ったのだった。液の入った小瓶を数個持ち帰る簡単な仕事だ。もちろん駄賃もきっちりもらった。)


*


「ほーほーほーあんたが噂のエイト様かい。随分小さいねぇ。ダハクにお願いされたから、こんなお節介に首を突っ込んだだけだよ。あいつとは古い付き合いでね、腐れ縁ってやつさね。

一昔前になるがね、ダハクが煉獄の暗部と呼ばれた時期があってね。天国に行けないような塵を闇へ葬っていたってことさね。


今から聞くことはね、ゼニはダハクから頂いてるけれど、決して安くない情報だってことは言っておくよ。」


(婆ちゃんは僕と話しつつも、からくり人形を動かして錬金をしている。からくり人形は4メートルはある大猿?ゴリラなのだろうか、その猿が手で材料を取り、錬成盤で何やら唱えて、錬成窯で煮る。そして10センチほどの瓶に流し込むのだ。どんだけ手先器用な猿だ!!)


「エイト!聞いているのかい?」


「あ、ごめん、婆ちゃん、猿に見とれて全然聞いてなかった。」


こっちにおいで!と婆ちゃんは言い。猿の腹にある椅子からぴょんと飛び降りた。婆ちゃんの後を歩きながらエイトは言う。


「なあ婆ちゃん錬金術教えてくれないか?」


婆ちゃんは身振りで椅子を勧め、エイトに話す。


「突拍子なことを言うねえ、でも錬金術の話は後だ。あたしのことはポワゾンとお呼び!決してあなたの婆ちゃんではない。あとからくり人形の名前はルシファーだ。わかったかい!」


エイトは頭を縦に2回振り、ポワゾンさんは安くない情報について話し始めた。


絡繰り師、傀儡師についてのことだった。なんでも聖級クラスの12人の傀儡師に認められること、戦闘になる場合もあり、知略を問われることもある、12通りの方法で彼らから認められることで、制限されている力が解放されるのだそうだ。


傀儡師、からくり士などが30格を超えると、高みを目指してチャレンジするそうだ。ただマクジル王国やデスゾーンがある東側のオーステン大陸に6人、エインテー帝国や竜の住処があるウェステン大陸に6人、居るため途中で断念する人がほとんどなのだそうだ。


「カレンダートライアルとか、12の試練とか呼ばれてるんだよ。どーだい興味はあるかい?」


エイトは目を輝かせて答える。


「やる!!強くなれるのにやらないやつはいないだろ!」


「ほほー。」


ポワゾンさんは面白いものを見るような目つきでエイトを見ていた。




「それじゃ早速始めるよ、エイトにとっては初めての試練だ。外で行うので、まずは外へ行こうかね。」


そう軽く言って、歩くポワゾンさんにエイトはついていった。海に臨んだ崖の開けた場所でポワゾンさんはルシファーを呼び出す。


「エイトもからくり人形をお呼び。」


エイトは黙して頷き、からくり人形を呼び寄せる。


えっ!とポワゾンさんは驚き。数を数えて驚愕していた。


「まさか14体を使うとは、エイトは化物かい?」


エイトは褒められて気を良くした。


リペアの数足りるかなぁと収納庫だろうか?覗きつつブツブツ独り言を言い、ポワゾンさんはエイトの方を向く。


「最初は、人形だけで戦闘だよ。エイトは開始以降、終わりの合図までは手を出さないようにね。ちなみにこの試練は9番目の試練だからね、覚えときな。」


「わかりました。これっていつもの武器で行うんですよね?」


「そうだよ。リペアという錬金で作る補習道具を準備してるから、少々壊れても大丈夫さ、安心しな。」


「はい。」


お互いのからくり人形は50メートルほど離れた位置まで下がり、開始した。


共に強化魔法をかけ戦闘が始まる。


あれルークRが笛を奏で詩人として強化し、ルークLは太鼓で楽師として強化している。


ルシファーは前に出る。

エイトのポーン以下9体が取り囲み、5体が中、後衛のようだ。


そして一瞬で勝負が終わる。


ザシュッと言う音がして、ルシファーが剣を横凪ぎに1回転させる。その1凪ぎでエイトのからくり人形たちは身体が二つ以上に別れたのだった。


「ええええええっ。」と言いつつエイトはそこに駆け付け、範囲回復魔法を唱える。


「えっええええー。」と驚きつつ今度はポワゾンさんも駆けつける。


「なんでからくり人形に回復魔法がきくのじゃ?人ではなく!人形だぞ!魔法にしても、修理の魔法だろ、普通!エイト出鱈目が過ぎるぞ!」


なにやらポワゾンさんは興奮している。


(くっそ!一瞬で負けた・・・。)エイトは目に涙を浮かべ、膝を着き、地面を殴っていた。何度も何度も。


そしてポワゾンさんはエイトを一目すると、レッドに話しかけるようにレッドをいろいろ調べていた。


そしてエイトが落ち着いた頃、ポワゾンさんはいろいろなアドバイスをしてくれた。


1.リーダーのレッドと相談しろ、格が吃驚するほど上がっているので思考を持っている。思念で通じるはずだ。


2.からくり士本体の素材が20格代の木のままだ。30格だと鍛冶系なら銅、鉄、鋼や彫金系だと真鍮、銀、ミスリル、木工系でももっと固い素材はあるし、

「エイトの傀儡師は格いくつなんだ?」エイトは正直に答える。


「えっ、パペットマスターで162格だって、あんたウソダロ・・・、天職なのか。師匠は誰なんだ?」エイトは正直に答える。


「あーやっぱり、師匠は今までいないのかい、あーエイト、お前は格だけ野郎だな。格だけどんどん上げてりゃ・・・そうか。」


「知人に傀儡師やってるやつはいないのか、ちっ、、、。仕方ないね。面倒くさいが、わしが今からお前の師匠じゃ。」


そしてアドバイスは命令へと変わった。エイトは思った。


(教えてもらえてラッキー!)


「それじゃあ、まずはエイト、お前収納庫あるな?その中にミスリル鉱石やインゴットとか入れておけ、そしてレッドに使用許可を出せ。

これはな50格くらいで覚える、物質同化というスキルだ。もっと上位の例えばオリハルコンやヴァルカン鉱石とか世界樹の神木にセイレーンの羽衣とかベヒーモスの剛皮、これら神話級アイテムがあるなら変更すると強くなるかもな。」


「次はこれだな。」と言ってポワゾン師匠は指輪を取り出した。インテリジェンスリングだ、所謂知力指輪だな。エイトが持っているマリオネットグラブに嵌めるといい、知力や知能の制限が撤廃される。12の試練の1つクリアだな。おめでとう。」


「ありがとうございます。いいんですかあっさり負けたのに。」


「ミスリル鉱石持っていたんだろ?すでにレッドの風貌が変化しているからね。まったく、、、うちのルシファーじゃ勝てそうにないさね。」


そう言うとポワゾン師匠はいい顔で笑っていた。


***



「これだ!ドーン!!」


場所は、リアーノ領から王都までの道を北に向かうとある、ブレンダン・キース・ラルウッド伯爵の治めるラルウッド辺境伯領内である。


そこには11人誰しもが初めて目にする景色があった。背景は、木も草も、岩も土もすべてを白一色にする雪景色、真ん中に立っている1本の木、それが満開のチェリーブラッサムだった。


もう夜だ着くまでに少々時間がかかり過ぎた。エイトはチェリーブラッサムを前方から魔道具でライトアップしている。


おおおー!とても綺麗!、美しい!!、なにこれピンクでかわいい!ゆゆ雪のな中でままま満開とは、とてもつつ強い木なんだな。


様々な声が上がる。




そしてエイトは話始める。


「これはさ、ハナの前に居た国では桜って言うんだそうだ。その国で花と言えば桜のことなんだ。


ハナのお爺ちゃんがこの桜の、あーここではチェリーブラッサムと言うらしいけどね。この桜を見ながらハナって名前を付けたらしい。


だからこの景色は、ハナへの誕生日プレゼントだな。うん。」


「ああープレゼントとか何も用意してきてないンダニャー。」

「わたくしも何も準備していないのです。」「だニャー。」


「じゃあさじゃあさ、えっとね、感謝の言葉、そうみんなからハナさんへ感謝の言葉言うの、いいでしょ、ね、いいでしょこれ。」


そうゾヤが言うと、みんなは何を言おうか考える。


「じゃあ、じゃあ、あたし、あたしから、あたしはね、お兄ちゃんが将来の仕事のことで、悩んでた時にね。相談に乗ってくれて、それにあたしまで一緒にここまで連れて来てくれたの、すごく、すごーく感謝してます。」


「じゃわたし、ドーリスが感謝しているのはぁ、お料理を教えてもらったことですぅ。中でもぉ、一番は、ぁ、お腹に優しいスープですぅ。それがぁ・・・。」


そんな友人の声の中、ハナは、その景色を目にし、懐かしい日本を思っていた。いろいろな映像が脳裏に浮かぶ。

(桜の木の下でお酒を飲んでいるおじいちゃん。おばあちゃんはあたしが苦手な、お重の蕨を勧めてくる。お父ちゃんはお酒を溢して、いつも美人のお母ちゃんに叱られていたっけ。弟は桜餅を手に走り回っていた、転ぶから危ないって言うのも聞かず。毎年河川敷でやった家族の行事、お花見。


あの時もこんな風に賑やかだった。


同級生に見られると恥ずかしいからって、あんなに嫌だったのに・・・。なぜ思い出すんだろう。)


故郷の家族の顔を思い、溢れる涙に困惑していた。




(ありがとう、ありがとう、エイト。


言葉にならない。けど、みんな、ありがとう。)




そして友人の声の中、ハナは両の手で顔を覆った。


涙を隠すように。



ありがとうございます

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