3-4 王の取り調べ
エイトは覚悟し、私立ラルウッド学園の教室に入った。
(あれ、赤くない。)エイトは敵対マップを開いていた。
(昨日、あれだけの話をして、貴族2人を器物破損で訴えようとし、王女の委員長に盾突いたのに、わからない、わからない。どちらかというとみなさん青寄りなのだが、やはりこれが10歳児スタンダードなのか。
しかし僕にはもう10歳の気持ちが解らなくなってきている。ハナさんと話しても、子供っぽいなと思う事さえ・・・。ハナさん中身、20歳なのに。これが格を上げすぎた弊害なのだろうか、知力が上がるとはこういうことか!)
そしてエイトは教壇に立った。
「昨日はごめんなさい!友人がいじめられていると思って、頭に血が上ってしまって、本当に申し訳っ!」「申し訳っ!」「申し訳っ!」
と、言って小さい会釈。中くらいの敬礼。大きな最敬礼。を繰り返す。10歳児にオオウケ!
(はいーオオウケ頂きました。秘儀ニワトリのあいさつ!!)
それでは8番 ぎたのぉーとおーおい、とおーおい、じまからやっでぎまじだ。エイト、唄いますー。
いろいろいろいろ~♪
いろいろいろいろ~♪
わからないことがある~♪
しかたないしかたない~♪
考えても~♪答えなんか出ない~♪
だって知らないのだもの~♪
じゅっさーいーだもの~♪
熱唱した。(はいーバカウケ頂きました。声は理事長の低音ボイスで!)
(よーっし、みんな、だんだんと、あったまってきたなー。)
と思っていたら、知らない大人2人とブレンダン理事長が現れ、「エイト君だね」と言われ、エイトは頷く。
(くっそー次の出し物が一番盛り上がるはずだったのにー。)
すると、「申し訳ないのだが、君に会いたいという方がいてね。」と言って大人二人に両脇をガシッと固められ、引き摺られるように連れられていくのだった。
エイトのクラスメイトは、訳もわからず呆け、ハナは歌っていた。
「ドナドナ♪、ドーナー♪、ドーナー♪、エイトを乗せーてー♪」
*
現在、エイトは王城の待合室にいた。美味しい紅茶をすすりながら・・・。
(左横にはブレンダン理事長が座り、いつになくそわそわしている。いつもきまっている白髪交じりオールバックは張りがなく、すべてを見透かせるような眼は目尻が垂れていた。
そんなとき僕は思い出していた。湖や川で泳ぐときはな、河童に気を付けなければいけない。いつの間にか背後に忍び寄って、尻子玉を抜くんじゃ。尻子玉を抜かれるとな、全身に力が入らなくなり、溺れるんじゃよ。
そうブレンダン理事長は、尻子玉を抜かれたんじゃ無いだろうか!?そう、いつになく覇気のない、頼りない、情けない感じだった。)
そんなくだらない妄想で、暇をつぶしていると、3人の疲れたおじさんが部屋に入ってきた。
(エイトは思った。こいつらも尻子玉を・・・。)
ブレンダン理事長が立ち上がり、直立不動の姿勢を取ったので、エイトは少し遅れて真似をした。
「立たなくていいぞ。公務では無いからな。」
と一番偉そうなおじさんは野太い声で言う。するとブレンダン理事長は片膝を着いて、頭を垂れた。
「いやいや、普通にソファーに腰掛けろと言っているのじゃ。」
とそのおじさんは面倒くさそうに言う。そしてブレンダン理事長はソファーに座り、ピンッと背筋を伸ばした。エイトはブレンダン理事長の機械仕掛けのような一連の動きが壺に入り、声に出して笑いだしてしまった。
「失礼しました。ブレンダン理事長の動きがあまりに、滑稽でつい笑ってしまいました。」
そう言って、最敬礼しソファーに腰を下ろすと、皆、苦笑していた。
全員座ったのを確認し、おじさんは話始める。
「わしがマクジル王国の王のジェイだ。」
その後、宰相のミッチェル・アラン・カラザースさん、近衛の隊長ケン・ド・ラングフォードさんは名乗った。ちなみに王はジェイ・ド・ステイプルトンと言う。
「一度、エイト君と話がしたかったのだが、なかなか会えなかったものでな。園長に無理を言って連れてきてもらったのだよ。」
「そうでしたか前触れもなく、いきなり抱えてこられたので吃驚しました。」
そう言うとジェイ王はバツの悪そうな顔を作り。これは一本取られたな。と言ってガハハハハハと豪胆に笑った。
そしてジェイ王と1時間ほど、仲良く話した。他の3人は相槌と笑いで参加するのみだった。
なぜ、マクジル王国王立高等学院と、私立ラルウッド学園、共に入学したのか?学院は図書館に行きたかったと正直に言うと手配してくれるそうだ。
エイト君は純粋な人間族だよな?はいそうです。
娘のアビーが言い負けたと話してたのだが、友人のノートのことでついカッとなって、アビー王女は悪くないのに委員長なので食って掛かってしまいました、申し訳ありません。
エイト君は王城の仕事だと、何に興味がある?近衛兵でしょうか。(剣などの武器スキルに非常に興味があるので・・・。)
仲間11人全員が攻撃魔法を使えるらしいな。はい旅は危険なので自衛できる魔法使いを選んでいます。
エイト君は将来どのような仕事をしたいのじゃ?平民ですし商人とかでしょうか。
エイト君は王だと噂もあったのだが?はい、人口50人ほどの島が国であるなら国王かもしれませんが、僕が思うに現在は村以下です。あーあと住民に族長とかいたのでもう少し人口は多いのかもしれないのですが・・・。
族長と言うのは?よく肉持ってくるのがキバオウさん、ホーセンさん、ドルトイさんで、魚持ってくるのがザンギさんとトリトンさんで、鉱石とかはダハクさんですね。
そのあたりで王と両隣の2人が話始め、本日のお取り調べは終わることとなり、僕はケン近衛隊長と訓練を見に行き、ブレンダン園長は学園に戻ることになった。
*
同格だとやはり騎士や魔法剣士が片手剣のスキルは高いのだという。戦士で騎士と同程度のスキルまで上げたいなら格が1.2倍ほど必要なんじゃないのかなあとケン近衛隊長は言う。
近衛兵でも片手剣と盾スキル両方持っているのは1割もいないと笑っていた。
そして先ずは、騎士の職業のケン近衛隊長が、練習をしてくれることになった。
(職業の発現もスキルと同様なのではないだろうか。と僕は推測している。職業が騎士を持っている人の剣捌きを見ることと、同じように自分でやってみること。この2つを、何度かやればきっと僕も騎士の職業をもらえるんじゃないかと思っていた。
魔法スキルの場合は10回が目安だったけれど。少々多くても頑張れる気がする。
そう思った僕は、何度もケン近衛隊長に挑んだ。やはり負ける。剣の軌道や切っ先も見えているのに、スキル持ちの武器には何故か当たってしまう。)
「物理防御魔法使っていますので、防具とかしっかり付けてないですが、思い切り打ちこんでください。」
(残念ながら防具はサイズがないのだ。エイト130センチとちょっとだから。)
そしてエイトは10回ほど吹っ飛ばされた。まだまだと向かっていくエイト。
「大丈夫か、エイトくん!」
そしてエイトは20回ほど吹っ飛ばされた。まだまだと向かっていくエイト。
「本当に大丈夫なのか、怪我でもされると・・・。」
そしてエイトは30回ほど吹っ飛ばされた。意地でも向かっていくエイト。
「あの、そろそろ昼になるから。食堂にでも」と言ったときに吹っ飛ばされ、エイトは職業 騎士を手に入れたのだった。
(これは言ったほうがいいのだろうか・・・。いや、黙っておこう、魔法の件もあるしな・・・。)
「お昼ですか!お城にも食堂はあるんですか?」
「お、やっと喋ってくれたか、殴られ過ぎて怒ってるのかと思ったぞ。うっはっはっは。しかし、いい根性してるぞ。将来うちに入るのか?」
練習の時とは違う、柔和な顔になったケン近衛隊長は聞いてくる。
「近衛隊長!何言ってるんですか。平民だから入れませんよ。ははは。さ、行きましょう。食堂!」
ふと周りを見ると、エイトは大勢の兵士さんに囲まれていた。そして俺が飯奢ってやる、とたくさんの兵士に言われるのであった。
「じゃあ御礼に回復魔法しましょうか?」
とエイトが聞くと断られた。なんでも練習で負荷を与え筋肉をパンプアップした状態なので、回復してしまうと筋力にならないらしい。それじゃあと、怪我をしている人だけ集まったので、その部分だけに回復魔法をかけたエイトだった。
兵士さんは部分回復に吃驚して、隊長に報告に行ったらしい・・・。
*
食堂は学園よりも簡素だった。(なんか好感が持てる。)
メニューは無く、全員が同じものを同じだけ食べるのだそうだ。
(兵士流なとこがいいね。足らない人がいたらカニや唐揚げでも出そうと思ったが思いとどまった。)
そして食後も、エイトは片手剣と盾を持って、ケン近衛隊長に練習をつけてもらいスキルを十分上げて満足して帰っていったのだった。
「ぜぇぜぇぜぇ、あいつスタミナの化物か・・・。」と言ってエイトが見えなくなった後、ケン近衛隊長はひっくり返っていた。
部下たちはそれを見て、二人とも化物だと思うのだった。
***
「なあミッチェル聞いたことある名前があっただろ?キバオウって言うのは殺戮の牙狼と言われたキバオウの事だよな?」
ジェイ王は久しぶりに慌てていた。いつもは宰相と呼ぶはずが、ミッチェルと呼んだことからもわかっていた。
「ジェイ王、私はすべて判りましたよ。」
ミッチェル宰相は自慢げに言った。そう、あの時代最前線にいたのだ。忘れることもできない名前の数々だった。
(まさかあの者たちが全員生きているとは・・・。)
「煉獄の暗部と言われたダハクは夜襲や謀に長けてましたね。暴虐の白刃と言われるドルトイは白兵戦だと10倍の兵で負けてました。深海の毒牙の異名のザンギは、極寒の剛腕トリトンと組んですべての船沈めてましたっけ。ホーセンはあの兎人族でしょう、ヒットアンドアウェイで隊をいくつ潰されたやら・・・。しかしなんでエイト君の下にいるのでしょうね。」
「腕力馬鹿だからじゃないのか。ミッチェル、、、それでどうすればいい?」
ジェイ王は情けない声で尋ねた。
「仲良くなっとけばどうですか?」ミッチェルは過去を懐かしんでいた。
「どうやって?」ジェイ王は考えるのを止めていた。
二人はソファーに浅く座り、背もたれに頭を乗せ、天井に目をやっていた。
「息子にするとかですかね。」
「世継ぎはいるぞ?」
「アビー姫のお相手ですよ。そろそろ自分で考えてください。」
「王子、勝てるかな?」「無理でしょ。」「だよな~。」「でもいい子でしたね。」「エイトくんはこの国欲しいかな?」「いらないでしょ。」「もっと暖かいところに島あるんだっけか。」「今度見に行きますか?」「いいねぇバカンス。」
しばし現実逃避をする二人だった。




