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3-1 決闘契約書

よろしくお願いします

私立ラルウッド学園の正門へと続く並木道。両端に整然と植えられているのはジャカランの木だ。入学の時期になると満開になる。


エイトたちは編入なので入学式からは、20日ほど遅れているのだが、ジャカランの木は満開だ。少し散り始めたようだがハラハラと落ちる花びらが並木道を覆い、まるで薄紫の絨毯を敷き詰めた如くである。


絨毯を踏みしめ歩くエイトは、まるで王城の絨毯を歩くかのように、気分は高揚していた。現在7時30分、始業は9時であるのだが今日はとても大切な約束があるのだった。




「これを俺に着ろと言うのか!?」


「他に誰かいるんですか?ホリー先生以外いないじゃないですか。」


ホリー先生はしぶしぶ、カーテンを閉め着替え始める。あーとか、うーとか、いやいやいやと聞こえてくる先生の声にエイトの期待は膨らむのだった。しばらくしてエイトに声がかかる。


「いや、エイト、もうすぐ24歳になる乙女として、これはあまりにも・・・。あの、人前に出るような恰好では無いんだが・・・。」


「先生、これは魔法の授業ですよ?しかも二人だけしかいないじゃないですか、何を馬鹿なことを言っているんですか。」


「わかってる、わかった、わかったよ、わかったから。」


ホリー先生は覚悟を決め、カーテンの奥から出てくる。



エイトはそのとき、こう思った。(生きててよかった。)


エイトとホリー先生は向かい合って立っている。エイトの視線はホリー先生の爆乳と顔を行ったり、来たり、行ったり、来たり、行ったままであった。ホリー先生は魔法試験の時のような毅然とした態度ではなく、体をくねらせながらモジモジしている。



エイトはそのとき、こう思った。(ごちそうさま。)


そしてそのホリー先生は、小さな声で呟いた。


「エ、エ、エイト早くしてくれ。」



エイトはそのとき、こう思った。(ごちそうさま。)



「ホリー先生、それでは始めます。僕の授業の中で最も重要なところなので、しっかり聞いてください。先ずは先生に普段、魔法を撃つ体制で体に魔素を流してもらいます。もちろん発射寸前で止めてくださいね。」


「これでいいのか?」


「はいOKです。それでは体内の魔素が滞ってる場所、きれいな流れになってない場所に印を付けます。そのために体にぴったりした白いタイツを着てもらいました。あと下着とか着けてると流れが見えにくいんですよ。ここと、あとここも。」


「キャッ!」


「ホリー先生、変な声を出さないでください。あとクネクネしないで、大事なとこなんですから。」


エイトは先生の体に、赤いチョークで丸を35カ所書いた。


「これは思ったより多いですね。今までの蓄積で変な癖がついたということでしょうか。」


「そ、そうですか。」


そう優しく言うホリー先生は、顔は真っ赤で、息遣いは荒く、色白な全身は、ほんのりと上気したように桃色に染まっていた。


「それでは次に、僕の微弱な魔素をゆっくり全身に流し込みます。このとき先生は何もせず、じっとしていてください。では!」


「エイトくーん!!」


先生は吃驚仰天といった感じで名前を呼んだ。エイトは、え?なに?みたいな顔をしていると、先生が言った。


「な、なぜおれの胸に顔を埋めてるんだ!」


エイトはふてぶてしく言う。


「仕方ないでしょ!僕の背が小さいんだから!!」




その後、エイトとホリー先生は手を合わせ、ピッタリくっついた。エイトは魔素を流し、ホリー先生の魔素のめぐりを改善していき、タイツに書き込まれた赤丸を消していった。消すときも、ホリー先生はあんっとか、きゃっとか言っていたが、エイトは黙々と作業を続けた。


「どうですホリー先生、35カ所あった改善点が、残り20までに減りましたよ。」


「はい、ありがとうございます。」


また一段と上気した先生は、なにか疲れ切っていた。


「今日で終わる予定だったのですが、申し訳ない、そろそろ授業に行く時間になってしまいました。では明日またこの時間に。」


十二分に堪能したエイトは、挨拶し元気に出ていくのだった。



その後、ホリー先生は、午前中抜け殻で、午後は疲労がマックスの状態だった。教師の仕事に支障があるのでどうしようと、エイトに相談した結果、次回は、休日に先生の家で行うことになった。


***



「先生こっちです。」


テレストが迷ってるエイトに手を振ってくれている。先生は不味いだろ、とエイトは言い、今後はエイトさん!と呼ぶことになった。


教室に入るとエイト以外のメンバーは、全員席についていた。みんな緊張して座っている。それに加え、10数人の知らない顔もあった。


(お!ブレンダン理事長のとこのイライザもこのクラスなのか、安心だな。)


僕は空いている窓際の一番後ろの席に座った。座ってみるとなぜか緊張する。椅子はゆったりとしていてひじ掛けがついている。机は重厚で筆記用具やらなにやら文房具でいっぱいだった。引き出しは右に3つひだりに2つ中央に1つあって、すでに教科書などが入っていた。


(豪華過ぎないか?贅沢っていうんじゃ・・・。)


エイトはすぐ教科書を手に取り、読み耽っていた。




しばらくして、ピンポンパンポーンと、木管楽器の音を魔道具で拡声した音が響き渡り、同時に先生が入ってきた。


起立、礼とおざなりの挨拶が終わり、先生は言う。


「私はこのクラスの担当のマシュー・トマソだ。今日は編入組の11人を紹介する。全員が魔法を使え、しかもAクラスに入る秀才だ。

中でも魔法で先生を圧倒し、剣技では先生、校長、理事長までぶっ倒した猛者の、エイトくんから自己紹介をしてもらおう。」


エイトは、いやいやいや、違う違う、そうじゃ、そうじゃなあーいと頭を振りつつ立ち上がる。


「はじめまして、エイトです。よろしくお願いします。あとマシュー先生、魔法と剣技の試験では先生方も手を抜いてましたし、あること無いこと、言うのは勘弁してください。目立つので・・・。僕はこの学園で慎ましく勉学に勤しもうと思っています。」


アハハハと、乾いた笑いが起こり、順番に11人全員の挨拶が終わった。


後ろを振り向いて、エイトたちの自己紹介を聞いている、12人の生徒を見ると、明らかに貴族の集団だ。もう、なんかしんどい。


(でもブレンダン理事長のとこのイライザはいつも笑顔だ。)


授業は無難に終わり、怒涛の昼休みが来た。大勢の来客があった。そして、大抵言うことは決まっていた。


「このクラスにエイトってやつはいるか?」「はい、僕です。」

「チームウォリアーズのボス、メルモさんがお待ちだ。顔貸してもらおうか?」「嫌です。人数が多いようなので、5組ほど揃ったら説明します。こちらに掛けてお待ちください。」


「マクジル爆走族のマルコだ。」

「5組、揃ったら説明します。こちらに掛けてお待ちください。」


「チーム パンクスのお。」

「5組、揃ったら説明します。こちらに掛けてお待ちください。」


「2年を締めているサム」

「5組、揃ったら説明します。こちらに掛けてお待ちください。」


「チーム ミナゴロシの 総長があ!」

「5組、揃ったら説明します。こちらに掛けてお待ちください。」



「それでは始めます。ウォリアーズさん、爆走族さん、パンクスさん、サムさん、ミナゴロシさん、集まってください。」




「それでは説明を始めます。僕の名はエイト。


みなさんのご希望らしいので、今日の放課後、決闘します。15時から早い者順になります。場所は魔法の屋内練習場です。


こちらが決闘契約書になります。双方が名前を記入して、参加費用は一人銀貨1枚です。この銀貨は修繕費や清掃費用にします。決闘内容はありありで武器あり魔法ありです。


何人連れてきてもいいので、その場合は連名で契約書にサインしていただきます。書いてある通り、負けたほうは、相手が学園に籍のある期間、従者になります。


本日ここに来て、決闘に来ない方は掲示板に張り出します。

お誘いあわせの上、ご参加お待ちしております。


間違ってもいけませんし、知り合いの方に渡して頂いても結構ですので、契約書は複数お持ちください。本日は誠にありがとうございました。」


*



「それでは受付を開始します。受付が終わった方は準備して、練習場にお進みください。すぐ始めます。」


そして受付をテレストに代わってもらい、決闘スタート。


カンカンカカンキン、カンカンカカンコン、ガスッグゴッゴツッ


(範囲毒魔法~・・・・・・・・・・・・ダメだ、木剣じゃみんな骨折しちゃったよ。)

(範囲回復魔法~)

「「「「「参った。」」」」」


初戦25名のチーム ウォリアーズ 25名毒被弾、骨折25名。


エイトの状態異常魔法スキルと回復魔法スキルが上がった。


(おお!状態異常魔法スキルと回復魔法スキル上げにいいな、これ。)


パンパンパパンペシ、パンパンパパンポソ、バシッブコッボギ


(各種弱体魔法詰め合わせ~・・・・・・・・・・・・・・・うん、竹刀はいい感じ。)

ガゴッ、ギャー、グゴッ、オオー、ゴキッ、「やめてー」

「「「「「参った。」」」」」

2回戦、3チーム合同 20名 毒、麻痺、緩慢、暗闇、静寂、睡眠、骨折1名4カ所、参ったって一人だけ、なかなか言わないので・・・。


エイトの状態異常魔法スキル、状態異常回復スキルが上がった。


タンタンタタンテシ、タンタンタタントン、ダゴッデシュドゴッ


(短竹刀、二刀流、逆手持ちもなかなか、カッコいいんじゃない。)


エイトは難なく敵を圧倒し、スキル上げをしていった。


(しかし10人に1人くらい、避け切れず当たっちゃうのよね。まあ耐防御魔法に貫通しないから、今のとこ問題ないけど、腑に落ちない・・・。)




その後も契約者は増え、男女合わせて77人の従者を得た。


従者の最初の仕事は、僕に話しかけないでね!だった。




「私立ラルウッド学園の生徒数ってさ、270名だったよね。30%に足らないけど、十分静かになるかな。」


そんなことはなかったこの抗争は5日ほど続き、学園内外にも及んでいた。情報が行き渡った頃、沈静化するのだった。






ありがとうございました

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