2-10 試験
よろしくお願いします
マクジル王国王立高等学院、エイトは図書館の閲覧目的のため入学することにした。
マクジル王国における最高位の教育機関である、修学できる科目は、神学、王政学、経済・経営学、言語・人文学、法・弁論学、算術・幾何学、医療・薬学、音楽・美学、天体・天文学、魔法・魔道具学、剣術・格闘学、五種競技・体育学の12学科
これらの学科の選考は専門家によって、ロックファスト公国の教育機関を参考に、数多の中から凝縮して選抜されたものであり、十分熟慮されたものであった。
ただ、これらの専門家は、実際の教育現場を考慮したのか、甚だ疑問が残る。学生は10歳から15歳、先生は専門知識を学んでいない。
それに加えて初等教育から中等、高等教育までを行うことを下知されていた。
もちろん学院は5年生となる。だって20キロの荷物を、5キロしか入らない紙袋に入れようとしているのだもの。
そして本日と明日が、エイトの二重学籍、取得のための試験であった。
入学することが目的であるエイトは、試験に真摯に取り組む、筆記試験については、すべての学科が論文形式で思想思考を計る内容だった。指輪の知識を活用し、解答用紙に溢れるほど書き込んだ。所謂カンニングだ、それが真摯であるかどうかはわからない。
実技試験も立会人すべてが、驚くような結果を残した。
そして、これらの結果全ては、先生や学院、すべてを総動員しても計れるものでは無かった。結果それらすべては、国の専門家の目に触れることとなる。
神学、カーママー教の地上のすべては神が創造されたことに対して自然発生の考えを対話させ、大きな賞賛と軽く異端視される。評価A
王政学、統治管理を採点評価し、国内全域を網羅する手法を論文として提出、大きな賞賛と大きな国政批判。評価A
経済・経営学、徒弟制度の数値化で職人輩出数増大、商品自由化、独占禁止により経済活性化。評価S
言語・人文学、児童文学などを通じ社会教育の低年齢化を推進、平民・亜人種の共通規範という観点から社会的貢献。
評価S
法・弁論学、法は国が作るべきものであり、君主制にあっては王が作る。決して教えやなにかが作るべきではない。法は絶対のものであり相手や身分によって解釈を変えるべきではない、それが強国を作る。評価A
以下はすべて評価S
算術・幾何学、医療・薬学、音楽・美学、天体・天文学、魔法・魔道具学、剣術・格闘学、五種競技・体育学
実技試験は圧巻であった。
下級魔法の試練では凄まじい威力、しかも全属性の攻撃魔法を使用し、回復魔法も使用する。
剣術、ボクシング、レスリングなどは指導教員に圧勝し、走幅跳、円盤投、スタディオン走、やり投は王国のスポーツの、祭典記録をことごとく塗り替える数値であった。
王と大臣たちは思案した。
登用すべき人材ではある。あるのだが指導するものがいない、この結果を見ると皆、二の足を踏むに違いない。
それに加えてタカ・リアーノ辺境伯の推薦状を見ると、万共和国の上級平民だという。以前繁栄した国、万国の竜人の落ち貴族であろうか。亜人を城詰めにした実績はない、亜人だと部下にしたいやつはもっといないだろう。
「まあ会ってからだな。」
思案し、そう結論付けた、ジェイ・ド・ステイプルトン王は。城に呼べと命令するのだった。
***
「うう、3問目の答えって、りんご何個になったんだにゃ?」
「覚えてにゃいにゃ。28個とかにゃ?」
エイトたちは今、私立ラルウッド学園の筆記試験を終えたところだ。安堵の顔を浮かべてるもの、いつもと変わらぬ顔のもの、不安で顔が歪んだもの、机に突っ伏して動かないもの。
「それじゃ、実技試験のある屋内練習場に移動しようか?」
その場所は園内の一番奥の端、南西の角にあった。
「綺麗でしょ、ここは使う事も少なくて、皆大切に使ってくれるからね。」
中の広さと高さに驚いていた僕らに、そう説明してくれたのは事務員のニコレッタさんだ。
「ここが魔法の授業で使われる屋内練習場だから、みんな覚えておいてね。あ!先生が来たわ。」
そう言って入り口を見ると、白衣に入りきらない爆乳のお姉さんが、練習場前で一礼し、中に入って仁王立ち、そして僕らを睥睨し言った。
「魔法の試験を受けないものは、ここから出ろ。」
するとニコレッタさんは、その爆乳に耳打ちをする。爆乳は爆乳の爆乳を寄せて上げてのごとく、腕を組み「ああん?」と不満そうな声を上げる。
「魔法を使えるものが11人もいるとは、思わなかった。私がこの園で唯一の魔法教師のホリー・ホートンだ。よろしく頼む。」
先ほどまでの不満そうな顔が嘘のように、笑顔で上気している。11人が魔法使えると聞いて興奮しているようだ。
「「「「「よろしく、お願いします。」」」」」
ホリー先生はなにやら思案し、「それじゃ」と言って指示を出す。
先ずは全員に魔法防御をかける。
先生一人じゃ大変なのでと僕とテレストも手伝ったのだが、僕の防御魔法は大きくとても厚い。テレストは中くらいで体が収まるくらい、やや厚い。先生のそれは中くらいで薄い。
先生は僕とテレストの防御魔法を見て、目を見開き、やや拗ねていた。
次に二人一組になる、余った僕は先生と組んだ。
そして東側の列と西側の列に別れて、魔法を当てっこするようだ。最初は東側が当てる、そして西は避ける。
「はじめ!」の合図とともに「パーン」と、僕は先生の左足に水弾を当てた。先生はギロッと僕を睨んだ。が、すぐに立場を弁え他のメンバーの状況を眺めていた。
そして攻守交替して、僕は避ける側だ。結果を言うと僕は避け切った。先生の魔法は遅かった、最初は水弾を単発で撃っていたのだが、しばらくすると連弾に変わった。2連弾、3連弾と増えて5連弾まで撃ってくるが避けた。次は火弾を織り交ぜた。その次は火弾を囮に使い、水弾で当てに来たが避けた。最後にはその中に小さな土弾を隠していたがすべて避け切った。
アイム、パーフェクト ヒューマン!と僕が調子乗っていると、先生は唇から血を流し悔しがっていた。
そのホリー先生とエイトの戦いを、試験を終えたメンバーは所在なげに眺めているのだった。ただハナさんは空気を読めと言いたげな顔で僕を睨んでいた。
先生は、体裁を取り繕い、気を取り直して言った。
「今から10分後に隣の練習場で、剣技の試験がある。速やかに移動すること。あと、編入者の登校日には、ここにいる全員の顔が揃うことを願っている。がんばれ!解散!!」
その後、僕は拉致された。お前たちのボスは君だな、名は?「エイトです。」
じゃあ君たちの魔法の先生の名は?「エイトです。」
「えっ!」と一瞬、ホリー先生は眼光鋭く思案した。
すぐさま先生は僕にヘッドロックをかけた。俺にも教えろ!俺にも教えろ!そう言って先生は僕の頭を、爆乳と腕でギュッギュ、ギュッギュと押し挟む。
なんだこれは!きっとどこかにあるという!どんな夢もかなうという!誰もがみんな行きたがる!そう、桃源郷。
そして先生は僕に大人を教えてくれ、僕は魔法を教えることになった。爆乳恐るべし。僕のユートピアはここなのかもしれない。そう思うエイトであった。
その後、エイトはふわふわしながら、剣技の試験に臨み。
ふわふわしながら、相手の先生をしばき倒し
ふわふわしながら、止めに入った理事長と校長もしばき倒し
なぜ止めなかった?「だって先生が、それまで!って言わないんですもん。」と、ふわふわ答え。
ふわふわと園の門を出て行った。
全員が出て行った剣技の試験場には、なんとかと言う剣技の先生が端っこに一人佇んでいた。
男は焦点の合わない目で、空間にぼんやり目をやり、雨の日の子犬のようにプルプルと震えていた。
ありがとうございました




