2-3 対峙
よろしくお願いします
ワイバーンを倒した日の夜20時
外はもう夜の帳が下りている。
村の外、徒歩数分の何も無かった場所に
移動住居1LDKがこっそり建っているのであります。
外観はただの土の壁で四方を囲みました。この壁には物理防御、魔法防御の魔素を練り込み、これで外敵からの急襲にも安心です。
入り口も容易にわかるものではありません。また現在は消音魔法と透明化の魔法により触れるまでわからない仕様となっております。
それでは内観に参りましょう。
、、、なぁんということでしょうー。
外観からは想像もできない木質の温かみある暖色系でまとめてあります。まるで森の中で森林浴を楽しむかのように生活できることでしょう。
玄関を入ると右には天井まである姿見、もちろんガラスを開ければ収納です、コートや傘などがすぐ取り出せますね。反対左側は子供の靴だと100足は入るシューズボックス、収納量豊富です。
そこから真っすぐ奥に見えるのはキッチンです、大勢で調理も食卓も囲めるアイランド型になっています。そのまた奥の壁はキッチン用品の収納に食器棚、冷凍庫に冷蔵庫がすっきり壁に収まりました。
キッチンからそのまま行ける洗面所は動線完璧、それに子供4人が一緒に使えるゆったりサイズです。朝の忙しい時間も安心ですね!お風呂は子供10人がゆったり入れるバスタブに洗い場、トイレは2カ所用意しています。
リビングには1段上がって掘りごたつの形式のテーブル、全面に床下暖房を敷き詰め、高くなった部分はすべて収納となっています。
もはや収納の魔術師!匠の技が光ります。
残るは片流れの屋根勾配を利用したロフト、そこにワークスペースの机と子供10人がゆったり眠れるベッドが並んでいます。ベッド下の収納は容量十分で使い勝手もいいですね。
これからはこの空間に10歳児11人、快適に過ごせることでしょう。
***
「ということでテレストは怪我をし、出血が多かったので動かせず朝帰りという感じで、どう?」
テレストはすこし飽きれた口調で言う。
「あの・・・先生の嘘はいつもばれてるのです。」
エイトはテレストをキッと睨み、言う。
「それは聞き捨てならないなテレスト!」
「ほら・・・まず目が泳いでるのです。」
「それに・・・ハナさん、先生の嘘始まるとサインくれるのです。」
エイトは追い詰められ、今も自分の目が泳いでることに気づいてしまう。
「テレストー!それ以上言うな!!涙出そう。」
エイトの目がウルウルしている。
「先生ごめんなさい、そんなつもりはないのです。」
「わかってる。じゃあテレストはずっと寝てたってことでいいんだな?」
テレストは言いにくそうに、目をそらして言った。
「そこは、せっかくなので、少しでも、その、あの、オブラートに包んでいただきたいのです。」
そしてテレストはすこし思案し、訥々と語り始めた。
「こういうのはどうでしょう?まず最初は、二人で戦うのです、私は気を失うのです、危険なので先生が私をこの家で寝かすのです、ワイバーン倒れて先生がこの家に再び来て、私たちは朝目覚め一緒に帰るのです。」
エイトはここはこうだろ、テレストはいえいえこっちのほうが・・・
二人の悪巧みはしばらく続き。
「よし、これで完璧です。ではテレスト寝るぞ。」
「はい。」
寝室は真っ暗が好きなエイト先生の意見で、闇に包まれています。今夜は一緒に寝る約束なのです。
・・・
「先生!」
「なんだよ!」
「なぜわたくしのおっぱいに顔を押し付けているのです?」
「逆だよ、テレスト。君が僕の顔におっぱいを押し付けてるんだ。」
「それは苦しくないのですか?」
「すこし離れたほうが眠れる気がするな。」
・・・
「先生!」
「なんだよ!」
「全然眠れないのですが、お話とかしてくれません?」
「もう、昼寝するからだ!・・・仕方ないなあ。じゃあ最初なので一般的なのにするかな。金の斧と銀の斧って話だ。
昔あるところに男がいました。男は斧を持ち木を切っていました。そう職業は木こりです。すると斧を湖に落としてしまいます。男は1つしかない斧を湖に落としてしまい、湖のそばでえーんえーんと泣いています。そこに湖から神様があらわれます。そこの男よなぜそんなに泣いているのじゃ?はい私は木こりなのですが誤って斧を湖に落としてしまい困っているのです。すると神様は聞いてきます、お前の斧はこの金の斧か?男は答えます、いえ私の斧はそんな立派なものではありません。神様は聞いてきます、お前の斧はこの銀の斧か?男はまた答えます、そのような綺麗な斧ではありません。神様はまたまた聞いてきます、お前の斧はこの斧か?そこには使い古した汚れた斧があります。男はまたまた答えます、そうですこれです拾っていただきありがとうございます。そうかお前は正直な人間だ。そう言って神様は金の斧も銀の斧も渡しました。」
隣ではテレストの寝息が聞こえます。ここからが盛り上がって佳境に入り大どんでん返しなのに、不満もありましたがエイトも寝ることにしました。
***
そこには18の目があります。中央に鎮座するのは群れのボスであるハナ、それを取り囲む四天王は猫人のダフネ、エルサ、ニエベス、狼人のドーリス、その外には精霊種である3人、ドワーフのアントンとゾヤ、エルフのタチアナで、最後に従者のようなおまけのグース、以上の9人の18の目が光ります。相対しますのはエイトと竜人のテレストが静かに佇みます。
季節は春、朝7時だと言うのに厚い雲のせいで重い空気が流れます。春だというのに強めの風も吹き付けています。
風雲急を告げるとは、このようなことを言うのでしょう。
「どこ行ってたのよ。」
おっと風雲急を告げるこの最果ての村の静寂を破ったのはスイーツ大好きのハナだあ。エイト曰くやつは人を動かす力を使う!この力にいつも辛酸を舐めさせられている、と!!ジャイアンスイーツ、ハナからの先制だああ。
「あのわたくしが、説明を・・・」
エイトを制して、ここはわたくしがと言わんばかりに前に出たテレスト、竜の血を持ち、世界を渡り、闇を渡る。言うなればダークドラゴネス、テレストお、この2人が対峙した途端、熱気がムンムン伝わってきます。空気が震え、温度が上がったあ。
っとここでテレストの震えて出した言葉が止まります。初撃、手四つから力負けし、右膝を突いた。そのような様相を呈してまいりました。
「テレストはいいのよ、あたしはエイトに聞いてるの!」
今日ここで、この場での戦いが、この群れの女王を決める。そのような空気が流れていましたが、いきなりの戦線離脱のテレスト、そのリーブアウトの宣告をしたのはやっぱりこの人、ジャイアンスイーツのハナだったああ。
まだあなたじゃ力不足よ。とでも言わんばかりに引導を突き付けたのでしょう。
おっと、ここでエイトが前に出る。
「わかった、わかった話すよ。先ず僕とテレストが見張りしてたら、ワイバーンが現れました。その戦闘でテレストが気を失いました。そこで僕は少し離れた安全な場所に、家を建ててテレストを寝かしました。その後、ワイバーンを倒しました。テレストのとこに戻りました。看病してましたがいろいろあって疲れていたのか僕も寝てしまって、起きたとき元気になっていたので一緒に戻ってきました。以上です」
よしっ、ほぼ練習通り話したな。っふっふっふ。
「どうでした、ニエベス?」
そういってハナはニエベスに顔を向けます。
「んっとね、ハナの言ってた通り、説明中ずっと酔ったオタマジャクシみたいにー、目が泳いでたんだにゃ。」
「だよねー、エイトって嘘つくとき、いつもこうだわ。」
エイトは一歩前に出て、ハナに詰め寄り
「何言ってんだよ、本当だって、だってさ、、、」
同時に割って入った制服姿の男が一人。
「私はマクジル王国の徴税官の、、、」
邪魔な制服男を払いのけ。エイトとハナはヒートアップするのだが。
「お前なんだ、邪魔するな!」
「誰よ!あんた!五月蠅いわね!!」
その時、1本の矢が走った。
その刹那に、その場の温い空気が一変する。
前かがみになるハナと鮮血が散った。
ありがとうございます




