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2-1 最果ての天晴ばあちゃん

よろしくお願いします

広大な平野にポツンポツンと、白い巨石が汚れている。

雲は無く晴天、広がる緑も濃ゆい。


マクジル王国内に入った11人は、最寄りの集落を目指している。




「やっと見えて来たぞ、最果ての村。」


「自虐ネームだにゃ。」


(お、ダフネ復活。確かに、もう南には何もありませんよってことか。)エイトがそんなことを考えていると誰かが言う。


「ぼ、僕らのとこはもっと南の、デスゾーンなんだな・・・。」


そして次にハナが発した言葉にみんなは大きく頷く。


「絶対にデスゾーンから来たって言っちゃだめよ。送り返されでもしたら大変だわ。そうね、この西の森から出稼ぎに街に向かうってことで口裏を合わせるから。デスゾーンはもう禁句よ。禁句。」


エイトは思った。

(流石に僕より10年も長く生きてないな。僕ではそんなことまで頭が回らないや。

そういえば魔導師量産リゾートウハウハ計画の時もそうだったな。「あんたが魔導師を増やすと戦争が激しくなるのよ。そうすればうちの国もうちの国もと相乗効果で激化するでしょ、被害者や死人が増えるのよ。

あなたは儲ける代わりに父親の無い子を増やすのよ?耐えられる??」はい、耐えれません。)






「こんにちは。」


誰かのあいさつで、エイトは、遠くの山々の緑を眺める目を進行方向に戻す。村の方と思える二人を目にした。


「なんね!!この馬も牛もいない馬車は!」

「お母さん、そんな大声出すと、みんなびっくりするでしょ。」


「「「「「こんにちは。」」」」」


(違う。みんなあの白い鳥うまそーと目が釘付けになって見開いているだけ。

あの四つ足もこの村のものなのか、静かでとても綺麗な村だ。)


そんなことを思うエイトなのだが、比較対象がデスゾーンの廃墟しかなかったな。と思い至る。




「日没も近いので、村の端をお借りして休んでもいいですかね?」


「そだねえ、先ずは村長に聞いてみるかね。オリビア案内しい。」


ということで、村のお姉さんオリビアさんに、村長のところまで案内してもらえることになった。オリビアさんは見た目17歳くらい。アースカラーでゆったりとした服を着ている。親子ともども優しい雰囲気で、時間がゆっくり流れている。エイトはそんな二人の空気に癒された気持ちになった。




オリビアさんは村長さんの家につかつかつかと入っていき、やっぱ寝てたんねえ。と言いつつ松葉杖の禿げた爺さんを連れてきてくれた。


「あいたたたた。急かさんねえ。お客は嬢ちゃん達か。」


「こんにちは、僕はちんちんついてます。」エイトは言った。


「あははは、あいたたた。笑わさんね、傷口に響く。」


(と言いつつ禿げ村長は横腹を抑えてる、足なのか腹なのかどっちだ?)


「ああー、僕、回復魔法使えるので試してみようか?」


そんな金はないと遠慮するので、お金要らないので村の端っこ貸してくれと言うと、それはやすい回復魔法じゃのと言っていた。


「しかし、僕ちんは上等な服を着ているがお貴族様なのかえ?」


(誰が僕ちんじゃ!と内心で突っ込みを入れ)、宝箱産の服を着ているエイトは後悔していた。


「ただの平民だぞ!お貴族様ならもっともーっと偉そうにする。」


と言うと村長はまた痛みを堪えつつ、笑っていた。




そしてエイトは先ずテレストさんに回復魔法をかけさせる。随分ようなったわい。と村長が言うので、そのあとエイトが回復魔法をして完治させた。テレストさんのスキル上げのためだった。


「わっはっは、これはすごい。あと30年は生きられそうじゃ。」


すると村長は、周りが迷惑するような話をし、飛んで跳ねて喜んでいた。

(じじいちょろい。)ちなみに名前はサンチーと言うらしい。




「サンチー村長、怪我や病気の人がいるなら、みんなまとめて治すから連れてくるといい。」


テレストさんのスキルが上がったことを確認し、気分を良くしたエイトは村長にそんなことを言った。言ってしまった。のちにエイトは後悔するのであった。


「おお、そかそか、嬢ちゃん達は冷え込むから、囲炉裏に当たっとくとええ。」


「ほんだいくど、エイト神父、二人で回ればすぐだど!」




(ん?移動で疲れてるのになんで僕が。)そう思ったエイトは村長に釘を刺す。


「調子乗んなー!はげそんちょーお前が言ってとっとと連れてこい!それと回復するんだから、飯ぐらいサービスしろよ~。」


喜び勇んで走る村長の背中を見送る、エイトだが、視線を感じる。背後からメンバーが生暖かい目で僕を眺めていた。




しばし待っていると、


先ずは子牛を連れた若人達が、玄関先で牛を捌き始めた。


(むむ、何事?)と思って見ていると、


次に若奥さんみたいな人たちが大鍋や野菜を村長宅の竈や台所に運び込み、調理や煮炊きが始まった。


(あら、村長がマジで手配してくれたのかな。)


なにやら香しいパンの焼けた香りがし始めた頃、治療が始まる段取りとなっていた。エイトはふと外を見た、思っていたのと違う。そう10人から20人だと思っていた。100人ほど並んでいる。(村まるごとじゃないよな・・・?。)


何やらサンチー村長が挨拶やら順番やらに五月蠅いせいでドンドン、ドンドン時間は押していく。


最初の人も挨拶が長かったが、度肝を抜く人が控えていた。


かなりお年を召したご婦人でした。


「わああしいは、すみやきんどこで、ひのばんをしましたずんどのおかみしています。まあのびんぬといいます。ほんじつはおいそがしいんとごろ、わたしのようなをみなごのためにわあざわあざおじかんをいだだき、まんごとしあわせこのうえないことにございます。」


「それでおばあちゃん、どこが悪いの?」


「だいしさいのえいとさまにいおみあしをおはこびいただけるとはまんごとまんごとによいめいどのみやげができました。こんごともごけんしょうなあることをくさんばのかんげよりごきねんもうしあげそうろうたてまつりあげまする。そんでばほんじつはまんごとにまんごとにありがとうございましんた。」


と言うとおばあちゃんは杖の半分より下を握って、曲がった腰で山道を帰っていった。どうやら挨拶だけのために来たらしかった。


おばあちゃんのいた場所を見ると、使い込んだ数珠が置かれてあった。エイトは急いで届けた、するとおばあちゃんは、何度も何度もお辞儀をし、御礼の長文を読み始めそうになったので、回復魔法をかけて耳を塞いでダッシュした。


(僕はこう言いたい「天晴ばあちゃん!」)案の定、エイトはいろいろ後悔していたのだった。


エイトが3人目に回復魔法をかけた頃、肉が焼けたと連絡が入る。エイトは数切れ口に運んだ。

(な、なんじゃこの美味い肉は!!エイトは身悶えした。白地に黒いや黒地に白だったか、不味そうな四つ足だなんて考えてごめんなさい。)


もっと、もっと肉をーと思っていたのに、「患者さん待ってますよー!」と引き摺られて行くエイト。

(心はお肉に置いていきます。)禿げ村長にお土産の要求を確約させ、僕は戦場に向かった。


そしてエイトは叫んだ。


「村の人達よー今日中に終わらせるので頑張って並ぶんだー。順番が次だなと思ったら患部を指差して待つこと、順番が来たら挨拶とかなしだー。すぐに骨とか皮膚とか肺とか腰と言うんだわかったかーー。」


「そして軽微な治療は助手が巡回する。痛くなくなったら直ちに家へ帰れー!お前らのせいで僕はお肉と離れ離れになったんだーバカヤローーーーー!」


その後、村人はきびきび動いた。歩行に障害があるものは荷車に乗せた。終わったのは22時とかだろうか。エイトは燃え尽きた。


疲労している時の五右衛門風呂はきつかったようだ。足板は何度も何度も浮いてくる。(30キロの体重で五右衛門風呂は命懸け。)


エイトが足の裏に回復魔法をかけていると、「慣れじゃよ慣れ」と言いつつ村長が冷えた牛乳を差し入れてくれた。


旅の道中は気をつけろという、卯の花の月は年貢の徴収時期で腹の黒い代官の手下が闊歩しているのだという。


それに加えてワイバーンも甲羅干しに飛び回る季節で、好物が牛ときている、年貢で取られ、ワイバーンに襲われると、もう牛で食っていくのはきついと村長は嘆いていた。


「先月の少し暖かい日にな、ひょっこりワイバーンが現れて牛は食われるわ、村の男衆はみな怪我するわで散々じゃったが、お前さんが来てくれてよかったわい。」


「そか、じゃあワイバーン来たら、そいつも僕が貰って帰るかな。お礼としてな。」


「おお、余っとるしなんぼ持って帰ってもええぞ。あははは」


「じゃ寝るぞ、禿げ村長にこき使われたもうくたくただ。」


エイトは村長の家のせんべい布団に、身悶えしつつ眠りにつくのだった。



ありがとうございます

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