1-10 穴
よろしくお願いします
「ここだ、ここ。」
「何これ狭くない?」
「おいおいおい、静かにしろよ。見つかったら戻されるんだから。しーっ!」
「みんな入ったら、土壁魔法で蓋をするからっ。」
エイトは外に人がいないことを確認して、土壁魔法を使った。
「ちっちゃな声で番号っ!」
「1」
「2ィ」
「3」
「4」
「5」
「6ゥ」
「7ニャ」
「8ンダニャ」
「9ンダニャ」
・・・
・・・
・・・
「先生!グースがいません。」
「なにしてんだあいつ。」
ドンドンッと土の壁が叩かれている。
壁を崩すとグースが入ってきた。
そしてまた壁を作る。みんなの目線がグースに向かい、全員後退る。誰かが言った。
「グース、んこ臭い。」
グースは苦笑いしている。
「じゃあ乗ってください。グースは一番奥の端だ。みんないるかな?
それでは大声出せないのでみんな集まって、出発前に説明するね。
ここは先生が試しに掘りました。だいたい40キロほどあります。なのでこのトンネルを抜けるまでに1時間くらいかかります。
途中スピードがどんどん出ると思いますので、手とか顔を外に出さないようにしてください。出すと捥げます。」
エイトは声が気になるので、荷車を少し進めた。
「説明は以上だけど、なんか聞きたいこととかありますか?」
エイトは光球魔法を唱えすこし明るくして言う。
「じゃ出発するね。」
しばらく乗り進む。みなさんの緊張?吃驚仰天?もやわらいでくる。
「ここまでくると声出してもだいじょうぶよ。」
すぐ口を開いたのはハナだった。「これ40キロもほってぃいたっ!」そして舌を噛む。
「ガタガタするから、舌噛むなよ。」
「ばがー、はひゃくひっへよぉおおお。」バカ、早く言ってよーとハナは言う。
「ハナ、顔かわいいのに、なんか惜しいよな。」
えっ、ん?とか、みんな口々に言って、その場の雰囲気が変わった。
(え!何テレストさん。)なぜか怒った顔してテレストさんが、右手を上げている。
「はい、テレストさん。なんでしょう?」
「さきほど、先生はハナさんのことを呼び捨てにしました。何故なのでしょうか?」
周りのみんなも賛同して、うんうんと頷いている。
「ああーそれですか、友人になったのです。」
エイトは本当のことをみんなに告げただけなのだが、なぜか様子がおかしい。
えっどゆことどゆことキョロキョロ、みたいな感じをみなさんが出している。
(そんなに僕に友人が出来るのは不可思議なことなのでしょうか?)
逆にハナは、(何言ってるの!)みたいな感じでいつもより顎が上がっています。
「あーあのーテレストさん、授業や訓練時でも無いので挙手して、発言の許可を求めなくてもいいですよ。」
そういうとテレストさんは手を下ろして、話始めた。
「わたくしもエイトさんと友人になりたいのですが、どうしたらなれるのでしょうか?」
そういうと、みなさん俺もとか、わたしもだにゃとかわたしもわたしもと同意し始めるのだった。するとハナがとんでもないことを言う。
「もうさ、同じ釜のご飯も食べたし、全員友達でいいんじゃない?」
「ダメだ!僕は授業や訓練以外で他の人と全く話したことがない。」
と、エイトがすかさず言うとハナは畳みかけてきた。
「それはさ、あんたが訓練の閻魔メモ見て考えてたりー、評価の地獄表見て話しかけるなオーラ出してたりー、ワールドなんとか見ながら、本日の悪魔業務は終了しましたー。的な看板出してるからだわ。」
「ムムム。」エイトは熟考しています。いろいろ考えます。周りの雰囲気もそうだそうだと語っています。
「ハナ聞いていいか?」
「何よっ!」
「さっきの話に閻魔と地獄と悪魔が出て来たんだが、それは必要なのか?」
「何言ってるのよぉおお!エイトのイメージにピッタリ、ピッタンコカンカンのカン吉くんだわぁーー。」
(ダメだ、全員がウンウンと頷き、感化されていく。)そして一同はエイトの話で盛り上がりだしたのだった。
あのときなんかさ、僕報酬もらってないんですけどぉおとか言って
流し目で全員戦闘配置!ってしっぶーーーーー!
イヤイヤイヤ、あっちのほうが、何言ってるのよ、殺さず昏倒のあと右指パチンっよ!!!わーわたしそこ見てないかもー
ワーイイナァー、キャキャキャ、マッジードンダケー
エイトは赤面しつつ話をしばらく聞き思案する。そしてパンッと手をひとつ叩き、言うのだった。
「そんじゃ今日はテレストさんと個人的に話す感じでいいかな?あとは順番をみんなで決めてもらって、でもさ嫌な奴とは友達にはならないからな。」
「それ、いつ話すの?」
「お泊り会みたいのじゃないの?」
「フーン」
(またなんとも言えない空気が・・・。なんだよ!だめなのかよ!?)
「10歳まではなんか男女でお泊り会同じ布団だったよな?11歳からは男女別じゃ?・・・おーい何故何も言わなーい。」
全員が静まり返る中、現れる天使テレスト!
「先生!わたくしはそれで大丈夫なのです。」
「はいはい。」
ほっ。(めでたしめでたし。)
***
長いような短い移動の30分が経過し。一行は北の大地に立った。予定は1時間だったのだが30分も短縮してくれたルーク荷車にエイトは感謝した。
そして、「蜂だな。」
「弱っちいんだにゃ。」
「襲ってきませんねぇ。」
数は多めだが、襲っては来ない。ブンブンブン蜂が飛ぶブンブンブン。
「じゃあ、みなさん乗ってください。蜂のいない少し東に移動しましょう。」
「先生、エルサさんが襲われてるのです。」
「おお、蜂に襲われているんだなあ。」
「エルサさーん、東に走ってくださーい。そうそうそっちー。皆さんは乗ってください。」
「先生、なぜ助け行かない?」
「先生エルサさん危ないんじゃあないの?」
テレストが質問してくる。タチアナとゾヤも心配そうである。
そしてエルサは真っすぐと東に走っている。その他のメンバーはそのあとを荷車に乗って追いかける。
荷車はトンネル内よりずいぶん遅い。
エルサは時々こちらを振り返る。態度で助けてーと言っているのだ。
しかし疲れて声にならない。
そしてエルサは足が縺れて倒れた。
その時には追いかけていた蜂ももういなかった。
「じゃあここで3時の休憩をしましょう。トンネルも長かったのでトイレにも行くといいです。」
そしてエイトは数歩歩きエルサの横に並んだ。エイトは話始める。
「エルサさんは僕がウォーキングフィッシュを、干物にしていたのを知っていますね。」
エルサは、ヒッという声と共に血の気が引いた。エイトは続ける。
「僕はきっちり40枚の干物を干しました。でも夕方見ると38枚になっていたんですよ。何故かわかりますか?」
エルサの体はギュッと硬直し頭は垂れ、体積が小さくなった気がする。そして声を絞り出しこう言った。
「私がもらって食べましたンダニャ。」
エイトは優しく話しかける。
「ほほーそうだったんですね、でも大きい干物ですから、一人じゃ食べきれなかったでしょう。」
「ダフネとニエベスと一緒なンダニャ。」
「じゃあ二人も連れてきてください。」
エルサはダフネとニエベスを連れてきた。
「あなたたちはなぜここに連れてこられたのでしょう?」
「はい、お魚の干物を勝手に食べてしまったからなンダニャ。」
エイトの口調は少し強いものに変わった。
「そうです!11人全員で食べるはずのものを3人だけで食べたのです。これからはきちんと、みんなのものと、自分のもの、それに他人の物。この3つを分けられる人になって下さい。」
悪魔の囁きが3人を震え上がらせる。正直に喋っても閻魔大王は許さない。地獄で熱湯風呂に入るがごとく、針の筵に正座させられるがごとく。
そして、、、
3人には鼻ワサビの刑が待っていた。
(このワサビ、ハナがカニの刺身の時はこれよね。と言いつつ使ってた。一言で言うとツーンな大人の味だ。フフフフ、誰も知らない大人の味。)
「それでは行きますよ。」
そしてエルサ、ダフネ、ニエベスは自分の意思ではなく。
エイトによって、大人の階段を登るのだった。
「「「ぎゃああああああーー!!!」」」
アッハ・ハハ・ハハ・ハッハハ・ハハ・ハハ・ハハハ
またエルサは花の蜜を吸おうとして、蜂に襲われたこともきっちり吐かされ、他の人に危険が及ぶ行為だ!集団行動にあるまじきと言って、両の鼻がワサビに殺された。
「あぎゃああああああああーー!!!」
そして本日11人は、デッドゾーンから壁を越えて、北の大地に立っている。
ここよりマクジル王国の王都を、目指す旅が始まるのだった。
ありがとうございました




