第2話~青春編
次のお話は、自分が通勤電車内で見かけた、逆告白の様子です。
(お分かりだとは思いますが、逆告白とは女性から男性に告白する事です)
自分は、1ヶ月に数回宿直勤務があるのですが、宿直の翌日の明け番の日に突発的に残業になり、昼過ぎまでの勤務になってしまいました。
それで結局、帰りが午後2時になりました。
その後、駅前で遅い昼食を済ませて、電車に乗り込んで帰ったのですが、その時の事です。
宿直明けでかなり疲れていたのに残業をしたものだから、電車の3人掛の席につくなり寝てしまいました。
その時に自分は、3人掛けの席の真ん中に座っていて、右隣には寝ている背広のサラリーマン、左隣にも男子高校生がこれまた寝ていました。
そして、自分が下を向いて寝ている時に、女子高生2人組の1人が自分の左隣の男子高校生に、
「あっ、あの~……」
…と、言いましたが、男子高校生は寝ていたので、ヒソヒソとした感じの声で2人女子高生は、
「思いきって声をかけたんだけどね、寝ているんだけどどうしよう…」
「何、言ってんの!」
「今日、告るから一緒に付いて来て!って言うから来たんじゃん!ちゃんと伝えなきゃ!」
「でっ、でも~、寝ているからやっぱ今度にしようよ~」
「大丈夫だよっ!隣のおじさんも寝てるからさっ」
その段階で、自分の両隣の方は寝ていましたが、自分は首がガクンとなった時に起きてしまい、女子高生2人の会話が聞こえていたのです。
しかし、寝ていないとバツが悪い状況なのが分かったので、寝たふりをしていました…。
すると、次の会話が、
「じゃあ、最初は私が声をかけてあげるね」
「あ、あの~、初めまして!お休みのところごめんなさい…」
…と、付き添いの女子高生が声をかけましたが、男子高校生はまだ寝ていました……。
それに、ムッときたのか、その付き添いの女子高生は、何と!膝を軽~くですが、男子高校生の膝にガツガツとぶつけはじめました。
すると、それに驚いたのか男子高校生が下を向いたまま、一気に目を開けました。
すかさず、付き添いの女子高生が、
「ふふふっ…」
…と、微笑むと
「何か私、凄~く脚をジロジロ見られているんですけど~」
と、切り出すと、
男子高校生は、慌てて顔を上に上げました。
「ねぇねぇ、早く~!起きたみたいだよ!」
「え、えっ、はっ、はい…あの~」
…と、言ったまでは凄く照れくさそうに話していましたが、意を決したのか、
「通学の時に、ずっと前からいいなって、思っていました!」
「今、彼女っていますか?」
「えっ…いや、今はいないですけど……」
「やるじゃん!ちゃんと言えたじゃん、本当見直したよ!」
「あの~、友達からでもいいんで………」
…と、言いかけたところで、急に恥ずかしくなったのか、言葉が出なくなってしまいました。
そこで、付き添いの女子高生が軽い感じで、
「お友達になって下さ~い」
と、笑顔で言うと、男子高校生は
「あ、あの~」
と、何かを言おうとしましたが、付き添いの女子高生が、
「私達、次で降りるんですけど、明日も同じ時間にこの車両で会えますよね?」
と、言うと、
「私の事をちょっとでも気にかけてくれる事があるようなら、また同じ時間にこの車両に来て欲しいですっ!」
と、逆告白した女子高生が言い残して、次の駅を女子高生2人で降りていきました。
自分は、2人が降りたのを見計らった後、寝たふりをやめました。
そして、駅のホームを見ると、先程の女子高生2人がいました。
その1人が、励ましているような感じだったので、多分その人が付き添いの女子高生だったのでは?
と、思いました。
その後、この高校生達はどうなったのか分かりませんが、電車の中で勇気を出して言った告白が実っていたらいいな、
…と、思いました。